第9話 勇者たちは白之魔女に翻弄される?③
5
「はい、そこまで! それ以上やったら、訴えるわよ」
突如、背後から聞いたことのある声がする。
ヤバい!? 見つかった!?
「……ねぇ、早くぅ♡」
しかし、スイッチの入ってしまっている摩耶は、その声にすら気づかず、今にも俺との合体が果たせそうになってしまう。
お互いが敏感なところが触れ合って、俺も引くに引けない気持ちになっていた。
そう。これって本能だ。
本能で摩耶とひとつになりたいと思ってしまっている。
少しずつ自身の腰を突きだそうとしているのが分かる。
ちゅぷっ♡
「……くぅん♡」
「てか、話聞けよ、この性欲猿ども!」
聞いたことのある声の人物は、俺の攻撃的なそれを握りしめる!
「んぎゃっ!?」
「……くぅ~ん♡」
ま、マジでヤバい!
目の前では、シてもらえずに焦らされて、拗ねるような甘い声を出す摩耶。
てか、そんなに握られたら出ます!
「て、く、黒崎先生!?」
「アンタねぇ……。私が保健医だってこと忘れてるでしょ!? 入ってきてみれば、何だか、女の子の甘いおねだりするような声が聞こえるから、休みの日に保健室で勝手にまぐわるのは誰なんだよ! ってカーテンから覗いてみたら、一番、やっちゃいけない二人組なんだけど!?」
「てか、先生、離してください! で、出ます!」
「もう! 仕方ないわね! ほら! パクッ♡」
んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?
エロい舌が刺激してきて、これはダメだ……。暴発する……。
ううっ…………。(自己嫌悪)
「アンタねぇ……。もうちょっと加減しなさいよ。どれだけ出すのよ……。飲み込まないと大変だったじゃないのよ」
「て、飲んだんですか!?」
「まあ、美味しくいただいたわ。私、魔女だけど、片親は淫夢魔だから、むしろ食事みたいなものだし」
「吸われた本人を目の前にして、食事と割り切らないでください……」
ボクはげんなりとする。と、同時に溜まり溜まったもの吐きだした所為もあり、下半身に力が入らない。
と、同時に甘えた猫撫で声の摩耶が、俺の背中から抱きしめてくる。
そして、そのまま奪い取るように俺と唇を重ねる。
ぬちゅる……ねちゅんちゅ……
「はぁ……まったく、このお嬢ちゃんは摩耶家の御令嬢だろ? 親父さんが見たら、卒倒してしまうぞ……」
「ぷはっ! こ、これ、何とかならないんですか!? まるで、ボクから精を絞ろうとしてくるんですけど」
「いやいや、お前、摩耶を勝手に淫夢魔扱いするんじゃないよ。仕方ないなぁ……。じゃあ、これを使うか……」
と、言って、聞き取れぬような耳鳴りのような呪詛を唱えると、黒崎先生の右手に気持ち悪い植物の植わった植木鉢が登場する。
ウネウネとしつつ、ねっとりとした粘着物質が特徴的なこれは………
「触手じゃないですか!?」
「おや、さすが、エロ小説もきちんと読んでいるんだね。正解だよ。これをここに置いて」
と、黒崎先生はベッドの下に設置する。
そして、ハンカチで口と鼻を抑える。
ん? 何か嫌な予感しかしない!
ぶはぁっ!!!!
大きな爆破音のような音と同時にピンク色の煙がモクモクと発生する。
俺も間一髪で呼吸を止めていたので、その煙を吸うことはなかった。
が、摩耶はモロに煙を浴びたようで、顔がデレェと締まりなく、また、瞳も蕩け堕ちていた。
「あぁ、もう、こんなところにいたんだぁ……神楽ぁ♡」
黒崎先生はその様子を伺ったあと、急いで周囲に結界のようなものを張り巡らせる。
「先生、これは?」
「いや、きっと凄いものをお見せすることになると思ってな……。私とお前だけの秘密にしておいた方がいいと思って、人払いと結界の両方を張り巡らせておいた」
凄いもの、とは?
で、俺はその後の光景を見て絶句するしかなかった。
いや、あれは摩耶にとっても悪夢なんじゃないだろうか。
どうやら、先程の煙は洗脳に近いようなもので、幻覚を見せることができるという。
今の摩耶の場合で言うと、俺が見えているらしい。
で、触手で何度も攻められる摩耶の姿があった。
「……おおふっ♡ んはぁあ♡ ちょ……ヤメ……んひぃ♡」
保健室には絶対に外に漏れ聞こえてはならない摩耶の卑猥な喘ぎ声だけが叫ぶように響いてた。
そして、触手によってイキ果てていた。
どうやら、本人は幻覚によって、俺にイカされたと思っているようだけれど……。
ベッドのシーツがすべて濡れているところに、摩耶はビクンビクンと痙攣させながら、半分白目となっていたのである。
「うむ。これ、危ないから今後使わないようにしよう!」
「実験でやったんですか!?」
「いや、ちょっと面白そうだったから、本当にエッチなアニメみたいになるのかなぁ……って思って、ちょっと興味半分で使ってみただけなんだよ?」
「でも、これ、生きてます?」
「痙攣しているから生きてるよ……、たぶん」
「これをどう説明するんですか?」
「じゃあ、私はこれで失礼するよ! て、どうして、神楽くんはポケットから荒縄なんか出てくるの!? ちょ、ちょっと待って!」
俺は逃げようとする黒崎先生を荒縄でぐるぐる巻きにして、摩耶に謝罪させることにした。
全く、何てことをするんだよ!
