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第54話 エーコの狙い

今回は少し短めですm(_ _)m

「エリナ、学校はどうだった?」


私の声掛けにピンクブロンドの髪に指を絡ませていた少女が顔を上げた。

ワタシの姿を見て、エリナにバレずに歩いていた護衛が下がる。


「エーコ!こんなところまでどうしたの?まさか私を迎えにきてくれたの?」


嬉しそうに駆け寄って来た。

なんて可愛いのだろう、私のエリナ。


優しく髪の毛を撫でると、私を見つめ、頬を染める。


「当たり前じゃない、心配で迎えに来ちゃった。」


「まぁ、心配性なのね!……でも嬉しいわ。」


そう言うと、ワタシに近づき『ありがとう』と、わざわざ私の耳元でお礼を言った。


「そう言う可愛いことはワタシにしないで王子にやりなよー」


ワタシはからかうようにエリナをつつく。

エリナは顔を真っ赤にして俯いてしまった。


「出来ないわよ、そんな事。だって、はしたなく思われて嫌われてしまったら嫌だもの……」


そういうと、両手で可愛い顔を隠してしまった。

これは私の可愛いエリナ。

完璧な『ドキ☆プリ』のヒロインだ。

やっとここまで作り上げた、ワタシのヒロイン。


ワタシは満足そうに微笑み、エリナの髪を撫でる。

エリナは私が撫でるたび、嬉しそうに頬を染めた。


「エーコがいつも側に居てくれたおかげで、私やっと自分に自信も持てたし、エリオット様も笑ってくださるようになったのよ。」


恥ずかしそうに両手で口元を隠す。


「そうね、前まであなたが話すたび眉を寄せてらっしゃったものね。」


エリナはハッとして不安そうな表情になる。

ワタシは笑顔でエリナを抱きしめた。


「……大丈夫よ、そんな顔しないで。前とは違うでしょ。今のエリナは生まれ変わったの、だから大丈夫。」


「……そ、そうよね。でも私、前の自分をどうしても思い出せないの…」


まだ不安そうに私を見上げるエリナ。

ワタシは笑顔を崩さず、不安そうなエリナの頬を撫でた。


「よほど辛かったのよ、昔のあなたは。過去を思い出せないほど、辛いことがあったの。エリナ……私の言うことをよく聞いて。エステル・カーライトと言う人物がいたでしょ?」


「……ああ、いらっしゃったわ。私の名前を呼んでひどく驚かれていたわ……」


私は今以上に口角を上げる。


「エリナ、エステルには気をつけるの。あの人はあなたの辛い原因なの。何も思い出せないのは、彼女にひどいことをされたせい…。彼女もエリオット王子の婚約者候補なの。昔のキズを言い訳に王子に婚約を迫り、婚約者候補に座り続けているのよ。…あなたとエリオット王子の仲をとても嫉妬深く恨んでいるはずだから。何かされる前に王子に助けを求めるのよ……?」


そう言うと優しく髪を撫でた。

エリナはとても怯えたような、驚いた顔をして固まっていた。


「……大丈夫よ。何も思い出せなくていいの。そんな辛いことは思い出さないで……」


「エーコ……」


エリナの目に涙がたまる。


「エーコ、わかったわ。私、気をつける……」


静かに流れる綺麗な涙が頬を伝って落ちた。

私はそれを指ですくい上げ、自分の口元に持っていく。


「エリナは涙もとても綺麗……」


「……エーコ?」


「うふふ、なんでもないわ!私のエリナ。本当に可愛い。」


ワタシはエリナの手をとった。


「さぁ部屋へ帰ろう、今日あったこと、ワタシに聞かせて?」


エリナは笑顔で頷く。

そして私達は、エリナの部屋がある離れに歩き始めた。


ふと。

私の目の端に赤毛の知った人物が目に入る。

ひどく驚き、怯えた顔で私を見つめていた。


そっちには振り向かず、エリナに笑いかける。


「あ、エリナ。ワタシちょっと用事を思い出したの。……先にお部屋に戻っていてくれる?」


「まぁどうしたの?私も一緒に……」


ワタシの声が少しだけ低くなる。


「……ダメよ、エリナ。真っ直ぐ、部屋に戻って。」


「……わかったわ」


エリナの顔から表情が消え、虚ろな目で前を見た。

そのまままっすく部屋へと向かう背中を見ながら、さっきの護衛に合図する。

エリナの後に護衛が付いたのを確認すると、赤髪の方を振り向いた。


「……サマンサ!久しぶりだね」


彼女が落としてしまった本をワタシが拾い上げる。

彼女はそれを受け取ろうとはせず、固まったままだった。


「……なぜ、あなたが……あ、アキラは……アキラも復活を?」


「……アキラは知らない。ワタシも知りたいぐらい。……その口ぶりから、お前が隠しているわけではなさそうだな。」


「……隠すなど……!あなたが復活したと言うことは……アキラも目覚めるのか……?だから聖獣が復活したんだな……」


「あんな役に立たない動物がなんになる?聖獣だと?笑わせるな。」


「だが、100年前あなた達を封印したのは、聖獣なのだろう?そのせいで父は……!」


サマンサの顔がワタシに嫌悪を向けた。


「……馬鹿馬鹿しい。誰に物を言っているのだ、ハーフエルフのくせに。お前にエルフの血が少しでも混ざっている以上、お前はワタシに永遠に逆らえんのだ。何ならこのまま無理やりにでも、ワタシの足元にひれ伏せさせてあげようか?」


ワタシが面白そうに手をかざすと、サマンサは怯えたように体を硬らせた。


「エリナに手を出すのはやめてほしい……あの子はあなたのおもちゃではない……あの子は……」


「黙れ。だから、誰にものを言ってるんだ?」


「……お願いだ。」


「そんな願い聞けるわけがないだろう!?……やっと見つけたんだ、この世界に復活することもできた。……ワタシはやり直せる。アキラはいなくなったんだ!……誰にももう、邪魔はさせない……」


ワタシは口角を上げ、楽しそうに笑った。

その顔を怯えた顔で見つめるサマンサ。

静かに自分の服の裾を、震える手で力一杯握りしめていた。


「……精霊王……あなたは……」


「ハーフエルフよ、口を慎め。」


ワタシは人差し指をサマンサの口に当てる。


「これ以上ワタシに意見するなら、消えてもらう……」


サマンサが頷くまで、静かに見つめ続けた。

サマンサはその場に崩れ落ちる。


ワタシは満足そうに笑う。


「ワタシの邪魔をするな。ワタシの願いが叶えられない世界は…要らないのだよ。」


サマンサを真っ直ぐ見つめるが、サマンサはもう喋れる体力も残ってなさそうだった。


「サマンサ、また会おう。その時は『要らぬもの』をうまく消せればいいがな。」


「……!」


「エリナの願いはワタシの幸せ。アキラの様に、邪魔はさせない……!」


ワタシはそのままサマンサを置いて、エリナの部屋へと戻っていった。

サマンサはそれを静かに見つめていた。

悔しそうに……。



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