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転生

 私の意識が再浮上した時、すぐに違和感を感じました。とんでもない窮屈感というか、何か小さいものに押し込まれている感覚というか、とにかく体が思っていたのと違ったのです。しかも目の前は真っ暗で何も見えません。


 まさか、あの神と名乗っていたじいさんに騙された……?


「##!$%&#%&$@<!」


 騙されたショックと怒りで震えそうになっていた私でしたが、すぐに近くから大きな音が聞こえてきました。いえ、音というよりは声なんでしょうね。なんと言っているのかはさっぱりわかりませんが。


 ドタドタと二人分の足音が聞こえてきます。そしてガタッという音共に天井が外れて、そこから二人の男女が私をのぞき込んでいるようです。ばっちり目があいました。そしてすぐに女性の手にすくっと持ち上げられる私。


「#%!#$%&%#&%!」

「$%&。#$&%$<>&。」


 私の目には木々の青々しさを閉じ込めたような綺麗な明るい緑色の髪と瞳をした女性の満面の笑みが映っています。思いっきり笑っているのにその顔は愛らしいだけでなく、美しさも残っています。女の私でも思わず見惚れてしまうほどです。年のころは20代前半といったところでしょうか、小柄ですが出るところはしっかり出ていますね。うらやましい。前世?では私は……。やめておきましょう。みじめになるだけです。


 その側に若干呆れ要素が入っていながらも微笑んでいる男性が立っています。白い髪をいじりながら、愛情のこもった赤い瞳を少し狭めて私と私を抱きかかえている女性を眺めています。こちらの男性も顔の造形が中性的というか、恐ろしいほど整っていて日本にいたら確実にスカウトマンの行列ができるであろうレベルです。


 ……なんというかこの世界は見た目が素晴らしい人がとても多いのでしょうか?鏡を見るのが少し怖くなってきました。


 おや?どこに行くんでしょうか?突然私を持っている女性が動き始めましたよ?スタスタと女性は今いた部屋を出て隣の部屋の扉をガチャリと開けました。そこは寝室だったようで大きなベットが二台置いてあります。当然そんなベットが二台あるのでこの部屋も結構広いです。

 そして私をそのベットの上に乗せると、女性は自然な動作で上着を脱ぎました。


 ……ん?一体何をしているんですか?え?どういうことでしょう?あまりにナチュラルな動きに私の認識が追いつかないようです。え?

 しかもそのたわわに実った果実を私の口元に押し付けてきますよ?


「%&$&%#~。」


 え?本当にどういうことですか?しかもなんか歌ってますし。え?理解が追いつかなくて思わず口をギュッと噤んで目を閉じてしまいました。


 ……おや?なんか地震でも起きたのでしょうか?体揺れています。いや、これは私を持っている女性の体が揺れているのでしょう。そんな震えるほど私に、その、胸を吸わせたかったのでしょうか……?恐る恐る表情を伺うと、……え?なんでそんな残念そうな表情をしてるんですか!?もしかしていわゆるアレなんでしょうか?寡聞にしか知りませんでしたがこれが百合……?


 女性は私を再度ベットに乗せると、上着を着て再び移動を始めました。


 今度入ったのは……キッチンです。先ほどの部屋ほどではないですが、十分な広さがあります。料理人っぽい恰好をしたおじいさんが電子コンロのようなもの上で大きな鍋をコトコト煮込んでいます。

 うーんいい匂いですね。この匂いからして作っているのはもしかしなくてもビーフシチューではないでしょうか?夜ご飯に是非とも食べてみたいです。


「%&%$&#><~。&#%$%#?」

「#$~。&%$#&%。」


 また何を言っているのか分かりませんが、二人が会話しているようです。

 会話が終わったのか女性が白い液体が入った小さなカップのようなものをおじいさんから受け取ってキッチンを出ていきます。


 うーん、何となくは感じていましたがこの家は広いですねー。移動の時間がそれなりに長いですよ?この女性も私を持ってこんなに移動できるとはそれなりに鍛えているのでしょうかね。そんな筋肉があるようには見えないですし、私を持っている手からも感じませんが。


 そして今度女性が入った部屋はリビングでしょうか?大きな長方形をした机に椅子が4脚ほどついています。そのうちの一つには先ほど見た男性が座っていて、もう一脚にはまだ子供の男の子が座っています。おそらく私の弟でしょうか?女性と同じか少し濃いくらいの緑色の髪を短く切りそろえたその少年は女性よりも少し薄い緑色の瞳をその手に持った本に向けています。


 でも私と私を持った女性に気づくとその男の子は本をテーブルに置いてまっすぐこちらに走ってきます。


「&$%!%#&%$%&#?」

「&%$#$%$#%。&%$#%&=~。」

「#=。”#$%#”?」

「&%$$%。%$%#%、&#$。」


 その男の子は女性から白い液体の入った器をもらうと、それに哺乳瓶の飲み口のようなものをつけて――私の口に押し付けてきました!?

 何やってんですか、このクソガキは!?私はそんなんいらないですよ!赤ちゃんじゃないんですよ!普通にごはんを食べたいです!それにそもそもそんな押し付けたら飲めるものも飲めないでしょうが!!


 そこまで考えてようやく気付きました。


 ――あ、私ってば赤ちゃんじゃないですか。

明日以降も毎日8時に投稿していきます。

よろしくお願いします!

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