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浄弓の巫女サクヤ 〜里の因習なんて無理なので御神力を使って鬼を倒しに行きます〜  作者: 一角獣
第2部 進化〜進撃の巫女姫〜

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車座の宴

おはようございます

今回もちょっと短いお話です

 夕餉の後、サクヤと藤十郎は右近の野営陣に顔を出した。


「おおサクヤ殿、すまんね。」

「いえ、ご馳走になります。」


 座は車座で右近、少将、輔殿、藤十郎、サクヤと蒼士郎も加わった。


「まずは一献。」

「有難うございます。」


 瓶子は順に回され酌をしていく。


「で、サクヤ殿。調査はまだだが、白銀童子はこの後どう出てくると思う?」

「殺した鬼が戻らぬこと、疫病が広まらなかったことも不審に思うでしょうから、そう遠くない内にこの村を含めて何処かに出てくるでしょう。」

「だろうな…。サクヤ殿ならどう対処するかね?」

「私は面倒臭いことが嫌いなので、攻められる前に攻めます。」

「ははは!流石サクヤ殿だ。だがあの大きな山域だ。何処にいるかも判らぬのに攻め込むのは難しくないかい?」

「入り込めば迎え討ちに来るでしょう。縄張りに入られて黙っているとも思えませんし。」

「なるほどな…。行くとなれば何人くらい必要かね?」

「精鋭数名でいいでしょう。下手に戦力にならない者を連れて行き、人質にとられても敵いませんし。」

「それには鬼防寮の者が全員含まれるのかな?」

「伊都以外は。皆それなりの手練れですよ。」


 サクヤは不敵に笑う。


「サクヤ殿がそういうなら間違いないのだろう。そこの蒼士郎殿も含むのかな?」

「充分戦力になるかと。あと、鬼斬りに一人腕の立つ男がいます。彼に声をかけたいと思っています。」

「鬼斬り…。もしかしてサクヤ殿と2人生き残った男かい?」

「生き残ったのは3人ですが、怪我を負わなかった方です。」

「分かった。参戦できるよう手配しよう。ところで…。」


 右近の目つきが変わる。


「先日赤犬の里に伺ったとき、薬師の美しい女人に出会ったのだが…。」


 サクヤは右近の問いに少し構えた。


「赤犬の里は美人が多いのかね?いやぁ都でもお目にかかれない程の美人でつい魅入っちゃってね。」

「そ、そうですか…。」

「…コノハ殿のことですか?」


 藤十郎が口を挟む。


「うん、そう。何処となくサクヤ殿に似ていると思ったが?」

「里の者など皆血縁者のようなものです。似ていてもおかしくないですし、コノハ殿とはそんなに似ていないと思いますが。」

「そうかね。だが、サクヤ殿は里でもかなり美人の部類だろう?この間の神楽も見物させてもらったが、皇太子様まで夢中になっておられた。」

「えっ!?皇太子様があのような宿場町の祭の神楽をご覧になったのですか?」


 藤十郎は驚愕している。


「赤犬の神楽団は評判だからね。是非観てもらおうと思ってお声掛けしたのさ。男女問わずサクヤ殿に魅了されていたんだ。掛け値なしの美人だろうよ。」

「は、はぁ…。」


「ところでサクヤ殿。帝の御力のことは知っているかい?」


(随分唐突に話題を変えるな。何が狙いだ?)


「御力のこと?はて、質問が漠然としてよくわかりませんが。」

「あぁ、済まない。帝がどのような御力を使うか知っておられるかな?」

「確か、治癒の御力だったかと。あと、付与もお出来になるはずですが。」

「そうだね。だが、その御力も力量あってのことなんだが、その力量が年々減っている。」

「それはそうでしょう。御神域に住むか御神域で採れたものを食べなければ減り続けるだけです。そもそも御神域じゃない都に住んでいては、常に邪心や穢れに晒されますし、いつ鬼に襲われても不思議ではありません。」

「そこは大丈夫だろう。都には強固な結界が張られている。」

「結界は御力を籠め続けないと維持できないのでは?帝がお籠めになっておられるのですか?」

「…いや、そのような話は聞いたことがない…。」

「いつ張られた結界か存じませんが、それでは何時結界が破れるかわからないですよ。」

「確かに…。帰って調べてみよう。サクヤ殿は結界にも詳しいのかい?」

「いえ、先日学んだばかりです。残念ながら都全域を覆うような大規模な結界など、とてもお力になれません。」

「そうかい…、それは残念だ。」


(本当にできないからいいが、下手に出来て何でもかんでも頼られては敵わないしね。)



「明日は社に行くようだが、歓待以外に何か目的でもあるのかい?」

「はい!馬に乗せていただきます。」

「ほう、馬に。女子で馬に乗るというのは珍しいが、サクヤ殿なら不思議はないな。蒼士郎殿が教えるのかな?」

「はい。その予定です。」

「いいねぇ、この国の馬は大きくて速い。山には弱いがあの機動力は何ものにも代え難いものだ。サクヤ殿なら直に習得できるだろう。」

「だと良いのですが。できれば鬼防寮の全員に習得させたいのです。」

「全員に?なぜまた?」

「全員乗れれば、どんな現場でも駆け付けるのに時間を短縮できますから。ただ、人数分買い付けるのが大変そうで。そこは相談役にお願いせねばなりません。」

「なっ!?そのようなこと私に言われても。何の伝手も予算もありませんぞ。」

「そういうことなら、この村の危機を救って頂いたお礼に、国府から何頭か贈らせてください。流石に全員分は厳しいですが。」

「社としても進言してみよう。借りた恩は返さねばならぬからな。」

「有難うございます。瑞の国府も何かしらの礼をするとの話だったので、馬をお願いしてみてもいいかもしれませんね、藤十郎殿。」

「はぁ~。ん?もしかして、私も馬に乗れるようにならなければならぬのですか?」

「当然でしょう。相談役がお留守番では困りますから。」

「この歳になって、今から乗馬を習得せねばならぬのか…。」

「藤十郎殿はまだまだお若い。サクヤ殿の為にも励みなされ。」

「右近様までそのような無体なことを…。」



 車座の宴は、和やかな雰囲気のままお開きとなった。


(折角のお酒が余計な気を使ったせいで味わう余裕もなかったじゃないか。明日の歓待ではしっかり味わおう…。味わえればいいな…。)


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