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個営小隊-ランペイジ  作者: カイガラ商店
二章 愛し合うことは罪なのでしょうか
12/12

2-7、フォーマットシステム

オータムセールでFTL買ってしまった…

おそらく存在しないであろう読者に、遅れてすまない。

血液の支配を奪い、それを使って死なない程度に体の中を掻き回す。魔力も筋力も私が圧倒しているから抵抗される事無く拷問を続けられる。他人の魔力が体内を流れるのはとてつもない苦痛で、エーテル流入と言われる。

第三者から見れば、私からこいつへの恨みなんて些細な物だろう。せいぜい二人でいる時間にちょっかいを出されただけだから。

だが、私にはクレイスが、いやクレイスだけが必要だ。

仲間が増えるのはいい、クレイスが楽しそうだから。それに隣にいるのは私だけだ。

配下を作るのだってクレイスが望んでいるなら気にしない。

二人で幸せに暮らす、それが大切で、私の生きがいだ。

それを、こいつは、邪魔をした。自分の雪辱を果たすためだけに。しかもクレイスを楽しませるほど強くなっていない癖に。

私かクレイスのどちらかを殺そうとした。つまり私の生きがいを奪おうとしたのだ。私達二人なら、魂に新たな体を与えることだって簡単だが、その間は触れることが出来ないし抱きしめることも話すことも感じることも出来ない。これは許せる事では無い。

さらに言うならクレイスの絶望の原因はこいつにある。

生かすつもりは無い。だけどすぐには殺さない。

苦しめ、壊れろ、這いつくばれ、謝れ、死ね、消えろ

コイツが消えればクレイスの罪は消える。後は私の罪さえ何とかなれば、私達はようやく一つになれる。寄り添うのでは無く一つの存在に。


龍神族として生まれて、長の人形として一族は動いていた。あたかもそれが幸せであるかのように。いやそう思わされていた。

子供の頃から刷り込みを繰り返し、罰を与え反逆を一切させなかった。その刷り込みは龍神族の掟として記され、長以外それが鎖として繋がっていた。

私は違った。あなたと出会ったから。

まだあなたが元気な子供の頃、私は指令を終わらせて帰る途中で小さなクレイスを見つけました。上空から何をしないでも感じ取れる程の大きな魔力が思わず私を引き付けて話しかけてしまいました。あなたは、覚えて居ませんよね。だって人間の三歳児程度でしたからね。

一目惚れと言うのでしょう。すぐにあなたの事で私は一杯になりました。家族の方に名前を教えて貰い、抱かせて貰う。それだけで、私はあなたに惚れてしまったのです。

考えました。龍神族は地上に降りることはあっても住むことは出来ない。だからといって他族を集落に持ち込むことは許されない。それが掟でしたが、その掟を破る事はできませんでした。

掟を破れば殺され、クレイスをこの手で抱くことは出来なくなる。

私は、名残惜しくも去り、方法を考え続けました。そして、罪を犯す決意をしたのです。

龍神族は魂を喰らうことで魔力を高め、その特徴を引き継ぐ。普段は供物を皆で分け合いますが、出かけた先で乱獲を繰り返しました。もちろんついてくる他の龍神族にバレないように。時には町を壊滅させてしまったこともありました。人間の成長する魔力を手に入れ、繰り返し繰り返し鍛えていく。

里の皆は、私の魔力の成長を見て「天才だ」「次期族長は決まりだな」などと言っていました。実際は骸の塔に立っているだけだったが。

この辺りで一度、どうしてクレイスを好きになったのかを考え始めました。ですがすぐにやめました。好きに代わりは無い。一目ぼれに理由はないですし。

年数がたち、ようやく龍神族を皆殺しに出来る力が手に入った頃。クレイスを迎えに行きました。魔力が大きすぎると成長は遅くなり、現在は小学生程度に成長してるであろう姿を想像していました。

……あなたですよね?クレイスの両親を殺したのは。

あなたが殺さなければ、今頃私達は一つになっていた。クレイスがありもしない物にとらわれることも無かった。




……やれやれ、持つすぐ10分だぞ?

