52話:ゼノリス王国の全軍集結と、理事長室の平和
ゼノリス王国の王都外郭――普段は静かな平原が広がっているはずの場所に、地鳴りのような重低音が響き渡っていた。
王国の全精鋭で構成される第1から第8騎士団、城塞防衛魔導大隊、さらには宮廷隠密部隊までもが、一糸乱れぬ密度の軍陣を形成している。掲げられた王家の旗印は数百を数え、兵士たちの甲冑が夕日を反射してギラギラと異様な圧迫感を放っていた。
「……おい、本当に我が国は他国と戦争を始めるわけではないのだな?」
本陣の巨大幕舎にて、第1騎士団長が額の汗を拭いながら、隣に立つ外務大臣に引きつった声で尋ねた。
「滅相もない! むしろ逆です! 万が一にも他国の元首方に指一本触れさせぬための、我が国建国以来最大の『特別迎賓・警備体制』です!」
外務大臣は悲鳴に近い声を上げた。
東からは、アルカディア魔法帝国の重装魔導騎士団と、レムリア法皇国の神聖騎士団一千がタッグを組んだ「東西合同超巨大行進列」が破竹の勢いで進軍中。
南からは、クレイズ神聖王国の全軍と第一王子率いる聖騎士団が、国家の存亡を賭けた血眼の様子で爆走中。
そして西からは、アレンの「感覚派指導」によって全員が桁外れの戦闘力を手に入れた、バルツァー辺境伯軍第一軍が完璧な隊列で威容を誇りながら接近してきている。
「世界の覇者たちが、文字通り全軍を率いて我が国の『オルフェリア王立学園』を目指してなだれ込んできているのだぞ!? どこか一箇所の警備でも破られて他国の王に怪我でもしてみろ、その瞬間に世界大戦の火蓋が切って落とされるわ!!」
「ひっ……! 全軍に通達! 死力を尽くして王都と学園の境界を死守せよ! 各国の車列には最高度の礼を以て接し、一ミリの非礼も許すな!!」
ゼノリス王国の中枢は、国家の命運を賭けた極限の緊張感のもと、全軍を挙げて「世界史上最大の出迎え」の準備に狂乱していた。
――その頃。
台風の目となっているオルフェリア王立学園・理事長室。
「ふむ……やっぱりこの物品調達の単価、他国の相場より少し高いな。バルツァー・ラボの直売ルートに切り替えて、さらに一割削るか」
アレンは静かな室内で文庫本を小脇に抱え、羽ペンを走らせながら気楽に帳簿の修正を行っていた。
窓の外からは、王都全体を揺るがすような行軍の地鳴りや、空を埋め尽くす魔導船の羽音がかすかに聞こえてくる。だが、アレンの脳内コンパイラはそれを「学園周辺の雑音」として綺麗にミュートしていた。
「……アレン様!!」
無音で開いた扉から飛び込んできたのは、息を荒らした女神エルエルだった。
「外! 外を見てください! 大陸中の軍隊という軍隊が、この学園を包囲するように集結して大パニックになってますよ! これ絶対、あなたが飛ばしたあの雑な招待状のせいですよね!?」
激しく胸ぐらを掴んで抗議してくる専属派遣社員(女神)に対し、アレンは冷めかけたお茶を啜りながら、至って淡々と返した。
「何を騒いでいるんだ、エルエル。俺はただ、世話になった顔なじみに『学園の祝賀会があるから近況報告ついでにどうぞ』と案内を出しただけだぞ」
「それが一番おかしいのよ! なんで同窓会感覚の手紙一枚で、二大強国が合同軍を組んで国境を爆走してくるのよ!? 神界の監視サーバーが『世界大戦前夜』のアラートで赤く点灯しまくって、ルカちゃんが泣きながら手動パッチ当ててるのよ!?」
「大げさだな。まあ、人が大勢来るなら学園の宣伝効果としては満点だ。十億円の予算もこれで完全に回収できる」
「回収の問題じゃない!!」
