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大丈夫なんでしょうか?

「いやいや、大丈夫なのか?アマデウス家って言ったら公爵家じゃねぇか。」


 えっ!?公爵家だったんですか!?全然知りませんでした。……あ、そういえば。お父さんに侯爵以上の貴族とはもめ事を起こさないって約束しましたけど、誰が侯爵以上なのか私はよく家名を覚えていませんでしたよ。危なかったですね。あの男、ヒュームとか言いましたか、に普通に魔法を叩き込むところでしたよ。


 でもアカリさん達は大丈夫なんでしょうか?


「大丈夫に決まっている。もし私らにこの件が原因で手を出してくることがあったらギルマス経由で魔王様に報告してもらう。そもそもアレが偉いわけでは無い。それにAランクの私らがたとえ公爵家であろうと貴族に対して下手に出てしまえば、冒険者全体が貴族の下に置かれることになるんだぞ。」


 なるほど……。そこまで考えての行動だったんですね。ただ私が絡まれてたからってだけじゃないんですね。


「まあ、それもそうか。それに魔王様はそんなふざけたことを見逃すようなお方ではないしな。魔王城にいつもいらっしゃるわけでは無いらしいが……。」


「なんかその話よく聞くよね。何をしてらっしゃるんだろう?」


「分からないな。そもそも魔王様の顔を誰も知らないから、どこかで会ってたとしてもわからないだろ。あの圧倒的な気配を消せるのかどうかは分からないが。」


 あれ?もしかしてこの話ぶりからして魔王様に会った事があるんでしょうか?私はちなみにないですね。魔王城で年に一度パーティーが開かれるんですが、そこに出席した時も魔王様はいらっしゃらなかったですからね。……その時も貴族の友達はほとんどいなかったので一人でご飯食べて終わるまでボーっとしてましたけどね。


「魔王様と会った事があるんですか?」


「ああ、あるぞ。Aランクに昇格するときは魔王様から直接冒険者カードを渡してもらえるんだ。だからその時に一度会った事があるな。」


「あの時は怖かったな。魔王様から溢れ出て、周囲に放たれている魔力が私らの肌にとげのように突き刺さって鳥肌が止まらなかった。それだけでなく、実際に空中でバチバチと飽和した魔力が放電していたしな。私らは魔法をあまり使わないからそこまで魔力はないが、それでももう天地がひっくり返ってもこの人には勝てないと実感させられたな。」


「声はね、聞いている人が凍えてしまうほどの声音で、でもとても透き通るような凛とした声だったよ。それでいて魔王としての威厳も込められていたよ。それに周りに貴族も結構いたからね、緊張するわ魔王様は怖いわで大変だったよ。まあ当の魔王様本人は冒険者カードを渡してくれてからすぐに転移魔法でいなくなっちゃったんだけどね。」


 想像していた魔王像とそっくりですね。ちょっと違うところがあるとすれば、性別がどうやら女性であるという点ですかね。てっきり大剣を持った屈強な男だと思ってましたよ。


「魔王様って女性なんですか。」


「おそらくな。だが、全身を覆うような大きなの羽織を着ていたから背格好は分からなかったから確定的なことは分からん。

 まあどちらにせよ、恐ろしくも厳格な魔王様がいる以上、あのような輩はもう出てこないだろう。だから安心しな。」


「……ありがとうございます。」



 それから小一時間くらいイゾウさんたちと喋っていました。明日行くダンジョンのことや、これまでの経験とか。

 一時期ヒトの国との境界にあるこの世界最大のダンジョンである“神々の原罪”に行っていた時期があったそうです。しかし、あのダンジョンはとても複雑な構造だそうで。なんでも入り口が考えられないくらい大きいらしいです。地面にとても大きいドーナツ型の穴が空いていてそれがダンジョンの入り口です。その直径はダンジョンの全体のそれと同じで、層が深くなるほど内側に渦巻いていくような感じで、まだ誰も到達していませんが最深層はちょうどダンジョンの入り口の大穴の中心に位置する場所の地下にあると考えられているそうです。構成されているらしいです。

 ちなみにこの入り口の大穴の内側にはちょっとした街が入るくらいの大きさの大地があるようですが、誰もそこには入れないそうです。なぜかそこに立ち入ろうとしたら透明の壁のようなものがあって入れないそうです。



「あっ、そろそろ失礼してもよろしいですか?この後ちょっとお買い物に行こうと思っているので。」


「うん?……ああ、もうこんな時間か。なら今日は解散でもいいな。そろそろ冒険者ギルドも依頼を終えて帰ってくる冒険者であふれるだろうからな。まだ酒を飲めないなら今のうちに帰った方がいいだろうな。」


「そうだね。ギルドの夜は長いからね。毎日のように夜はお酒を飲んで大騒ぎをしている冒険者が多いよ。特にスタンピードが終わった後だからね、落ち着くまでは宴会みたいなのが結構続くよね。今回は被害も5年前に比べたら大きくなかったし。」


「はぁ、私はそういうの嫌いだから先に帰る。そもそも酒は好きじゃない。」


 ……まずいですよ。日がそろそろ沈みそうです。もし月が出てきたら見ないようにしないと。見たら吸血鬼の姿に戻ってしまいますね。それは避けないと。


 でもソフィアさんと買い物には行くんですけどね。


「ソフィアさん、お待たせしました。今からでもいいですか?」

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