三
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「ぼくは、唯の道化かもね。」
こいつは、よく、そう呟く。 何が、そんなに虚しい?
「…まぁ、いいか。」
毎度、そう言って、仮面を被りなおして、出てゆく。
私は、そういった人間の呟きを…時に、気違いじみた独り言を、 毎度毎回・聞いている。
飽きる事は無いが、ロマンチックでも無い。
同情もしなければ、邪険にもしない。
…そう、何も感じない。
ああ、でも、最近、気付いた事がある。
先程のあいつは、『…まぁ、いいか。』と呟き、仮面を被りなおす瞬間、 ふと微笑むんだ。
何と言うのだろうな?
そう、まるで、一向に成長しない子供に向き直るような、そんな微笑み。
何故だろうな?
その笑みは、日に日に柔らかくなる。
子供に悪意が無いなんて、嘘だ。
あいつも、それを知っているのだろう。
それでも、あいつは、今日も微笑む。
何に、微笑む? 何故、微笑む?
ああ、何だろう? この、ざわざわする感じは?
風が木の葉を揺らす様に、
ざわざわ ざわざわ
ざわざわ ざわざわ。
…ざわめきは、私に意志を持たせ始めた。
何かが始まる時というのは、きっと毎度、こんなモノなのだろう。
初めての始まりは、私を変質させていく。
それは、侵食なんて、生易しいものでは無い。
私その者の、存在を賭けた揺らめきなのである。
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