キッコさんとの、その後。
そしてキッコさんとポン太郎さん達は、呪符付きの縄にかけられて身動きを取れなくされて、その場に
放置された。半ば晒し者状態だ。
そして月蓮さんがキッコさんの側に寄る。
「遂に捕まえたわ。キク? どうしてこんないたずらをしたの? 大人しくしてればこんな事しないで済んだのに?」
「月蓮。あたいは妖怪じゃよ? 妖術使って人を化かす。これが定石じゃろうて?何の不思議でもないじゃろ?」
「其れだからって、驚かしたりしてもいいって訳でもないじゃない?人に対して迷惑なのよ」
「とって殺すと云うんでも無いのになぁ」
「ふん。何とでも言うがいいわ。それじゃあ先ずは、あんたからかなー?」
一緒に捕まっているポン太郎さんの方に、月蓮さんは方向を変える。
月蓮さんは、ポン太郎さんの前で札をなびかせたが、ポン太郎さんは動じなかった。
「なかなかやるじゃない?」
月蓮さんはそう言うと何やら呪文を唱えてポン太郎に叩きつけた。
すると、ポン太郎さんの身体が一瞬光ったが、姿に変化は無い。
しかし。
「!?俺は一体?はあ?何で縄にかけられて居るんだ?」
「お目覚めのようね?」
「巫女さんか?この状態を説明してくれねぇか?」
ポン太郎さん?は怒っている。
月蓮さんは隣を見て指さした。
「この妖弧の仲間が、あなたの体を乗っ取っていたのよ。十年位ね」
「ナニ!十年?そ○うはどうなった?」
「無くなったわよ」
「潰れているのか!」
「可哀想に。十年分の記憶がすっかり抜けているのね。これもさ。キク。あんたの仲間のせいよ?」
「ポン子はうちよりずっと前にこの世復活しとったんじゃ。あたいのせいにされてもな!」
月蓮さんとキッコさんのやり取りに、金太さんは振り向きギョッとする。
「ほっ、本物の妖怪!?」
金太のさんの驚きに、周りは更にどよめいた。
そして、ギャラリーの人ひとりが近寄り、金太さんに言う。
「金太さん。中島屋、当時一人でやってたんですよね?」
「そうだけど?」
「ある日急に、金太さんの喋り方変わったし、奥さんが現れたんでびっくりしたんですよ!」
「俺に奥さん?居ねーって!前から!」
この話しを聞いて僕はびっくりした。
そうなると、逃げたポン子さんに何か秘密がありそうだ。
美徳も驚くだろうな。
「お話しは、その位でいい?」
月蓮さんが更に寄る。
「月蓮。煮るなり焼くなり好きにするが良い。目的は達成したしのぅ」
「目的?何かは知らないけど達成したならいいわね?」
目的は達成?キッコさん?どう達成したっていうの?
「月蓮や。お主のお望み通り、あたいを封じ込めるがいいさ」
えっ!?キッコさん、消えちゃうの?
「キッコさん!」
僕は思わず叫び声をあげてしまった。
「ふん。健太郎め。このうつけが」
キッコさんはため息をつく。
月蓮さんは、一瞬僕をみたが、直ぐにキッコさんの方に向き直し、キッコさんの額に封印の札を頭に当てた。
「いてっ!」
キッコさんが短く叫ぶと、体が光を放ち、消えてしまった。
この様子をかなりの数のギャラリーの人達が、カメラの画像に収めたりしていた。
「これでよしと!」
月蓮さんは、満足そうだった。
僕は、月蓮さんの方へ近寄った。
「月蓮さん!キッコさんを退治したの!?」
「退治というよりも封印ね。彼女の場合は」
「じゃあ、ポン子さんやポン太郎さんは?」
「狸の事?一つは妖怪で、一つは霊体だったよ?逃げられたけど。
もう現れないと思うけどね?それと健太郎君。
封印の意味は解るわね?あそこに行けば、キクに会えるかもよ?」
僕は、月蓮さんの2つのキーワード見たいなものを言われたがすぐ理解した。
僕はそんな月蓮さんを意外と優しいと思った。
「ありがとう!」
僕がこう言って立ち去ろうとした時。
「ちょっと待てよ!」
後ろから、大きな声で呼び止める男が現れた。
だ、誰だ?
僕は声のした方向に体ごと向けた。
僕がみると、全く面識の無い男だった。
「おい!お前!さっきのあの妖怪と其処の巫女さんとどういう関わりがあるんだよ!」
僕にどういう関わりがあるかって?