で、でも、可愛い摩耶があんなあられもない姿になってしまうなんて……。脳裏に焼き付いた記憶は、どうやらここ数日間の俺の夜な夜なのおかずになりそうであった。
6
私が気が付いたのは、夕方ごろ……。
保健室で心配そうに見つめる神楽の顔が目を開けると飛び込んできた。
制服を着たまま、保健室のベッドに横たわっている。
あれ? でも、最初使おうとしていたのは窓際ので、今はそうじゃない……。
「良かった……目が覚めたんだな……」
「あれ、私、何があったの?」
「……う!? 唐突ですね!?」
「たしか、私、エッチになるスイッチが入っちゃって、居ても立っても居られなくなって、あなたと交わろうとしたのよね……」
言いながら、ものすごく恥ずかしくなって顔を赤らめてしまう。
目の前の神楽も気まずそうに顔を赤らめている。
「で、あの後記憶がないの……」
「思い出さないほうが良いんだろうけれど、深いわけがあるのできちんと説明してもらうよ」
申し訳なさそうに、神楽が横の褐色の肌の露出度の高い服装の保険医を私の前に差し出す。
あ、この人覚えてるわ。
確か、神楽にくっ付いていたエロそうな人!
「あなたが摩耶さんね?」
「ええ、そうですけれど、先生はどなたですか?」
「私は今度からこの学校でお世話になることになって現在研修中の保険医の黒崎っていうの……」
「あなたは確か、神楽くんに呪いを掛けた人ですよね?」
「そうよ。ようやく、あの時の私の言ったことは理解できたかしら?」
「ええ、ユリナール・アロンソという名前が何を意味するのか、分かりましたよ。神楽くんとキスをすることで」
「そっかぁ~! 君たちはキスをしたんだね! うんうん! 初々しいな!」
両手をパチンと叩き、笑顔でうんうんと頷いている黒崎先生。
が、真顔になって、
「でも、さっきのあなたはそれどころじゃなかったのよ?」
「―――――え。」
黒崎先生は私の耳元で、ボソボソと先ほどまでにあったことをすべて話してくれた。
聞けば聞くほど、私は顔が赤くなり、先程から何度、ボッ! と繰り返し、湯気立っているか分からない。
「わ、私、そ、そんなに触手で喜んでいたんですか……」
「どう思う? 神楽?」
「え!? 神楽も見てたの!? 止めなさいよ!」
「いや、あそこで止めたら、お前、俺を襲おうとしてたんだぞ!?」
「う……。それもそうね……。で、私は昇天して、さっきまで寝てたのね……」
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
恋人(仮)の前で何て恥ずかしいことを仕出かしたのかしら!?
これって大きな知ってんじゃないの!?
てか、私っていつの間にそんなに性欲が強くなってきてたのかしら……。
神楽のものを自分の場所まで誘導してるっておかしでしょ!?
しかも、最後はおねだりでお尻振ってたとか……………。思考停止しちゃうわ。
「あはは! 神楽、さっきの見てたやつをおかずにするなよ」
「し、しませんよ!」
「いや、これはするね……。あんなのそこら辺のAVよりも凄かったもんな……。しかも演技なし! 『マジモノJKが発情期? ご主人様におねだりするも卑猥な触手で調教中』って感じか?」
「勝手にタイトルつけないで! ああ、黒歴史だわ……」
そっか。それでベッドも変わってるのね。
いや、見たくもないけれど……。
そこで私は一つの疑問に行きつく。
「て、ところで、何で私と神楽が性行為をしちゃいけないの?」
「残念ながら、それは『白之魔女』が絡んでるのよ……。『白之魔女』は私の腹違いの姉になるんだけど、その名の通り、透き通るような白い肌の魔女だったの。まあ、アンタみたいに貧乳だったけど」
「大きなお世話です! 小さい方が感度はいいんです!」
「なあ、神楽、この子ってもしかしてドスケベなのか?」
「いや、まだお試しで付き合うって感じなので分かりません」
「お願いだから、真面目なやり取りをそこでしないで! 私の心が死んじゃうでしょ!」
「あ、そう。じゃあ、話を戻すね。で、その『白之魔女』がなぜか、君らに呪いを掛けたんだよ。『性行為をすると貴方が死んでしまう』という呪いをね」
「……何だよ、それ。じゃあ、俺と摩耶は絶対にセックスできないのか?」
「何それ、やる気満々なの!?」
黒崎先生が驚くように私たち二人の顔を見る。
私は照れて何も言えなくなってしまう。
神楽は息荒く、うん! と頷いている。
あのぉ、まだ仮契約状態なんだよ? まあ、確かに今回は私が寸前のところまで誘っちゃったけど……。
「うーん、やっぱり世界樹の祈りは強いなぁ……」
「世界樹?」
そこで、私はふっと記憶のロックが解除されたかのように、おぼろげに記憶が蘇り始める。
隣で私は「もしかして……」と驚きを隠せない。
「そろそろ本当の誓い人を見つけられるんじゃないの? 神楽くん」
黒崎先生は、右手を私たちの前に差し出し、ボヤッと黒い炎を起こした。
その炎の中には何か人影が映っている。
でも、それが誰かが分からない。
私の心の中ではひとつの決心がついていたのだけれど………。
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