叫ぶエルエルを華麗にスルーし、アレンは手元の招待客リストに優雅にチェックを入れるのだった。
(さて……店長と副店長は美味しいお菓子でも出せば喜ぶだろうし、帝国の令嬢には新しい美容液の試作品でも渡しておけばいいか。……まあ、賑やかになるなら悪くないな)
己が解き放った数枚の紙切れが、世界の軍事均衡と国家の概念を完全に崩壊し、大陸全土を巻き込む超巨大な狂乱へと昇華していることなど、アレンは今日も今日とて、何一つ気に留めていないのだった。
【開宴の鐘と、世界の頭脳たちの集結】
オルフェリア王立学園の大講堂は、本来であれば生徒や教師たちが穏やかな祝賀を楽しむはずの場所であった。
しかし今、そこに広がっているのは、歴史上いかなる覇権国家の全盛期すら霞むような、異質にして圧倒的な狂気の光景だった。
会場の中央には、最新の魔導防護陣と超高級なシルクで飾られたテーブルが並び、その周囲を世界の頂点に君臨する者たちが埋め尽くしている。
「――お越しになられましたか、アルカディア帝王陛下」
「ふむ、レムリア法皇殿下か。このような場所でお目にかかるとはな……」
魔法帝国の絶対君主である帝王と、法皇国の宗教的頂点である法皇が、静かに目線を交わす。両者の背後には、オクタヴィウス宰相とベルンハルト侯爵、そして一千の精鋭を代表する神聖騎士団長が、額に冷や汗を浮かせながら直立不動で控えていた。
さらに隣のテーブルでは、汗だくのクレイズ神聖王国の国王と第一王子、属性の異なるバルツァー辺境伯軍の猛者たちが、互いの圧迫感に気圧されながら固唾をのんでいる。
(……な、なんだこの空間は……!? 世界の覇権を握る君主たちが、一冒険者・一理事長が召集した宴に、文句ひとつ言わず勢揃いしているだと……!?)
会場を警備するゼノリス王国の騎士団長は、あまりの胃の痛さに今にも倒れそうだった。
そんな緊迫感が極限に達していた会場の重厚な扉が、カランと軽やかな音を立てて開いた。
「いらっしゃいませー! 本日は『バルツァー・ラボ4号店』出張所へようこそ!」
「店長、声に気合が入っています! お客様へのおしぼりの準備も完了いたしました!」
現れたのは、色とりどりの刺繍が施された可愛らしいエプロンを着用した第一王子――改め『店長』と、同じくエプロン姿の精鋭女聖騎士――改め『副店長』だった。二人は手際よく、各国の王や帝王のテーブルへ向けて、特製の薬湯とお手拭きを配り始めている。
「「「……は!?」」」
あまりの光景に、会場にいた全首脳陣の脳内が同時にフリーズを起こした。
(わ、我が国の第一王子殿下が……エプロンを付けて笑顔でお手拭きを配っている……!?)
(か、神聖騎士団の筆頭候補たる女聖騎士が、楽しそうにお茶を汲んでいるだと……!?)
「父上、どうぞ。こちらは喉の熱感を抑える【石膏】ベースの薬湯です。長旅でお疲れでしょう」
「お、おう……か、感謝する、店長……」
爽やかな笑顔で薬湯を差し出す愛息の姿に、法皇は再び感涙に咽びそうになり、周囲の他国首脳は「これが噂に聞く神の再教育……!」と激しく誤読して恐怖を募らせた。
そして、ざわめく大講堂の上座――最も光の当たる壇上へ、文庫本を片手に持った一人の青年が、何の飾り気もない黒の羽織を揺らしながら悠然と姿を現した。
アレン・ノアである。
会場全体の空気が一瞬で静まり返り、各国の君主たちが一斉に背筋を正した。
(……来た! 世界の理を書き換える『絶対者』が……!)
(この式典の場で、我らに新たなる世界の秩序を言い渡すおつもりなのだ……!)
