連理の枝
「ゆうちゃん!
おおきくなったら、およめさんにしてね!」
〔なおちゃん、うん!
ぼくのおよめさんになってね!〕
4歳くらいの時に交わした約束
そんなの、覚えてるわけないよね
"キーンコーンカーンコーン…"
《ねぇ、山川ー今日これから暇?》
「ん?何で?何かあるの?」
《暇なら、デートしない?》
「で、デート!?」
《そ!別に彼氏とかいなかったよな?行こうよ!》
「行かない…」
《なんでだよー!いいじゃん!》
〔なら、俺とはどうだ?〕
「…小森、めずらしいね 声かけてくるなんて」
〔そうか?それで?どうする?〕
「何が?」
〔デート!行くんだろ?〕
《おい!邪魔すんじゃねぇよー小森ー》
〔選ぶのは山川だからなぁ
どっちも振られるパターンかもしれないし?〕
「…ちょっ…じゃあ…行こう」
あたしは、ゆう…小森のワイシャツを引っ張って歩く
〔俺が選ばれたらしい すまんな 安田!〕
《くそー山川、また明日なー》
「うん…」
門を出てしばらくしても、
何であの2人がー!?とか声が聞こえる
〔…いつまで服を引っ張って歩くつもりなの?奈緒〕
「あ、ごめん…って、名前…」
〔別にいいだろ?幼馴染みなんだからさ〕
「…でも…」
〔好きなやつでもいんの?俺が名前で呼んでるとこ聞かれたくない?
誤解されたくないとか?〕
「そういう、わけじゃないけど…」
〔じゃあ、いいじゃん?昔から呼んでるんだしさ〕
「…学校ではやめて」
〔ふーん〕
「…何?」
〔奈緒 俺の名前呼んで〕
「え?ゆうちゃん…?」
〔うん、その方が落ち着く んだよ、小森とか…〕
「だって…」
〔奈緒、お前さ…〕
「ん…?」
〔いや、いいや それより帰るんだろ?送るよ〕
「ありがと…」
【優司point of view】
こいつ…まさか約束忘れてるんじゃないよな?
幼稚園の頃くらいの約束だからって
無効になんかさせないからな…
ほんと…学校では話したがらないし
いろんなやつにあーやって誘われてるしで
俺の心がもたない…
かといって、付き合ってくれとか言って
断られるのも怖いし…
でも、もう我慢の限界だ
さっきも、つい話しかけちゃったし
つか、あいつも奈緒のこと狙ってんのかー
はぁ…
無自覚なんだよなーモテてることに
あ、夏祭りのポスター貼ってあんじゃん…
〔奈緒ー〕
「ん?」
〔夏祭り、どうすんの?〕
「…ゆうちゃんは?」
〔行くよ〕
「あ…そうなんだ…」
〔奈緒と行くって決めてる!浴衣着てこいよ!〕
「あたしと!?え、なんか…デート、みたいな…」
〔デートだろ〕
「え!?」
〔楽しみにしてるからさ な?行こうぜ〕
「…う、うん」
〔…よかった〕
「ん?」
〔いや?何でもねぇ じゃ、また明日な?〕
「うん、送ってくれてありがと また明日ね」
家の中に入っていく奈緒を見届けて
俺も家に帰る
夏祭りデートかぁ…
やべー ドキドキする
奈緒に浴衣って言ったんだ
俺も着ていかないとな
〔母さん!俺の浴衣ってあったよなー!?〕
【奈緒point of view】
ええええーーーー!!!!
ゆうちゃんと、夏祭りデート!?
浴衣着て… デート…
ううううう…!!!
口から心臓が出てきそう…
あたし、あの時…
他の人とお祭りに行っちゃうのかと思って…
心がチクってした…
やっぱり好きだよ…
友達にも、ゆうちゃんを好きな子も多いし
あの頃の約束なんて
忘れられちゃってると思うけど…
〈あたし、小森に告白しようと思って…〉
友達からそう打ち明けられて…どうしよう…
でも、ゆうちゃんが他の子と…とか、嫌だ…
あたしも夏祭りで…気持ち、伝えようかな…
浴衣着て…おしゃれして…
うん
伝えなきゃ…後悔、したくない…
【夏祭り・花火大会】
〔奈緒ー〕
「ゆうちゃん、おまたせ…
ごめんね、髪セットするのに手間取っちゃって…」
〔…〕
「?ゆうちゃん?」
〔あ、いや…混んでるから、手つなごうぜ
ゆっくり歩くから〕
「うん、ありがとう」
何にも言ってくれなかったな…
似合ってなかったかな…
あ、でも…
つないだ手が優しくて
ゆうちゃん、耳が赤くなってる…
ねぇ、期待しちゃって…いいのかな…
【優司point of view】
かっっっっ…わいい…
やべぇ…他のやつに見せたくねぇ…
はぐれないように、手をつないで
屋台が並んでるエリアまで歩く
浴衣だからな…汚さないようにしないと…
〔腹減ってるか?〕
「ううん、そこまでは…」
〔じゃあ…いちご飴でも買うか?〕
「うん!」
〔ちょっと待ってろ 2本くださーい〕
これがいちご飴かー初めて見た
〔写真とか撮るか?〕
「いいの?」
〔おう こっち座るか〕
「うん」
〔よし、はい、チーズ〕
「あとで送って?」
〔おう あ、甘いなーやっぱり〕
「砂糖だもんね でもおいしい!」
〔うまくて良かったなぁ 花火までまだ時間あるし、ゆっくりでいいぞ〕
「うん!」
可愛い…はぁ、やべぇ…
《あ!山川じゃね?》
〔げ〕
《んだよーまた小森と一緒かよー》
「うん…」
