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第36話 王子のお出かけは大変なんです。

コメント&誤字報告いつもありがとうございます。

ブックマーク300人行きました!これも皆様のおかげです!(;;

感謝を込めて…。

手紙って便利だなぁ。

どんな辺境の場所にいたとしても、魔法の力で3日と経たずに運んでくれる。

だが人間が移動するとなると、2日で届く距離を往復10日かけて馬車で移動することとなる。


うちの両親の許可はすぐ取れたのだが、流石に王子2人が学友?の領地に遊びに行くとなると大変な騒ぎとなった。


「お忍びでいいじゃん?」


「……簡単にいうな!お忍びだろうがなんだろうが、王子2人が遠くに移動するとかどんぐらいの人件費と警備だとかの滞在費がかかると思ってんだ……!全部税金から賄うんだ!自分で労働するようになってから言え。タダじゃ無いんだぞタダじゃ!」


私がプリプリ怒るのを見て、2人が2人で別の反応をする。


「すまないエステル……、あなたには迷惑ばかりかけてしまって……」


エリオットが肩身の狭そうに頭を下げる横で、『エステル宰相みたい!』と、爆笑して笑い転げるセドリック。


「いや私じゃなくて多分騎士の人とか従者の人とかに迷惑が主にかかってるかな……。

というか、謝罪よりお礼を言うといいかも。謝罪されると恐縮されちゃうかもだから。」


それを聞いて、自分の従者や護衛にもお礼を言いに行くエリオット。


兄弟でこうも違うかと。


当然遠出には王様の許可は取れず、セドリックが私を引きずり、王妃を説き伏せる形で実現したのだった。


「……学友なんて、あなたにいたのですか?」


王妃はティーブレイク中。


怪訝そうな王妃の顔を、ニッコリと嘘くさい笑顔を浮かべるセドリック。

それにつられ、私も慣れない笑顔を浮かべる。


「やだなぁ、母上。グレイスはエステルを通じて、とても仲良くさせてもらってるよ!」


『目も合わせたことないけど。』


笑顔を崩さず、心の中で呟くのが私には見える。

見える、見えるぞ……!


「……その様には報告されていませんでしたが?」


ますます眉を寄せ、息子を見つめる王妃。


「夏休み前に急激に仲良くなったからね。報告なんて間に合う訳ないじゃない。」


自分の従者の優秀さに、バレない様に舌打ちをするセドリック。


王妃は『ほーんーとーにー?』とめちゃくちゃ疑う顔をして、私を見る。


なので私が激しく首を縦に振る係。

そろそろ使い慣れていない表情筋が悲鳴をあげそうに引きつってきた。


そんな私を他所にセドリックが王妃の側へ行き、耳打ちした。


「まぁ、宰相の(娘さんの旦那さんの)領地だし?連絡さえすれば警備面も問題ないと思うよ。

というか、今こそエステルと兄上の仲を深めるにはいい機会だと思うけど?

……聖女に押されてていいの?彼らに足りないのは交流する機会だから。」


その言葉に目を見開き、セドリックを見る王妃。


「……僕が協力するなんてそうそう無いよ?」


得意げに笑い、王妃を見つめるセドリック。


……なんか嫌な予感がする様なことを言ってる気がするぞ……。

そろりと前に出て聞き耳を立てようとする。


「兄上がどうしてもダメなら、最終手段で僕がエステルをあの手この手で洗脳して、嫁に貰ってもいいし。……どう?」


私が近づいたのを笑顔で牽制しつつ、再び耳打ち。

……だから何を言ってんだよ!教えろよ!

笑顔に負けじとすり足で近付く。

ジリジリと。


王妃がコロリと満面の笑みで私を見た。


「可愛い息子の頼みでは仕方ありませんね、許可しましょう。……エステル、お誘いありがとう。そして休暇を楽しんで。」


笑顔が。

笑顔が親子でそっくりになった。

セドリックの悪い時の笑顔。

悪魔の微笑み。


……さすが親子。


私は引きつった顔で微笑み返すしかなかった。


「……だから何を言ったんだよ!!」


「……僕も少しは大人になったってことだよ。」


そういうと、天使か悪魔か…また読み取れない様な笑顔を私に向けるのだった。


末恐ろしいな……。


王子2人が移動となると、馬車も何台も引き連れての移動となった。

護衛の騎士さんたちは並行して自前の馬に乗ってる人もいたけど。

衣装係とコックまで連れてこようとしたので、流石にそこは止めた。

……必要なものは最低限で。


途中、初めての野営を経験した。

初体験……!


ちょっとキャンプみたいなのを期待してた。

みんなで焚き火を囲んでご飯!とか。

魔物がビョーンと出てきたらどうしよう!とか、夜盗がワーっと襲ってきたら!とかすごいドキドキワクワクしたけれど。


でっかいテントがふつうに部屋みたいな快適さ。

普通にベッドまで用意されたし。


そして意外なテントのデカさ。

さすが王族を2人も連れてきただけある。

しかも3日目となるとめちゃくちゃ慣れてきて、湯浴みまでできるこの快適さ。


「全く外で寝てる気がしない……」


「外で寝たかったのかよ……」


グルンと顔を声のする方へやると、ベッドの端に頬杖ついてこっちをガン見。


「その変な目で見るのやめて?別に外で寝る趣味はないから。」


既に寝付いたクラウドに布団をかけてたり寝支度をしてたら、勝手に私のテントに入ってくるセドリック。

女子の部屋に無断で入るとかどうなってんだ頭の中。


しかも独り言を拾うな。

拾ってくれるな。

こっちは1人と自覚して言ってるんだから。


ベッドから身を起こしてセドリックを睨む。


「何の用だ。普通だったらキャーとか言われるレベルの侵入だぞおい……」


「受け答えがすでに女子じゃないな……」


立ち上がり、肩をすくめる。

その口いつか縫ってやる……!


