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気絶してしまいたい。  作者: 上月志希
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これはもうネタにするしか。

「事実は小説よりも奇なり」と言いますが、こういう現実もあるのです…という話です。

「気絶してしまいたい」

 救急車の中でストレッチャーに横たわりながら、そう考える。ついでに、サイレンも鳴らさないでほしい。

 そういうわけにもいかないんだろうけど。だが、やっぱり意識がある限りは、身悶えしそうな恥ずかしさから逃れられそうにない。


 どこの世界に、正座で足が痺れて両足を骨折(多分)するヤツがいるんだよっ!!


 ことは、20分ほど前に遡る。

 カルチャーセンターでのお茶の稽古中、お客役でしばらく正座していたが、水屋に取りに行くものがあって立ち上がったら、何がどうなったのか畳の上にぶっ倒れた。

 その時、足からは「バキバキバキッ」というあるまじき音が聞こえ、倒れ込んだ時には痛みに意識が飛びそうになった。

(これは、骨をやったな)

 どこかに残っていた冷静な部分が、そう判断を下す。起き上がろうとしたら、貧血を起こしていて目の前が白くなる。周りには、心配そうにのぞき込む先生やいっしょに稽古を受けていた仲間。


「スミマセン、両足やられました。動けません……」


 こうなると、救急車を呼んでもらうしかない。ということで、カルチャーセンターの受付経由で10分ほど経ってからだろうか、救急隊員さんがやってきた。

 教室は畳敷きの部屋で、通路からは30センチほどの高さ。両足をやられているので当然、立つことはできず、高くしたストレッチャーに自分で乗ることはできない。結局、部屋に毛布を広げてもらって、その上に転がって乗り、毛布ごとストレッチャーに移してもらった。


 カルチャーセンターは、デパートの一角に設けられている。ストレッチャーはカルチャーセンターを出て売り場を移動する。これがもう、いたたまれない。こっ恥ずかしい。売り場はストレッチャーの上で頭から毛布をかぶってやり過ごし、業務用のエレベーターを使って階下に降りると、ようやく救急車の中に。


 救急車の中では、どこの病院に行くかや家人への連絡についてやり取りをする。結局、カルチャーセンターから近く、自宅からも通えそうな外科が受け入れてくれるようで、そちらに向かい、その間に家にも連絡をしてもらった。稽古仲間が一人、付き添ってくれたのも、ホントにありがたくも申し訳なかった。


 病院に到着してストレッチャーのまま運ばれ、何はともあれレントゲンを撮ることに。で、やっぱりストレッチャーからレントゲン撮影用のベッドに移るのもゴロゴロと。

 レントゲンの技師さんからは、両足の撮影ということで「こういうケースは初めてです」と仰る。この後も複数回言われることになるセリフの、第1弾である。

ほぼ実話です。

「一生使えるネタができた」と思いました。というか、思わないとやってれんわ!と。

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