077 名著「すごい科学で守ります!」シリーズ
1975年放送の「秘密戦隊ゴレンジャー」以来、時代を超えて多くの人を魅了してきたスーパー戦隊。先日、このシリーズが半世紀の歴史に終止符を打ち、現在放送中の作品をもって終了するという発表がされた。驚いた方も多かろう。
このシリーズは公式非公式を問わず様々な商品が展開されたが、書籍関連の白眉ともいうべき名著があるので紹介してみたい……ていうか、このエッセイからしてその本の影響を受けて書き始めたものなのだ。
タイトルは「すごい科学で守ります!」シリーズ。
著者は「機動戦士クロスボーン・ガンダム」などで知られる、漫画家の長谷川裕一先生。
本シリーズは、出版当時流行っていたいわゆる秘密本の一種で、スーパー戦隊シリーズの様々な設定を考察してみるというものだ。しかし、そのこじつけ具合が実に見事なのである。
作品を読むと分かるが、長谷川センセは荒唐無稽な設定をそれっぽくこじつけ、読者をなんとなく納得させる能力が非常に高い。画力に関しては批判的な意見も散見される人だが、この作者は絵が上手いのではない、漫画が上手いのだ!
いくつか例を挙げると、まずは超新星フラッシュマンに登場したロボット、タイタンボーイ。
こいつはヒーローロボによくある、高い鼻と口があるフェイスなのだが、平面的な頭部で鼻が低いフラッシュ星人がこんな顔でロボ造るか?
疑問は十年後に解消され、このロボットは激走戦隊カーレンジャーと同じ文化圏のメカだったのだ! と著者は結論づけている。なるほど車をモチーフにしたデザインや人間(地球人)に似た顔は、RVロボと酷似している。説得力は十分だ。
おそらく単身悪と戦うタイタンの心意気に感じた人から譲渡されたのだろうとのこと。あ~、確かにダップとかシグナルマンとか、あそこの人たちって情にもろくて、ノリと勢いで行動するとこあるよね……。
シグナルマンなんて、変装したゾンネットちゃんに泣きつかれたらコロッと騙されてカーレンジャーと戦ったこともあったし。いや、ゾン子とか言われた時点で気づけよ。ていうか素顔じゃなかったか?
また、特捜戦隊デカレンジャーのロボもカーレンジャーのに似ているが、これも設計をしたスワンさんが同文化圏の出身だからではないかと考察している。その根拠として「この文科圏の人は、総じて暢気でおおらかな性格をしてる」とのこと。技術どうこう言われるよりよっぽど納得だわ。
本シリーズの素晴らしさは、「こんなのあり得ない!」と頭から否定するのではなく、「こう考えたら、これあり得る!」と発想を変えよう、という著者の姿勢にある。
頭ごなしに否定するのは容易い、しかし柔軟な思考で想像し考察することは、人生をより楽しく豊かなものにする……というポリシーが、全編を通じて感じられるのだ。
人は成人すると、ややもすると子供の頃に夢中になったアニメや特撮を、幼稚なものと蔑みがちになる。
そうやって作品を見下し、「低俗でガキっぽいものを貶す自分は高尚な大人なんだ」と優越感に浸るのは気持ちいいことかもしれない。しかしそれは同時に、安易な方向への逃避とも考えられまいか。
この拙いエッセイも、長谷川先生のポリシーを見習って「こう考えたら、これあり得る!」という姿勢で書いている。むろん考察の鋭さは及ぶべくもないが、あなたの発想力を豊かにする助けとなれば、これに勝る喜びはない。
ああそうだ。カーレンジャーで思い出したけどさ……挿入歌の「暴走戦隊ゾクレンジャー」の歌詞にあるよね?
♪ゾクレンジャー ゾクレンジャー
君に振られて泣いて 腹いせに悪さするのさ♪
……もしかしてあいつら、女の子に振られた腹いせにハザード星ぶっ壊したのか……?




