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霊能少女 麗奈 ―霊と対面する少女―  作者: 矢間カオル


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56話 最終話 桜 二

卓弥の目がじっと私を見ているので、何を言われるのかと、ちょっとドキドキして身構えてしまった。


「なあ、今日の春子、三人の霊が憑いていたよな」


「えっ?」


思っていなかった言葉に、不意を突かれた。

それと同時に、いったい何を期待していたのかと、笑ってしまいそうになった。


そんな思いを悟られないように、私は気を取り直す。


「卓弥は見えるようになったの?」


「ああ、修行の成果ってやつかな? まだ麗奈みたいにちゃんと見えるわけじゃないんだけど、ぼんやりと形を認識できるようになったんだ。春子の頭と肩と膝の上にいた」


「正解。どんな感じだった」


「春子と一緒に、桜の花見を楽しんでいるって感じだったな。柔らかくて温かい霊気だった。よっぽど春子って一緒にいて居心地がいいんだろう。春子が動いたら、一緒に憑いていったもんな」


「本当にね。春子は特別な力を持っているみたい。だから私も春子といて居心地がいいんだわ」


「居心地がいいのは春子だけか?」


「えっ?」


「俺は? ……いや、俺と裕太は?」


卓弥の私を見つめる目が、いつもと違う気がする……。


「あ、あの……、もちろん、二人とも一緒にいて楽しいわよ」


「そっか……」


卓弥が、少し残念そうな顔をしたように見えたのは、気のせいだろうか……。


「なあ、俺たち、二年生になったら、同じクラスになれないかもしれないけど、今まで通り、こんな風に会えないかな?」


「私もね。できたら、これからも皆で一緒に会いたいなって思ってる」


「良かった。じゃあ、これからもよろしくな」


「うん」




「麗奈も卓弥もおいでよ。バドミントン、面白いよ」

春子が手を振りながら、私たちに呼びかけた。


見ると、春子の周りにまた霊が増えている。


今は五人だ。

頭と両肩、それに両隣。


別に悪さをしようと思っているわけではないみたい。


春子と一緒にいて居心地がいい。

ただそれだけなのだろう。


今日は対面して説得する必要はないわね。


「じゃあ、麗奈、一緒にバドミントンしようか?」


「うん」


私は卓弥と一緒に立ち上がった。


その瞬間、突風が吹いて、公園中の桜の花びらが一斉にはらはらと舞い落ちた。


花吹雪が舞った公園は、まるで舞台のワンシーンのように華やかに彩られた。


春子と一緒にいる五人の霊たちは、花見客と一緒に手を叩いて喜んでいた。



本作品を、見つけて最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。

ただ単に、怖い霊を除霊するだけでなく、霊と向き合って話を聞き、霊に寄り添えるような少女の話を書きたい……、その思いから、このお話が出来上がりました。

派手なアクションなどはありませんが、地味な話の中に、面白さを感じていただければ幸いです。

面白かったら、ブックマーク、評価もよろしくお願いいたします。

皆様の応援が創作活動の励みになります。


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