私やそばでのびてる二人は無事だろうが、他の奴はどうなるかわからないぞ。

私の調整が正しければもうすぐのはずだ。

あんな雑魚なんて前哨戦も良いところだ。…あの二人のイチャイチャなんて間に入れば私だってただでは済まないな……。

あーあ、もう少し時空系統も勉強しておくべきだったか。…いや、そもそも私には使えないか。


「なーに寝てんのよ。」


「……尚美か。対して仕事をしていない怠け者め。」


「私の専門はドンパチじゃなくて隠密よ。」


寝転んでいるため、パンツが見えるかと思ったが…残念スパッツだった。

というかこれはスカートなのか?ワンピースの仲間と考えたほうがいいのか?東洋のことはよく分からん。


「おっ、回収してきたのか。」


覗いていたら後ろに伸びる紐が見え、ブリッジするように後ろを見ると簀巻きにされたアリーシャとミリアが引きずられていた。

この二人でも、ダメージが回復していないようだ。見た感じだと星が砕けるような衝撃だったからまだ成長期にも入っていない彼女達には厳しい物だったろう。たとえ不死身だろうが許容範囲を超えた力の奔流を受ければ復活には時間がかかるだろう。


「これだけじゃ無いわよ、逃げた癖に衝撃で気絶してたわ。」


紐のさらに先にはだらしなく羽を伸ばしながらのびているバーストと、それにしがみついている天使がいた。

あちこちに切り傷や擦り傷を受けているが、まあ軽症と言える範囲だろう。


「いやいや、クレイスの庇護があったからその程度で済んでいるのさ。」


「あー、なる程。じゃあアレが降ってきても大丈夫だったんじゃない?」


残念だが、私が眠たくなる程魔力を注ぎ込んだ広域殲滅魔法はそうたやすく防がれる物では無い。それこそ、この…天界だったかを壊すつもりで作った。まともな方法で防がせわしない。つまり、死ぬ。


「まっ、義輝がもうすぐここに来るわ。ここなら安全なんでしょう?」


「ああ、……化け物筆頭のお二人の近くもある意味安全だがな。」


「台風を避けるために台風の目に飛び込むつもりは無いわよ。」


ごもっともだ。

しかし、事前にここが安全地帯だとは一言も言っていないんだが、まあ流石に私達と同類というわけか。

空を仰いでみると直上には赤い星が瞬いている。

後十秒かな。


「尚美ー!!おーい!!」


「あら義輝……何よあれ…」


まあ、女にしては中性的だし落ち着いた雰囲気もあいまって、同性からでも魅力的に見えるだろう。それなりの格好をすれば美青年にしか見えない。

それが女の子と手をつなぎながら歩いてきたのだ。しかも天使だ。

手をつないでいるものの、半歩義輝の後ろに下がっており、おしとやかな彼女と元気いっぱいな彼氏のような。まあ、お似合いだ。絵になると言うのだろう。


「…嫉妬か?」


「隕石でも当たっちゃえ…」


義輝が天使の手を引きながら走ってくる。

が、その周りに小さなクレーターを作った私の魔弾が落ちてきた。体を掠めるように通過し地面にめり込む。

二人は走るのをやめ、固まる。


「ちっ、惜しい……」


始まりの合図だ。

空から甲高い鳥の声のような音が幾つも響く。この領域に居る者全てに対する警告のように、聞くものが聞けば恐怖するだろう。

赤い星が崩れていき破片が降り注ぐ。雨粒のように無数の小さなそれは激しく回転しながら重力に引き寄せられながら落ちてくる。


「狂騒曲二幕、ナリス・オルガン。ご堪能あれ。」


太陽が無いが、この場所は光が溢れている。白い、優しい光が満ちている。それを覆い尽くすように落ちてくる。一つ一つが死をもたらす凶弾として降り注ぎ当たる物全てを粉砕していく。破壊の音が途切れること無く繋がっていき、この世界を揺らし始める。

時間が進めば進むほど、威力は増していき、何時しか全てを貫くだろう。


「なっなっ…何よこれ?!いくら何でも死ぬわよ!」


「だって、どうせならど派手にかましたいだろ?」


「あんた馬鹿ね!!何も滝みたいにする必要ないでしょ!!」


滝か、雨をイメージしていたが…、なるほど。少し改善してみようか

まああわてるな。こんなので死ぬような奴らだと思っていない。

現に義輝だって刀で弾いている。必死の形相だが。

……ああ、天使を守っているのか。あれじゃあ満足に動けないか。


「どれ、助けてやるか?」


「あんたはもう寝てなさい!私がやるわ。」


ぶつくさ文句を言いながら準備を始める。

胸のポケット?文化が違うからなんと言えばいいのかわからないが、そこから針を取り出し口に咥える。コイツの魔法は癖が強く、何をするのか理解できない。恐らく根本の部分が違うんだろう。恐らくそれは西洋と東洋の違いでもある。なら理解しようとするのが間近いなのかも知れない。


