鉄工所の話。2
レッカーでH鋼を吊った状態で
それに門型クレーンのウィンチやフックの付いた
ホイストを取付けます。
繊細な作業らしくフォークリフトを使って
上下微調整しながら取付けるようです。
おっちゃん「もうちょいアゲや。ちょっとやぞ!」
先ほど怒鳴られてた職人さんがフォークリフトのレバーを入れます。
が、レバーの遊び部分だったのか
フォークリフトは微動だにしません。
おっちゃん「アゲや。アゲ。早くせんかい。」
フォークリフト微動だにしません。
おっちゃん「アゲや言うとるやろッ!!!」
イライラしたおっちゃんが叫んだ瞬間上昇するフォークリフトのツメ
おっちゃん「上げ過ぎや!!なんでお前はもっと繊細に操作できんのや!?」
怒鳴られてる職人さんには申し訳ないのですが、
何かのコントを見てるようで
運転席で笑いを堪えるのに必死です。
思わず口元が緩みそうになるのを
握りこぶしを押し当てて我慢します。
程なくして14時くらいだったでしょうか。
門型クレーンも無事に完成。
おじいちゃんがこちらに来て
「多分もう吊る物もないわ。」
と伝えて来たので速やかにレッカーを畳んで帰り支度をします。が、
「もうちょい待っといて。」
とのこと。
ん??
吊る物ないのに何を待つの??
飲み物がなくなったので工場構内にある自販機でコーヒーを買います。
お金を入れて、微糖のボタンをポチッ。
ブラックコーヒーが出できます。
あれ??ボタン押し間違えた???
もう一度お金を入れ、
今度は間違いなく微糖のボタンを押します。
やはり出てくるブラックコーヒー。
なるほど。
ブラックな企業では微糖を押してもブラックコーヒーが出てくるのか。
ウチは甘くねぇぞっ!!ってところか。
(そんなわけない。)
さて、レッカーはいつ帰れるのでしょうか?
答えはズバリ!
「帰っていいよ。」
と言われたら帰れます。
逆を言えば言われるまで帰れません。
もちろん超過時間が発生したらその分はきちんと請求します。
現場でレッカー作業が終了したら、
レッカーは邪魔なんです。
デカいし場所取るし。
作業が終わったなら現場としては速やかに帰って欲しいのがレッカーです。
普通なら作業が無事に終了したら、
伝票にサインを貰って
お互いに感謝の気持ちを伝えて
吊人「またよろしくお願いします。」
って気分良く帰るのが普通なのですが、
私は鉄工所からいつ帰れるのでしょうか?
夕方、もうすぐ5時になるなぁー。
約3時間の放置プレイやなぁー。
って頃におじいちゃんが来て伝票にサインしてくれました。
結局14時から何一つ吊らずでした。
おじいちゃん「帰ってえぇわ。」
この一言だけでした。
後にも先にも「ありがとう」的な言葉はありませんでした。
俺、ちゃんと作業できてたよね?
失敗なかったよね??
大丈夫よね???
帰っていいと言われたから帰りますが、
ものすごく悶々とした気持ちで帰庫します。
車庫に着くとちょうど先輩の一人も帰って来ていました。
吊人「今日、あそこの鉄工所行ってたんですけど、
何なんですかあそこ!」
14時頃から3時間放置されたこと、
おじいちゃんとのやりとりを伝えると、
先輩「あぁ、あそこの鉄工所なー。
あんまり早くにレッカー返すと鉄工所の社長が怒るらしいねん。だから夕方までレッカー返さんらしいわ。」
衝撃の事実。
せめて事前に事情を知ってたらここまで驚くこともなかったかもしれないが
まさかの真相がこれ!!
ありがとうが無かったのは
多分おじいちゃんの性格だったのかなぁ?と。
いろんな現場を経験してきて、
この鉄工所は唯一で二度と行きたくない現場になりました。




