薔薇色の花嫁 高層ウェディングホテル最上階における悲劇の死んでない殺人事件
「花嫁さんが――血まみれで、死んでいる――」
高層から絶景が見渡せると評判の、ウェディングホテル。
その最上階にある、ウェディングドレス専用の大きな試着室にて。
――花嫁が、口から大量の血を流して、倒れている――
――元は純白のドレスを、鮮烈なまでの赤に染めて――
口紅より生々しい色合いの鮮血、そのおびただしい量を見るに、絶命していることは間違いないだろう。
第一発見者の男性は、このホテルを任されている支配人。初めに彼が思わず大声を上げていたため、更に男女が二名ほど集まっている。
つまり部屋には現在、3名おり――支配人が青ざめながら呟いた。
「こ、これは一体、どうしてっ……お客さまから目を離していたのは、ほんの一瞬なのに……ハッ!? なぜウェディングドレスを……本日はご試着の予定は、無かったはず……っ、とにかく今は、安否の確認を――」
『――――被害者に近づかないでください!』
「!? なっ……どちら様でございますか!?」
不意に室内に響いてきた声に、支配人が丁寧にお尋ねしながら勢いよく振り返る。
他の男女も含め、室内の三名全員の視線が集まった先には――女子制服を着た、一人の少女が。注目されながらも、少女は物怖じもせず言い放った。
「ボクは〝菅渉 紗恵〟――高校生探偵・サエと呼ばれています。偶然、このホテルに宿泊していた者ですが……とんでもない現場に居合わせてしまったようですね。これは間違いなく、殺人事件……しかも難解な密室殺人です。現場を荒らされては困りますので、まずは被害者に近づかないよう――」
「……えっ!? いや、ちょ、待ってください……殺人事件で、しかも密室って……この部屋に鍵はかかっていませんでしたし、全然、密室なんかじゃ――」
「いいえ支配人さん。この部屋ではなく……このフロア全体の話です。最上階のこのフロアは、隣の式場が大部分を占めますが、そちらこそ鍵が掛かっていて立ち入りできず……残るはエレベーターホールに繋がる通路と、この控室のみ。小さな密室ではなく、大きな密室とお考え下さい」
高校生探偵・サエが言うと、そこで異議を唱えたのは、元からいた三人の中では唯一の女性――大人びたスーツ姿の彼女が、手を挙げて問う。
「あの……あっ、申し遅れました。私、〝銀山 千夏〟と申します。それで、えーと……今のお話だけで、このフロア全体が密室とは言い難いのでは? 非常階段だって、何ならこの控室から近い位置にある訳ですし……」
「いえ、残念ながら――ボクは、その非常階段から来たのです。エレベーターという密室が信用できない性質でして」
「ここ三十九階なんですけど?」
「ふふっ、ご心配なさらず……何も一階から駆けあがってきた訳ではありません。ボクの宿泊部屋は四階なので」
「そんな違いないと思いますけど。神〇ビルかよ」
「〇羅ビルほどではないです。まあとにかく、非常階段で最上階のここへ至るまで、誰ともすれ違わなかった。エレベーターが使われていた様子もない……ゆえに密室と見て間違いない、ということです。……ところで銀山さん、でしたか……随分とホテルの構造にお詳しいのですね? 非常階段の位置も正確にご存知で……」
「! あ、いえその、そっ……れくらい、普通です。変なことはない、と思いますけど……」
「……そうですか。ふむ……」
何やら怪しんでいる様子の高校生探偵・サエだが、とにかく、と対応を進めるべく支配人に声をかける。
「……何はともあれ、被害者のご遺体も、このままにはしておけませんし……現場検証も必要です。支配人さん、今すぐ警察を――」
「……へっ!? け、警察ですか!? い、いえそれは、ちょっと……」
「おや。……警察を呼んで、何か不都合でも? 殺人事件が起こっていれば、通報など当然のこと、と思いますが……支配人の、向見逗さん?」
「!? な、な、なぜわたくしなんぞの名前を……!?」
「いえ、大したことではありません……趣味の一環ですよ。泊まるホテルの従業員は、公表されている限りは全て覚えるようにしています……無論、このホテルもね」
「ひいっ!? 趣味が怖い……!」
「ふふっ……恐縮です」
恐縮するところが正しいのか定かではないが、さてもう一人――女性容疑者・銀山千夏の隣にいた男性の様子が、妙だ。
「っ、っ……はあ、はあっ……は、う、あああっ……」
「……銀山さんの、お連れの男性さん……どうか致しましたか? 随分と落ち着かないご様子ですが……」
「っヒイッ!? い、いえっ、何でも……お、お、おれは何もやってませっ……あっいえ!? 違います、おれは犯人じゃな……ハア、ハア、ちがっ……!」
「ふむ。……まあ結論を焦らず。ただ、そうですね……確実に分かることが、一つ」
高校生探偵・サエが立てた人差し指に、部屋中の視線が集中し――はっきりとした口調で、探偵らしく述べる状況は。
「フロア自体が密室の状態で起こった事件――最上階に用のあるお客さんも少なく、新たに踏み入る人も無し。……いえ、これほど手の込んだ事件です。あるいは細工でもして、エレベーターも稼働していないかも――」
「――えっ!? 花緒里、何で血まみれで倒れて!? あっアタシ、この子の付き添いで、式場の下見に来てて……さっきエレベーターで上がってきたんですけど、どうしてこんなコトに……!?」
「――エレベーターは動いているようですけど、まあでも、ここまで密室状態だったので、そういうことに。……あっ、ご友人の方、現場保存のため、あまり近づかないようにしてくださいね」
「えっ、あっはい。あ、アタシ看護師の資格あるんで、あと友達ですし、せめて傍に……ああ、花緒里、なんでこんなコトに……」
「コホン。……さて、そういう訳で……密室状態の最上階、そしてこの試着室において、血まみれで倒れていた花嫁さん……そして犯行の可能性がある容疑者は、この場にいる三名――つまり」
少しばかり、水は差されたが。
今、この高層ウェディングホテルの、最上階において。
高校生探偵・サエが、高らかに叫ぶ――!