《てか、浴衣可愛いっ!!なぁ!写真撮ろうぜ?》
「え?いや、あの…」
〔だめだ!!!〕
《なんでだよ!いいじゃねぇかよーこんなに可愛いのに》
〔奈緒は今、俺とデート中なんだよ 邪魔すんな〕
「え、ちょっと」
《え?名前…?デート…何!?お前ら付き合ってんのかよ!?》
〔そうだよ、ほら あっち行け!〕
《ちぇー…俺狙ってたのにーくそーっ》
「…ゆうちゃん」
〔あ!勝手にすまん…でも、あれで邪魔はされないで済むぞ〕
「あの、ゆうちゃん」
〔ん?〕
「…ほんとに…彼氏…に、」
〔…〕
「あ、ううん いちご飴甘くて喉乾いちゃった…何か買ってくる…」
〔なお〕
「え?」
〔俺、あの約束も忘れてねーし
彼氏にもなりたい、ってか なっていいよな?〕
「ゆう、ちゃん…」
〔本当は最後まで言って欲しかったけど〕
「…うん 彼氏に…なって欲しい…」
〔おう やっと…やっとお前の彼氏になれた〕
「え?」
〔なんだよ ずっと好きだったんだぞ?俺は〕
「…あたしも…」
〔…そか 早く言えばよかったな〕
「ゆうちゃん…好き」
〔…俺も好きだ〕
あ、花火が始まるアナウンスが聞こえる
〔奈緒、こっち 花火がよく見えるとこあるんだ〕
「そうなの?」
〔飲み物買っていくか〕
「うん!」
飲み物を買って、ゆっくり歩きながら
特等席へ
俺の家の屋上
「わぁ…綺麗…」
〔毎年さ、ここからよく見えるんだよ〕
「知らなかった…一緒にお祭り行ったことも
花火を見たこともなかったもんね」
〔誘いづらくてさ 断られたら…とか考えちゃって〕
「あたしも…友達としてもいられなくなったらって
思ったら怖くて…」
〔ずっと両想いだったのになー〕
「ほんと…ふふ」
〔でも、まぁ これからはずっと一緒なんだからいいか!〕
「うんっ!!」
あたしの部屋からは見えないのーなんて話しながら
あーほんとに…毎年誘えば良かったな、なんて
素直に言えなかったもんな
お互いに、さ
よろこんでる奈緒の写真をこっそり撮ったりして
また、奈緒との想い出が増えてうれしかった
【始業式】
〔おい、奈緒ー遅れるぞ〕
「待ってーゆうちゃん」
みんなに見られながら登校したから
奈緒が恥ずかしそうだけど
もう我慢できないからさ
名前でも呼ぶし、
奈緒に近づいてくる男たちを牽制しまくってる
【奈緒point of view】
〈なおちゃん、何で言ってくれなかったの?
幼馴染みとかさー本当は前から付き合ってたの?
言ってくれたら、小森くんのことこんなに好きにならなかったよ〉
「ごめん…付き合ったのは、花火大会の日から
でも、あたしもずっと好きだったから…」
〈…〉
これで何人目だろう
あたしの周りから 友達がいなくなっていく
それでも…
他の人に取られたくなかったし…
〚なーお!あたしはそばにいるからね!
別に小森なんか好きじゃないし!〛
「ゆのちゃん…ありがとう」
〚みんなさ、今はショックかもしれないけど
きっと、また仲良くなれるよ〛
「そうだったら、いいな…」
〚大丈夫!みんな、なおが良い子って知ってるんだから〛
「ありがとうね 元気でたよ!」
〚うん!〛
ゆのちゃんがそばにいてくれてたから
寂しくなかった
それに、昼休みにはゆうちゃんとお弁当食べられるし!
〔奈緒、大丈夫か?〕
「ん?うん!ゆのちゃんがいてくれるし!」
〔悪い…俺のわがままで、オープンにしたから〕
「ううん きっと、後から分かるほうが拗れてると思うから 大丈夫
それにね あたし、ゆうちゃんの彼女だもん」
〔…おう! 何かつらいことあったら、言えよ
俺、彼氏なんだからさ〕
「ありがとう!ゆうちゃん」
それから、半月くらいかな
みんなが謝ってきてくれて
〈ねぇ、幼稚園の時から約束してたってほんと!?〉
「え?え、あ、うん…」
〈きゃー!運命じゃん!そりゃ、2人のこと邪魔できないよ!!〉
「え?」
〈ごめんなさい!許して!またなおちゃんと仲良くしたいよ…〉
「ありがとう…でも、その話し、誰から…?」
〈ゆのちゃんが応援してあげてよ!って教えてくれたの あたしたち、知らなかったから…ごめんっ!〉
「…そう、ううん!あたしこそ、ごめんね
仲良くしてくれたらうれしい!」
ゆのちゃんが、みんなとの仲直りの橋渡しをしてくれて
あたしたちはまた仲良しグループで遊びに行ったり
できるようになった
【3年後】
〔やっと約束が果たせるなー奈緒〕
「うん!ゆうちゃん、ありがとう」
〔こちらこそ、だ なぁ、あいつらに見せつけてやろうぜ〕
「もう!そんなこと言ってー」
わたしたちの結婚式は滞りなく進んで
ついにブーケトスの時間
〚なおー!〛
〈なおちゃーん!!〉
誰が取るかなぁ?
「みんな、行くよーっ!」"ポーーーンッ"
タイトル〘連理の枝〙
※連理の枝とは、別々の木の枝や幹が癒着して一体となったものを指し、そこから「固く結ばれた男女の仲」のたとえにも使われる言葉である。
Fin...
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