「そ、それは。僕が神社のしめ縄を切ってしまってから・・」
それ以上の言い訳が思い付かない。
僕は、キッコさんが「お主が来るとややこしくなる」と言っていたのを思い出した。
これで、キッコさんのいう通りになってしまった。
「五井君?・・ねえ。そこの男の人。実はねえ・・・」
何も答えられない僕を見かねて、月蓮さんが説明をする。
「元は、この近くの神社のしめ縄をこの彼が偶然切ったらしいの。そしたら彼の家に突然いたらしい
の?そうでしょ?」
「はい」
「それからねぇ・・」
その説明は、月蓮さんの立場上の物となり、キッコさんの他に現れた九尾の狐が、過去に月蓮(牡丹)さんの父親に
瀕死の重傷を負わせていた事等をを話し、封印を解いた僕が悪いという話になった。
だが、キッコさんと僕の、ひいお爺さんとの秘密は、守られる形となった。
この場が何とか収まり、僕は月蓮さんに黙って帰るように促された。
そして僕は月蓮さんの言うとおり黙って立ち去る。
周りからは相当な罵声を浴びながら・・。
エピローグ
キッコさんが消えてから、約一ヶ月が過ぎた。
あれから僕が美徳から聞いた話しだけど、youpipeの動画に、kキッコさんが月蓮さんに退治されたあの時の様子がアップ
されて以来、あの騒動の跡を見ようと、まあまあの人が木皿津を訪れるようになった。
また、ポン太郎、ポン子さんの妖怪と狸繋がりなのか、昔話で有名な証乗寺は益々有名になっていた。
それに伴い、ポン太郎さんが乗り移っていた金太さんの店「中島屋」までもが金太さんを一目見ようと訪れて繁盛しているという。
そして、キッコさんの方はと言うと。
僕は、かつてキッコさんのいた神社まで、街をぶらつきながら行くことにした。
キッコさん映った動画が商店街の各店で流され、実在した妖怪としてさりげなく紹介されていた。
また、月蓮さんと戦った時の傷あとが、掲示板などで紹介されるなど、それを見ようと訪れる人を集めるのに一役買っていた。
そして僕は、キッコさんが祀られている稲荷神社に、苺ミルクの缶を持ってお詣りに行く。
実は、キッコさんが消えてから三回目のお詣りなのだ。
今までは何の反応も無かった。
今回もだろうか?
僕は、二礼二拍手一礼をして、苺ミルクをお供えしてキッコさんに問いかける。
「キッコさん。お陰様で、この木皿津は活気づいて来たんだ。ありがとうございます。どうか、これからも、この
木皿津を見守ってやって下さい。お願いしますね」
僕はこう願ってから一礼をして立ち去ろうとした時だった。
「・・健太郎。健太郎や。元気にしておるか?」
「んっ!?キッコさんの声だ!」
キッコさんの声が、僕の頭の中に直接入ってきた。
「キッコさん、ここに居たんだ。
前に2回お参りしたのに、何にも無かったから、本当に消えたと思ったよ?」
「んんー?きっとそれは、妖力が完全でなくて、目が醒めて無かった時に来たからじゃなかろーか。
つい今しがた、目覚めたらお主が居たんでびっくり仰天なのじゃ!」
「キッコさん、目が覚めたばっかり!?」
「ああ。そーじゃ!あれからどうじゃ?この木皿津は?」
「キッコさん達の騒動の事もあって、かなりの人達が訪れるよう
になったよ。それからね・・・」
僕は後の事をキッコさんに伝える。
「さようか。ならば良い。しかしじゃ。健太郎?お主、美徳とはその後はどうじゃ?」
「どうって!仲を修復するのに必死ですよ!」
「ほほー?もっとおきばり。うちは、お主らの子の顔が見たいな!お主らの子孫とともに、この木皿津を見守れればと思う」
「そう?いざという時は見守るだけじゃなく手を出せる?」
「はい?今、何ていうた?」
「手を出せますかって聞いてるんです。
ただ見守るんじゃなくて、いざという時は姿を現して直接対処するとか」
「はい?健太郎や?うちは、しめ縄によって封印されておる。手を出せる訳なかろ?」
「そうですね。だけど、いざとなったら僕がこのしめ縄を切ってあげますよ。そうすればまた出れるんでしょ?」
「そうやも知れぬが、健太郎が生きてる内にあるかのう?」
「ははは。こりゃキッコさんに一本取られたね。・・将来に息子とか出来たら、キッコさんの事は伝える
つもりですよ。
封印を解く方法もね。だから、力を貸して下さいね?」
「よし、分かった。健太郎の息子の顔を見るのを楽しみにしておるよ」
「じゃあキッコさん。僕はそろそろ行くね」
「そうか?時々、ここにお詣りに来るんじゃぞ、健太郎。達者でな」
「ありがとう。キッコさん。それじゃあまた、いつか」
僕はキッコさんの稲荷神社をあとにした。
-完-
いかがでしたでしょうか?
題材はありきたりかも知れませんけれども。
一応、モデルの地域を歩いて取材したりして書いた、初めてのコメディーです。
※追記 誤字や脱字多いですね(汗)。修正しました。




