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召喚少女! ~少女たちと召喚士が紡ぐ、カードと絆の物語~  作者: 和泉 きよ


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039.いらない存在

古びた建物の中。


リリは、かつて自分を召喚していた男と向かい合っていた。


「……どうして戻ってきた?」


男の声には、喜びなど少しもなかった。


リリは俯いたまま、小さな声で答える。


「……私、行く場所がなくて」


ミナとは一緒にいられない。

そう思ったから、リリは一人で旅を続けることを諦めた。

そして、以前の召喚士を探した。


ここに戻れば、自分にも帰る場所があるかもしれない。


そう思っていた。


けれど――。


「お前、まだ俺のところに戻ってくるのかよ」


「……え?」


「もう、お前なんて必要ないんだよ」


その言葉に、リリの表情が固まった。


「でも……私はGRで……」


「GRだから何だ?」


男は冷たく笑った。


「お前を使っても、全然勝てないじゃないか」


リリは何も言えなかった。


確かに、以前は違った。


初めてリリを召喚したとき、この召喚士は喜んでくれた。


「GRだ!」


そう言って、一緒にカードバトルをしてくれた。


けれど、もっと強いGR少女を手に入れてから、少しずつ変わっていった。


リリが負けるたびに、召喚士の機嫌は悪くなった。


そして、いつしか――。


「もう、お前はいらない」


そう言って、リリを置き去りにした。


あの日の寂しさを、リリは今でも覚えている。


それでも。


「……ごめんなさい」


リリは頭を下げた。


「私が弱いから……」


「そうだよ」


即答だった。


「お前が弱いから、俺は勝てないんだ」


その言葉を聞いた瞬間、リリの胸が痛んだ。


「……私、頑張るから」


「頑張る?」


男は苛立ったように言った。


「何度やったって勝てないくせに?」


「……っ」


リリは拳を握った。


本当は、ここへ戻ってきたくなんかなかった。


でも――。


ミナを巻き込みたくなかった。


自分のせいで、ミナまで傷ついてほしくなかった。


だから、一人で戻ってきた。


「私……ミナには、迷惑をかけたくなかったの」


「知るかよ」


男は吐き捨てるように言った。


「そんな話、俺には関係ない」


そして、カードバトルで勝てない苛立ちをぶつけるように、リリに乱暴な行動を取った。


「……っ」


リリは怯えながら身を縮めた。


「お前なんか、最初からいらなかったんだ」


その言葉が、一番苦しかった。


カードバトルに勝てないことよりも。


GRなのに強くないことよりも。


誰かに必要としてもらえないことが――何よりも辛かった。


そして男はその場から去っていった。


それでも。


「……ごめんなさい」


リリは小さく何度も呟いた。


「ごめんなさい……」


そのときだった。


「リリちゃん!」


建物の外から、聞き慣れた声が響いた。


「……ミナ?」


リリが顔を上げる。


扉の向こうに、ミナが立っていた。


「どうして……」


「探したの」


ミナは息を切らしながら、リリを見る。


「ずっと探してたんだよ」


「来ちゃだめだよ……!」


リリは必死に叫んだ。


「ミナは帰って……!」


「嫌」


ミナは首を横に振った。


「私は、リリちゃんを置いていかない」


「でも……私なんかのために……」


「私なんかって言わないで!」


ミナの声が震えた。


「リリちゃんは、私の大切な友達だよ」


リリの目から、涙がこぼれた。


「……ミナ」


けれど、その直後。


張り詰めていたものが切れたように、リリの身体から力が抜けた。


「リリちゃん!」


ミナが駆け寄る。


「リリちゃん、しっかりして!」


何度呼びかけても、リリはすぐには答えられなかった。


ミナはリリを抱き起こし、その手を握る。


「大丈夫だから……」


水のような光が、ミナの手のひらに集まっていく。


「今度は、私が助けるから」


優しい水の光が、二人を包み始めた。


――次の瞬間。


ミナの必殺技が発動する。


「アクア・ヒーリング」


リリを包む光は、静かに、そして強く輝き始めた。


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