集まった者たちが勝手に恐怖と歓喜の誤読を極限まで膨らませる中、アレンは壇上のマイク(拡声魔導具)の前に立つと、心底面倒くさそうに吐息をつき、手元のメモ用紙をチラリと見た。
「――えー、本日はオルフェリア王立学園の定期祝賀会にお越しいただき、ありがとうございます」
静かで、あまりにも淡々とした開会のアナウンス。
「まあ、せっかく遠くから来てくれたんだ。各国の物資交流や研究データの共有でもしながら、適当にお茶でも飲んでいってくれ。……あ、それと『バルツァー・ラボ』の最新調合薬のカタログを置いておくから、欲しい国はあとでまとめ買いの注文を出しておいてくれれば、一括で割引適用しておく」
アレンにとっては「ただの宣伝と挨拶」に過ぎない適当な一言。
しかし、その言葉を聞いた瞬間、世界の頭脳たちの瞳に凄まじい衝撃が走った。
(……な、なんだと!? 『世界の物流と医療インフラの一括まとめ買い』だと……!?)
(あのお方は、我ら国家間の争いを下らない雑音と切り捨て、世界の経済と命の循環を『バルツァー・ラボ』のシステム傘下へ一本化しようとされているのだ……!!)
(なんという深謀遠慮……! 力による支配ではなく、技術と流通による絶対的な平和の構築……!!)
「「「おおお……っ!!」」」
勘違いした帝王、法皇、国王、そして高官たちが、一斉に感涙の面持ちで拍手を捧げ始めた。万雷の拍手が大講堂を揺らし、ゼノリス王国の重臣たちは「助かった……世界大戦は回避された……!」と涙を流してひれ伏した。
壇上で「……なんか勝手に盛り上がってるな。まあカタログが売れるならいいか」と呑気にお茶を一口すするアレン。
世界の運命を握る勘違いだらけの祝賀会は、こうして盛大に幕を開けるのだった。
【軌道修正の演説と、トーナメントの提示】
「あ、あの……アレン理事長、大変なことになっております……っ! 外の警備隊や教員たちが圧迫感で相次いで胃潰瘍を起こし、各国の要人たちもあまりの熱狂に過呼吸を起こしかけていまして……! このままでは式典が崩壊いたします……!」
万雷の拍手が鳴り響く壇上の袖で、青ざめた担当教員が涙目になりながらアレンの羽織の裾を引っ張った。
アレンはチラリと会場へ目をやった。
そこでは、帝国や法皇国、クレイズ王国の重臣たちが「世界統一機構の提示だ!」「我らも全財産を注ぎ込んで『バルツァー・ラボ』の流通構造に組み込まれねば!」と歓喜のあまり白目を剥きかけている。
(……さすがにこの状態はマズいな。勝手に神格化されて国家レベルの経済暴走を起こされると、あとで調査や事務手続きの不整合の処理対応が増えて面倒くさすぎる)
収拾がつかなくなりかけた現場の熱量を冷却し、現実的な「課題」へと人々の意識を迂回させるため、アレンはマイクへ向けてトントンと指先で叩いた。
「――静粛に」
アレンが放った低い一言で、静寂が一瞬にして大講堂を支配した。彼は手元のメモを握り潰すと、視線を各国の首脳たちへとまっすぐに向け、演説のトーンを切り替えた。
「勘違いするな。俺が提示したいのは、単なる流通の統一や都合の良い救済ではない。……先の黒曜龍のような世界規模の未曾有の災厄が、今後二度と現れないという保証はどこにもないんだ」
アレンの言葉に、帝王も法皇もハッと息を呑み、表情を固くした。
「一人の力や特定の国家の武力だけに依存する体制は脆弱だ。今こそ各国家、各地域が垣根を越えて手を取り合い、予期せぬ困難へ立ち向かうための持続可能な育成環境を構築するべきだと俺は思う」
アレンは言葉を区切り、大講堂全体を見渡した。
「そして、これからの時代において最も重要なのは、各国、そして地方の町に至るすべての若者たちの底上げと育成を担う『学園』という教育インフラだ。……だからこそ、この場を借りて提案する」
アレンは朗々と、しかし冷徹なまでの説得力をもって宣言を叩きつけた。
