公開
公開日。
午前十時。
第一話を公開する。
SNSにも告知。
あらすじも確認した。
一時間。
PV、126。
三時間。
PV、402。
ブックマーク、8。
数字を見る。
閉じる。
第二話を開く。
十分後。
また管理画面。
「変わってねえ」
結局見る。
栞からメッセージ。
『数字見てる?』
『少し』
『正直』
『成長した』
『そこ?』
二日目。
ランキングには入らない。
三日目。
スマホに通知が二つ来た。
アクセス通知。
感想通知。
指が一瞬止まる。
感想を先に開いた。
その人が書いていたのは、第一話の最後だった。
姉の原稿に、一行だけ妙な文章がある。
『彼女は、泣きながら笑った。』
新人賞に出す原稿なら、俺はたぶん直す。
泣くのか笑うのか、どちらかにした方がいい。
もっと具体的に書いた方が伝わる。
そう思って、カーソルを置く。
『彼女は少し笑った。』
打って。
消した。
姉がどんな顔を思い浮かべて、この一行を書いたのか。
もう聞けない。
だから直せなかった。
主人公は結局、その一文を残す。
俺も、その場面は残した。
『お姉さんの小説を直せないところ、すごく分かりました』
そこは、栞も俺も好きだと言った場面だった。
しばらく読んでから、管理画面を開く。
ブックマーク、23。
「二十三か」
少ない、と思う。
でもそのうち一人は、さっき言葉をくれた。
俺は第二話を更新した。
数字はゆっくり増えていった。




