第十五話
別のパトカーの中で、圭司も後部座席で取り調べを受けている。
「自分の車を取り返したかったのですか?」警察は不思議そうに尋ねた。
「・・・・」圭司は黙ってしゃべろうとはしない。
「じゃあ、警察に連絡してまかせてもらえればよかったのに」
「・・・・」
「なぜ、自分が先導するような真似をしたのかね?」警察は、あまりにもしゃべろうとしない圭司に少しいらついて、語尾が激しくなっている。
「・・・・」
警察が、いてもたってもいられなくなり
「とりあえず、車見てみようか?」と車を降りる。
圭司は一瞬困った顔をするが、もうあきらめたようにしぶしぶ車を降りる。そのとたんカメラのフラッシュが洪水のように圭司を襲う。パトライトの明かりとフラッシュで、眩しそうにする。そんな中で、警察に抱えられるように車に近づく圭司。
セダン車の、運転席のドアを開けて
「この車が、あなたの車に間違いないですか?」警察が聞いてくる。
圭司はゆっくりとうなずく。
警察がしばらく中を見回すが、何もないのでドアを閉め、 次はトランクの鍵を開ける。
圭司の目に大きなボストンバックが写る。ドキドキして汗がどっと噴き出し、心臓が飛び出しそうだ。
「この、ボストンバックもあなたのものですか?」
圭司は一瞬、躊躇したがあきらめたようにうなずく。
「開けてみてもいいですか?」
圭司の気持ちとは裏腹に事務的に警察は聞いてくる。圭司は小さく震えた声で「はい」と小さく答えた。
カチリカチリとボストンバックを開ける音が聞こえ、目をそらす圭司。
どのくらいの時間がたったろう、きっとほんの一瞬のことだったと思われるが、無音の状態が続いた。
「これもあなたのものですか?」警察が尋ねた時にその状態が終わった。
圭司はそっとボストンバックの方に目を移した。




