プロローグ
「ようこそ薫様。
『冀望~創生への序章~』への召還に応じて頂きありがとうございます。」
「種族は魔人(吸血鬼)で間違いございませんか。」
白く何もない空間にやわらかい女性の声だけが響く中、空間の中央に、半透明な男性が足元から徐々に作られていく。
適度に筋肉がついた細身の体に、シャープな顔立ちの男性である。
男の全体像が浮かびあがると同時に、徐々に髪が肩甲骨辺りまでのび、目と髪の色が黒からシルバーグレーへと変貌していく。
事前に本人のデータをもとにキャラ設定を終えたアバターが写し出されたのだ。
男のアバターが実体を持ったものへと変貌していく中、いつの間にか男の前には鏡が設置される。
鏡に写し出された男のアバターの横に次々とパラメーターが刻印されていく中、女性の声が再び静かに響く。
「よろしければ、Yseを。変更がおありでしたらNoをお願いします。」
鏡の中に刻印されたYseの文字に、男の指が迷いなく触れた直後、辺りを眩い光が満たし、男は完全な実体となった。
「薫様、我々『冀望』への召還に応じてくださりありがとうございます。
我々は今、人類の危機に瀕しております。
-中略-
どうか、我々に力をお貸しください。
つきましては、私どもの世界の歩き方を説明させていただきたいと思いますが、必要ですか。」
「お願いします。」
「私達の世界はレベル制とスキル制です。
魔物を倒す等、様々なことで経験を積み種族レベルの上昇を図ります。
スキルはスキル所持者への弟子入り、同じ行動を繰り返す等、薫様の行動次第で取得可能になります。他にも取得方法はありますので、『冀望』世界の中で確認してください。
取得可能になったスキルはスキルポイントを使って取得します。
スキルは使えば使うほどレベルが上昇します。
種族レベルとスキルレベルにより各行動の強度・成功率等が変化します。
スキルは基本的に攻撃系・魔法系・生産系に分かれます。
攻撃系はスキル名を詠唱するだけで発動。魔法系スキルは詠唱と魔方陣で、生産系スキルはレシピと材料を用意していただいければ発動します。
これはあくまでも基本です。スキルにより発動条件は変化します。
あと、常時発動スキルもございます。
もちろんスキルがなくても今まで通りの生活でしたら支障なくしていただけます。」
因みに、体力は一流アスリートを基準に各種族ごとに細かく設定されている。
一方的に語りきった女性の声はここで途切れた。
「また、今回ファミリー登録で、ダンジョンマスターをお選びいただいてますので、ダンジョンについて一つだけ。
ダンジョンは、徐々に入り口を大きくしながら10日ほどで完全に外の世界とつながります。
今は結界によりダンジョンマスターしか出入りできませんが、10日後には、結界が消滅しすべてのモノが出入り可能となります。」
「後は、ご自身でお試しください。
では、実りある『冀望』ライフを・・・。」
女性の言葉を受けて、男性アバターは姿を消し、また白く何もない空間が広がるだけとなった。
男はそうして、水晶一つと美少女が一人いるだけの空間におりたった。