「各国、各都市の代表者を広く募り、この学園を舞台とした『異種選抜トーナメント』を開催し、若者たちに明確な目標と鍛錬の機会を与えてやるべきではないか?」
会場の全員が、息をすることすら忘れてアレンの言葉に聞き入っていた。
「種目は『魔法部門』、そして『武術・剣術部門』と明確に区分する。各国の技術や教義を競い合わせ、互いの無駄を削ぎ落とし、次代の戦力を効率的に鍛え上げる場とする」
アレンにとっては「過剰な崇拝熱を『若手育成の競技会』という具体的なイベントへ放出し、学園の宣伝と授業料収入、さらには市場の活性化へと繋げるための現実的な着地点」に過ぎなかった。
――だが、世界の首脳陣の受け取り方は、またしても遥か斜め上へと跳ね上がった。
(……おお……おおお……っ!!)
アルカディア帝国のオクタヴィウス宰相は、震える手で胸を押さえ、涙を流した。
(あのお方は……目先の支配など望んでおられない! 我ら人類全体の教育水準を底上げし、未来の災厄に備えさせる『次世代武闘演習』の機会を与えてくださったのだ……!!)
(我が国の『店長(第一王子)』と『副店長(女聖騎士)』を参加させよ!)と法皇は固い拳を握りしめ、クレイズ国王も「我が国の聖騎士団の若手精鋭を全員集結させよ! アレン様へ我らの誠意を示す好機だ!」と血眼になって叫んだ。
「よし。日程や詳細な規約については追って通達する。各国とも、優秀な若者を準備しておいてくれ」
演説を終え、すっと壇上を降りるアレン。
担当教員は「す、素晴らしい演説でした……! これで皆さんの暴走が止まり……」と涙ぐんだが、直後、各国の首脳たちが「直ちに本国へ打電! 各学園および騎士団から最精鋭の若手を選抜せよ!」「全財産を投じて特級装備を買い揃えろ!」と前代未聞の大狂乱を開始したのを見て、再び崩れ落ちたのだった。
アレンはそんな喧騒を横目に、冷めかけたお茶を啜りながら「これで大会の入場料と出店料、さらには調達資材の利益で、学園の向こう数年分の運営費は完全に確保できたな」と、一人満足げに頷くのだった。
【大空に咲く花火と、平和の残像】
祝賀会もいよいよ大詰めを迎え、熱狂と感動の渦に包まれていた大講堂の空気も、閉会に向けて静かな高揚感へと移り変わりつつあった。
壇上に再び立ったアレンは、マイクを前にしてふと思考を止めた。
(……さて、閉会の締めくくりか。こういう大きな催しの最後って、前世の日本ではどうやって締めていたっけな?)
記憶の引き出しをパラパラとめくる。一本締め、三本締め、あるいは式典の終わりの挨拶――そんな当たり前の光景を辿るうち、アレンの脳裏にふと、かつて自分の生まれ育った市や町が主催していた、夏祭りの最後を飾るあの光景が浮かび上がった。
(そうか、花火だ。夜空に大輪の華を打ち上げて、賑やかに締めくくるあの感覚か)
思い至った瞬間、アレンの行動は迅速だった。
彼は静かに大講堂の天井を仰ぐと、意識を無数の魔素粒子へと直結させた。
(火の熱運動エネルギーに、風の流体力学的な推進力、そして高密度に圧縮した魔素の結合状態を多層構造で保持させる。……構成要素の発光波長と大気中の酸素混合比をミクロ単位で調整し、滞留時間を拡張。よし、各種条件の設定は完了だ)
アレンは右手をすっと天へと掲げた。
その掌の上に、バチバチと青白い閃光を散らす、拳大の高密度な『複雑混合魔素玉』が静かに生成される。
脳内で描くイメージはただ一つ――今夜、この場に集まったアルカディア魔法帝国、レムリア法皇国、クレイズ神聖王国、そしてゼノリス王国の厳かなる国章と、夜空を彩る大輪の花々。
普段ならば無言のまま物理現象として一瞬で出力するアレンであったが、今回は「式典の演出」という浪漫的思考を自ら適用し、珍しく口元に微かな笑みを浮かべて、静かにその言葉を口にした。
「――『爆ぜろ』」
シュゥゥゥゥゥッ……!!