「針縄解離」


手を合わせ目をつむる。

………何も起こらない?いや、コイツの術は魔法とは少し違う。きっと何か想像外の事が起きるはず。


「………来る。」


そう呟き、正面を見つめる。

滝を布のように引き裂き、安全圏に飛び込む影。

混乱している天使を背負い、額に角を生やしたそいつは私の知る義輝ではない。天使を庇うように転がり、刀を突き立てて何とか止まる。

その姿はまさに威風堂々。

酒呑童子、飛鳥の国の戦闘民族の頂点に居る、かつての神話の時代を生き抜いたらしい最強の剣士だ。話には聞いていたが現物を見ると、なかなか威圧感がある。

ゆらりと立ち上がり、抜き身の刀を鞘に収め、背負った天使を優しく座らせる。


「お帰り。」


尚美の声に振り向き、


「もー!!何でさっさと封印解いてくれなかったんですか!?すっごい怖かったんですよ!!ひゅんひゅん即死する弾がかすめて生きた心地しませんでしたよ!」


纏っていた凜とした気配は一瞬で吹き飛び、何時もより一層情けない義輝が涙ぐみながら尚美に掴みかかる。

初めて見たが、あの状態の義輝、いや酒呑童子は私と同位、あるいは上位の存在だ。ただそれを封じている尚美も中々なのか?謎だ。

だが、面白い。飽きることはなさそうだ。


「そういえば義輝、その子と随分仲よさげね?」


「何で怒るってるんですか!怒るのはこっちですよ!!」


オルガンもしばらくは止まない。痴話喧嘩は続く。

面倒になる前に私は寝よう。願うなら幸せな終わり方で頼む。後がまた面倒になる。




突如降り注ぐ、赤い破壊の暴風雨。

辺り一面が赤に包まれ壊されていく。このゴミも一緒に粉砕される。とっくに絶命していたが。

あっけない、何のために喧嘩を売ったのか……いや、そう仕向けたんだった。

それとはいえ、仮にも神を名乗るならもう少し強くなれよ。

ハークは呆然としながら雨に打たれる。ただ、普通の雨と違い濡れること無く、粒達は弾かれる。数が多い分大した破壊力が無いが、普通の奴なら一撃でも即死だろう。

ハークが何を考えているのか、この際どうでもいい。

──これで、昔を知る奴は二人だけ。

世間では魔法の祖とか言われているが、厳密には魔法の祖の落とし子だ。確かに法則なんかは山ほど見つけたがその程度だ。魔法そのものは親が見つけた物だ。

だが、今から完成する物は初めての自信作なんだ。初めてこの名前にふさわしい魔法を組めれた。条件もそろった、邪魔する奴らもこの雨ならそう簡単にやってこないだろう。

紆余曲折あり色々変わってしまったが、5000年越しの計画が、最高傑作が完成する。


「ハーク、話があるんだ。」


「………なんでしょうか?」


計画の一番の変更点は、ハークと会った事だ。最初は利用しようとしていたのに本気で惚れてしまった。それのせいで二人纏めて転生する羽目になる。


「よく考えたらさ、ハークに昔話をするのを忘れててな。誰も邪魔は入らないからここでやっちゃおうとな。」


現世に残してきた魔法陣を、ようやく起動する。あいつらにかけた転送魔法も起動して、もうじき現世に帰還させる。

こうすればあいつらでも邪魔は出来やしない。


「……駄目なんですよ。」


「は?」


「クレイスはそんなのじゃないんですよ。ちょっと攻撃的ですけど優しくて、好きな物にはとことん情熱を注いで、嘘はつかない。」

「あの時、洞窟の中で話してくれた事は嘘だったんですか?そんなはずはないです、だってクレイスは嘘をつかない。」

「嘘をつくクレイスのなんて、私の物じゃない…」


「あなた、誰ですか?」


ああ、そうか。


「……そうだな、ハークと一緒さ。」


力と力の衝突によって降り注ぐ雨が逸れていく。

魔力の成長は直接その本人の戦力の成長になる。ハークは出会ったときはまだまだ、せいぜい現世で敵無し程度だったが今は観測域の中、銀河系の中では最強だ。

正真正銘、本気のぶつかり合い。現世で戦っていたらどれだけの被害が出ていたことか。思い入れのある場所もそこそこあったからここでやりあえてよかった。


「…消えろ……偽物っ!!」


