表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

視線が、愛が普通じゃない



三年になって一週間。

少しずつ慣れてきたとは言えず、異様な空間がただただ増すばかりだった。

授業中は流石に静かなのだが、グループ活動や、体育の時はやはり個性のぶつかりあいになっていた。


「真衣ー、今日日直じゃなかった?」

「え?知らない」


朝来て早々机に覆いかぶっていた私は、花恋言われるまで自分が日直だとは知らなかった。


「一緒の人って誰だっけ?」

日直はふたりで行うのでもう一人に頼もう。

「えーとね、木村さん」

「…。」


私は無言でその場から離れて、廊下に出た瞬間職員室へとダッシュしたのだった。


(うわー、やばいわー)




職員室について中に入ると、そこにはもう木村さんがいた。


「お?来たな、佐東。」


先生が私に気づき、手で呼ぶ。

その時の木村さんの視線はギラついていた。

スルーしよう。


「遅くなりました。」

「佐東疲れているのか?新しいクラスで大変だと思うが、なんか困ったこととかあったら先生に相談してこいよ?」


そういうこの担任は、生物学担当、三田(みた) (つるぎ)。イケメンで優しく、学校の生徒にも人気の高い教師だ。

実はこの人も噂があるのだが、今回はいいだろう。



「じゃあ、これ教室まで宜しくな。」

先生に手渡されたのは、大量のプリント。それを二人で半分こにして教室まで運ぶ。


「ごめん木村さん、忘れてた。」


私はとりあえず謝ることから始める。


「別にいいわ。」


塩対応。悲しい。

けれど以前に「視殺の木村」と読んでしまった手前文句は言えない。

まだ怒ってんのかな?

すると先程よりも鋭い視線でどこかを見始めた。

私はその視線のあとを追うようにして見る。

(あれって…。)

視線の先には男子生徒の姿。それも私達のクラスメイトがそこに居た。

クラスメイトということは察してほしい。噂になっている人たちだ。

可愛い顔立ちの男の子の「金井(かない) 拓海(たくみ)」。

天然パーマ気味の柔らかそうな茶髪に、サッカー部のエース。

その隣にいるのは「友野(ゆの) 斗麻(とうま)」。

こちらは金井とは違い。黒髪の短髪で柔道部部長である。そして私と同じ無表情。

そんな二人が学校で噂されているのは、



「自然にイチャつくカップル。」

つまりはBLである。


その二人を穴が開くんじゃないかというような視線で木村はずっと観ている。

そして小さな声で「おいしい」と呟いたのは忘れられない。



「って言うことがあった。」

「へー。」


あの後いつも通りに戻った木村に、それ以上話し掛けず、気づけば昼休みになった。

花恋は私の話を少し聞いて一人納得しているようだった。


「なんか知ってんの?」

「いやー、あたしも最初は合ってるか分かんなかったんだけど、彼女は小説で観たことあったわ。」

「小説?」


花恋が耳かせっと言うように手招きするので耳を近づける。


「BL傍観者。後にちゃんと本人も恋愛するって言うお話の主人公だよ。」

見えない。あの大和撫子風な人が?

「あたしちょっと話しかけてくるね!」


花恋はそう言うと、木村の所まで駆け寄り耳打ちで話し始めていた。

コミュ力高くてなんと羨ましいことやら。





数分して花恋が木村を連れてやって来た。


「今朝は冷たい態度をとって悪かったわ。木村(きむら) (きよ)よ。よろしく。」

「佐東 真衣です。」


なんだこの急展開は?

花恋の方に目を向けると、あぁ、とっという顔で話し始めた。


「友達にたったのよ、今!」

「スゲェな。」

「色々深い話もできるから、なかなか相性良さげだったよ!」

「…。木村さんホモ好きなの?」


そう言うと自己紹介で油断してたのか、カッと目を見開き睨みつけてきた。


「ホモじゃない!BL好きよ。」

何が違うんだ。


「佐東さんと、紬乃さんのことこれから下の名前で呼ぶわね。私のことも潔でいいわ。」

「おっけー。良かったね、真衣。友達できたよ。少しづつぼっち回避だね。」

「ぼっち言うな。」




「でも何で金井くんと、友野君ガン見してたの?」

「そんなの萌えるからよ。」

「…。そっか。」

「金井くんは受けで、友野君は攻めね。逆もいいかもしれないけれど、私は金友推しだから。」


さっきまで気の強そうな顔が一変。嬉しそうに頬を赤らめている姿はとても可愛いものだった。遠目から会話を聞かなければだが。



そのまま潔の演説は続き、昼休みも残り僅かになった。

いつの間にか花恋は会話に花を咲かせて、腐女子トークが始まっていた。

しかし潔のニヤけた顔が戻り、鋭い視線でまたどこかを見始めた。

今度は怖いとも思わず、私と花恋も視線の先をたどる。

視線の先には案の定、金井と友野が居たのだが一つ、先程とは違うことがある。


「こっち来てんぞ。」




「れん、今日うち来るの?」

「あー辞めとく。拓ん家汚いんだもん」

「えー!汚くないよ。掃除したもん!」


何事だ。花恋と金井が話してる。

お互いに家に行きあってるのか?

流石の潔も動揺を隠せず、机に置いてあった教科書で顔を隠していた。ガン見はしているが。


「知り合いなのか?」

質問を投げることにした。

「俺とレンは幼馴染みなんだよ。」


男のくせに可愛い笑顔で私の質問に答えた金井は「ねー!」と花恋に同意を求めていた。


「そうだよ。特になりもないから安心して。」


意味有り気な視線を友野へ向け、あたしの方へ向き直る。


「サプラーイズ!」

何がサプライズじゃ。


「真衣とあんたらも仲良くしてあげてね!この子基本ぼっちだから。あと、潔とも!」


花恋言いたい事だけ言って、マンガを読み始めてしまった。


「えーと、佐東さん?と木村さんだよね?俺金井 拓海!宜しくね。ほら斗麻!」

「友野 斗麻。」

「佐東 真衣。」

なんとなく仲間意識が生まれたわ。



「尊い…。」

いつまでやってるんだ、潔よ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