第一話
数話に分かれてはいますが、短編です。
圭司の手には血で染まった置物が握られて、呆然と立っている。
足許には殴られて倒れた女が、血溜まりの中で目を見開いたまま倒れている。
マンションのリビングの真ん中で「やっちゃった・・・」と圭司は息を切らしながらつぶやき膝をついた。手に握られていた置物がゴトリと音を立てて、手から離れた。
汗だらけの圭司はシャツを一枚脱ぐと我に返り、自分が殺してしまったという罪悪感が出始め「お前が悪いんだぞ、お前が悪いんだぞ」と女に悟らせるように話しかけるが、女はピクリとも動かない。
再びしばらく呆然とし、思いたったように「隠さなきゃ!」と立ち上がった。圭司は女を毛布でくるみ、べっとりとついている床の血を雑巾で拭い、洗面所で手についてる血を洗い落とした。それから、部屋の奥から大きなボストンバックを出し、毛布にくるまれた女の横に並べて開ける。
毛布をめくると女の顔が目を見開いて圭司の顔を睨みつける。「ひっ」と声を出したが、おそるおそる女を担ぎ上げ、ボストンバックに折り畳むように入れる。最後には力一杯押し込むようにしながらようやくボストンバックを閉める事が出来た。
ボストンバックに腰掛けて煙草で一息つくと洋服に付いてる血に気がつき、くわえ煙草のまま洋服ダンスからシャツを出し新しいシャツに着替え、たばこを灰皿に押しつけると「よしっ」と言うかけ声をかけて圭司は行動に出る。
ボストンバックは思いの外重く、引きずるように玄関から外に出た。