魔法陣の発動までの後数十秒。最後の仕上げだ。




鳥かごの中にいるようだ。

目の前の風景の事では無いが、何となくそう思ってしまう。

私だけが安全な空間に閉じこめられて、何かを与えられている。空間の中でしか動けないが外に出れば天敵に殺される。

愛のある鳥かごではない。養鶏場の鶏のような、資産として見られている感覚だ。


「さて、どうやって帰る?」


ナリス、こいつは避けようにも避けれない、圧倒的な存在であり祈る事しかできない。


「下に切り進めば戻れそう?」


「…いえ、無理そうです。」


尚美と義輝は天敵。この檻に閉じこもらないと食い殺されてしまいそうな存在。


「ここは別の世界だから、時空間魔法で出られるわよ。」


天使…確かイテンリア。こいつは、悪いが虫だ。


「私は一人分の移動ゲートしか作れません…」


第四天使レアスト、いやミカエルは友好的な別の生き物。

いったい何だこの感覚は。

私の中に起きた異変は大抵がクレイス関係だ。

……そうだ、今クレイスはこっちにいるんだから自由に会話できるじゃないか。文句言ってやる……ん、なんだこれ…


「………お?どうやらクレイスが戻してくれるみたいだな。」


「気が利くわね。貴方たちも着いてくる。」


「今はハーク様の隷下ですから。」


「私も旅行でもしましょうかね。」


おい待て、二人が。

その声が出る前にまばたきが起きたように世界が変わる。

ごく普通な平原の上、さえずりや風の音が聞こえる。太陽が影を作り草が一面に広がり光を浴びている。

帰ってきた、帰ってきてしまった。


「おー、便利ね。」


「アリーシャとミリアも転送されてるのね。」


「ここが下の世界……」


火が瞬くように映像が頭の中に浮かび上がる。

誰かの視点で誰かと戦っている。映像が浮かび上がる度に傷は増えていく。


「お腹すいた……」


「なら先に食べててくれ。私はやりたいことがある。」


体の各部が吹き飛び、再生し、また吹き飛ぶ。 何がどうして、起きていることは理解できない。

終わりそうにない戦いの様子が延々と流れつづける。


「二人は寝かしておきます?」


「そうね、暴れないように私が封印しておくわ。」


他の奴は見えないのか、そのまま歩き去ってしまう。

そもそも何で私はこんなことを気にしているんだ。あいつらなんて昨日会ったばかりの他人じゃないか。

眼球が潰れようが体に穴が開こうが四肢がもげようが関係ない。

なのに、なぜ頭から映像が消えない。映像は次第に途切れることが無くなり、はっきりと描写されていく。

二人が死に近づく度に鮮明になっていく。


「いやだ」


嫌いなのに、何でこんな感情がある。

私の中に誰か別の人間がいるんじゃないのか。


「やめてくれ」


誰も居ない平原の中で私は一人苦痛に耐える。


「たすけて」



「私を殺すなっ…!!」



風船が割れたような高い音と突き抜ける痛み。

ナリスが、うずくまる私を無理矢理立たせて平手をしてきたようだ。思考が止まる。


「……私が空を飛ぶのが変なのか?」


私とナリスの身長差ならナリスが手を伸ばしても胸に当たるかどうかと言ったところだろう。頭にベレー帽のような物をかぶり目の前でホバリングをしている。


「気を保て、今お前が見えたいるであろう物は恐らく現実だ。」


こいつは、気づいている。


「だが、それはお前ではない。別の生物だ。」


じゃあこの体が壊れていくような感覚は何なんだ。


「恐らくあいつらは、あそこで死ぬ。だが異常に執着し合う二人がそう簡単に死ぬとは思わん。」


「それが……これと何の関係がある……」


「知らん、予想もつかん。だからこう言わせて貰う。お前は死ねない。だからやりたいように生きろ。」


まずは飯だ。

手を引かれ私は歩き出す。

もう映像は流れてこなかった。



ネタ切れ

というより設定とか、フローチャートとか一切作ってないからどうしようもない

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