手元から放たれた極小の光玉が、音速を遥かに超える圧巻の推進力で大講堂の天井を空間透過し、はるか上空の夜空へと突き抜けていく。
直後。
――ズゥゥゥゥゥゥン……ッ!!
聖都の夜空全体を揺らすような、重厚で美しい腹響きが天から降り注いだ。
夜空を見上げた参加者たちの瞳に、この世の限界を超えた光の奇跡が飛び込んできた。
パァァァァァンッ……!!
一瞬で暗闇を塗り替えたのは、赤、青、金、緑――光の波長を完璧に制御された、鮮やかで力強い光の絵の具だった。
大空高くに描かれたのは、各国の威厳ある紋章の意匠。そして、それが幾重にも重なり合いながら、大輪の光の花束となって夜空いっぱいに弾けて広がっていく。
さらに異質だったのは、その光の持続力だった。
通常、火魔法の爆発など一瞬で消え去るはずのものが、アレンによる多層構造の魔素膜と空気の精密な混合制御によって、まるで時間が止まったかのように、色鮮やかな輝きを大空に長く、長く留まらせていたのだ。
「あ……ああ……」
息を吸うことすら忘れ、大講堂の外へ飛び出した首脳陣や市民たちが、夜空を仰ぎ見ながら次々とその場に立ち尽くした。
「美しすぎる……。見たことも、聞いたこともない……」
オクタヴィウス宰相の手から、グラスが滑り落ちた。
法皇は震える両手を胸の前で組み、ぼろぼろと溢れ出る涙を拭うのも忘れて見惚れていた。
クレイズ国王も、神聖騎士団の猛者たちも、ただただ言葉を失い、大空に咲き誇る光の奇跡を見つめ続けていた。
破壊のためでも、殺戮のためでもない。
純粋に人の心を揺さぶり、夜空を美しく飾るためだけに昇華された「魔法の真なる応用」。
(……あのお方は……神は、最初からこれをお見せになりたかったのだ……)
法皇の心に、震えるような感動が突き刺さる。
(争い、奪い合い、破壊するために魔法を振るってきた我ら愚かな人類に……魔法とは本来、世界を慈しみ、人々の心に平和の灯を点すための技術なのだと……言葉ではなく、この圧倒的な美しさで教え導いておられる……!!)
「おお……おおお……っ!! 神よ……! 『理と秩序の神』よ……!!」
会場のあちこちから、感涙と歓喜のすすり泣きが沸き起こった。
帝国の君主も、法皇国の聖職者も、諸国の騎士たちも、互いの国の隔たりを完全に忘れ去り、肩を並べて同じ夜空を仰ぎ、奇跡の光に涙を流していた。
平和の式典が、確かにここにあった。
夜風が心地よく吹き抜ける中、人々の歓喜と感動の渦を背中で感じながら、アレンは静かに黒い羽織の裾を整えた。
(ふむ。空気の励起時間と波長調整のパラメータは完璧だったな。……これなら次の学園対抗トーナメントの開会式でも、演出用の『魔法花火』として高値でライセンス販売できそうだ)
感動に打ち震える世界をよそに、アレンは冷めきったお茶を飲み干し、次なるビジネスと学園運営の計算へと、どこまでもマイペースに思考を巡らせるのだった。