私がワナワナと握った拳を震わせていると、セドリックがそれを鼻で笑いながら言った。


「この分だと、明日の夜には着くってさ。」


「思ったより早かったんだね、あと2日はかかると言われてたのに。」


言葉は返すが、顔は怒りを隠さない。

それでも気にせず居座り続けるセドリックを追い出して早々と寝る事にした。

明日も早いのだ。

テントたたむとこ見なきゃいけないしね!

……これがなかなかの見どころで、毎回広げるとことたたむとこは、ちょっと楽しみにしている。


意外にも馬車移動だけなのに疲れてよく眠れる私。

あっという間に睡魔と仲良しになった。


日が昇る頃、外が少し騒がしくなる音で目を覚まし、支度を始める。

野営楽しいな。

結構向いてるかも!

ルンルンしながら顔を洗ったり着替えたりしてテントから出ると、エリオットはすでに剣の素振りをしていた。

毎朝の日課らしい。


「もう起きていたんだ……?」


「それでも30分ぐらいじゃないかな?」


「そっか。」


私は木に腰掛けて足をブラブラとさせながら見学する。

朝日にエリオットの頬を伝う汗がキラキラと光り、エリオットのイケメン度を急上昇させている。

さすがイケメン。

しかも野営に来てまで日課を欠かさない真面目さ。

こういう所が、エリオットは王に向いてるなと思う。

彼なら国民に支持される、いい指導者になりそうだなと、リズムよく素振りする姿をずっと見つめていた。


私が見つめすぎたせいか、動きがギクシャクしてくるエリオット。

見られたらやりづらいですよね、すいません。

ソッとテントの方へ向かう。

そして、眠そうに起きてきたクラウドを抱えて、テントが畳まれるところを見に行くのだった。


しかし。

今日中にリオンのお姉さんの領に入るとして。

ビクターのお兄さんもやっぱりついてきたわけで、修羅場にならないかとちょっと心配している……。


色々あったけど、やっぱ元婚約者の領に来るとか心中複雑じゃないのかな……?

会ったらどんな反応するのかな?

私だったらひたすら見ないようにするかもしれない……!

絶対気まずいよね!?


「エステル何考えてる?テント!テント見ないのか?」


クラウドの声にハッとする。


「ああ、しまった!考え事してる間に……!」


テントは私がよそ見してる間にサッサと小さく折りたたまれてしまった。

うぅ、次は帰るときにならないと見れないというのに……。

残念そうに肩を落とすと、テントを畳んでいた従者の人が『もう一度広げましょうか?』と気を使われたので、慌てて辞退する。

お仕事の邪魔はしてはいけません。


やっと起きてきたセドリックが席に座ると、みんなで朝ごはんを食べて早々に出発。

舗装された道をガタゴトと進んで、夕方にはリオンの滞在している『ウスダルト領』へと入った。


「遠いところからよく来てくださいました。」


リオンのお姉さんの旦那さんが迎えてくれる。

とても29歳には見えない童顔な容姿を誤魔化すためか、鼻の下にヒゲを生やしている。

私とは違う濃いめの茶色の髪の毛と水色の瞳。そして、まぁまぁのイケメンである。


リオンのお姉さんの旦那さんは『ジョージ・ウスダルト』男爵と言って、ウスダルト領の領主さん。

前妻との間に一人息子がいらっしゃるらしい。


思わずリオンからの手紙を心の中で復唱していると、奥からリオンが走ってきた。


「エステル!!」


リオンが私に飛びついてきた。

間に挟まれたクラウドが『ぐぇっ』とカエルが潰れたような鳴き声を出した。


「よく来てくれたね!本当に助かったよ……!」


何やら困ったように笑うリオン。

私も思わずリオンの背中をポンポンと慰めるかのようにソッと叩いた。


「グレイス、エステルからすぐに離れるんだ……」


振り向くと、今にも剣を抜きそうなエリオットが怖い顔して立っていた。

その横で『あらまぁ』とでも言いたげな顔で、口に両手を当てて私を見ているセドリック。


「オレも早く離れて欲しい……」


クラウドが苦しそうに援護射撃した。


「あああ、ごめん。久々に会えて嬉しくなっちゃって……」


リオンが照れたように頭をかいた。


「リオン、客人が着いたのか?」


奥からリオンによく似た背の高い男性が出てきた。


「お父様、エステルです。……あれ?」


リオンが私を紹介しようとして顔を上げたまま固まる。

その固まる顔を見て、リオンのお父さんも私の後ろのメンツにギョッとした顔で固まる。


「ななな、何故エリオット殿下とセドリック殿下まで……!」


「突然にお邪魔してすまない、宰相殿。エステルが緊急でこちらにお邪魔するとのことで、我々も同行すると先ずは手紙を出したはずなのだが……」


エリオットが驚き戸惑うグレイス親子に頭を下げる。

リオンはまさかのセドリックに嫌悪感満載の顔を向けていた。


えーっと、どれから説明するか……。


というかとりあえず中に入れて欲しい。

玄関先でワタワタみんなで固まっている横で、クラウドは呑気にあくびをした。








お話はしばらくリオンのお姉さんのお話が続きます。m(_ _)m

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