「犯人は――この中にいる――!」
「「「「………………!!!!」」」」
高校生探偵の宣言に、容疑者である三人(+一人)に、戦慄が奔る。
果たして、誰が犯人だというのか。
白薔薇と称えられる純白の超高級ドレスを、赤薔薇の如くに染めて――
これより、事件の全貌を明らかにする――!
……そのために。
この事件における容疑者たちの思惑を、一人一人、解き明かしていこう。
――――――――――――――――――――
<一人目・向見逗 小丸=ホテルの支配人>
ホテルの支配人――〝向見逗 小丸〟が、この場を仕切る高校生探偵・サエと言い合う。
「ちょ、ちょっと、もう少しお待ちいただけませんか、その……警察を呼ぶのは。ほ、他のお客様を驚かせてはいけませんし、秘密裏に……いえ、穏便に……」
「おや。……先ほどといい、どうして警察を嫌がるのでしょう? 秘密裏に、穏便に、と申されますが……既に人が一人、死んでいるという事態なのに?」
「うっ……そ、それは、そのっ……!」
高校生探偵・サエの眼が、訝しむように探りを入れるが――向見逗が内心で思うことは、というと。
(う、うう、まさか殺人事件が起こるなんて……しかも、よりにもよって、うちのホテルで!? 今の時代、殺人事件が起こったホテルなんて一瞬でSNSなんかで情報が回って、あることないこと書かれて経営が成り立たなくなる……そうなれば間違いなく支配人の責任問題だし……)
「……向見逗さん、どうしました? そこまで警察を避けようとするなんて、怪しいとしか言えません……そういえばあなたは第一発見者、ホテルの支配人なら隣の式場への鍵も持って、隠れることも出来るはず……まさか、あなたが犯人――」
「! ちち違いますっ、それは断じて違います! ハア、ハアッ……す、少し、少し考えさせてください……ハア、ハア……」
息切れしつつ、必死に頭を回転させる向見逗は――
(と、とりあえず、オーナーに相談を……っていやいや! こんなこと、そのまま報告できるか! しかも支配人である自分が第一発見者とか……そんなの責任問題で、一発でクビですがな! こ、こんな……こんなこと……)
頭を抱える勢いの向見逗――そして、次の容疑者は。
――――――――――――――――――――
<二人目・鷺田増 金好=結婚詐欺師>
「ハア、ハアッ……ハアー、ハアーッ……ゲホッ、ハッ、ゼエッ、ヒイッ……!」
容疑者の一人とされてから、急激に息切れし、見る見るうちに顔色が悪くなっていく彼は――〝鷺田増 金好〟。
女性に結婚を持ち掛けて騙す、即ち結婚詐欺師である――述べるだに口も腐ろうという悪党だが、悪事に慣れているとは思えぬほど、焦燥の只中にある。
そんな彼、鷺田増の心中とは。
(お、おお、おれは違う、おれは殺人なんてしねえっ……女を騙しては金を巻き上げ、そらもう闇金〇シジマくんリスペクツな悪事を働こうとも……そそそんな殺人事件なんて大それたことが、おれに出来るはずもねぇ! お、おれじゃねえっ、おれのせいじゃねえっ! おれは、おれは――)
「むっ。何やら五十歩五十一歩な、反吐の出る悪事の気配を探偵の勘が察知しましたが……あなたは鷺田増さん、ですね? お連れの銀山さんから、お名前を窺いました。先ほどからずっと、顔色が優れないようですが……もしや何か、この事件に心当たりでも?」
「……ヒ、ヒイイッ!? い、いいいいえ、おれじゃないですっ!? これは違う、こんなことは――」
「こんなことは? それではまるで、何かはしているように聞こえますね。まさか犯人と共謀でも? 全く、結婚詐欺師のような顔をして……」
「ヒィンッ!? ……あっいや、ししし、失礼でしょぉが! ま、全く、ゼエゼエ……と、とんだ濡れ衣だぜ~ぇ、ゲホゲホッ、オエッ……」
「ふむ。……それは失礼しました。ですが、ならば……なぜそんなにも吐きそうになるほど焦っていらっしゃるのでしょうか?」
「!!! そ、そほぉんっ……そ、それはぁ……その、ッホォウ……」
しどろもどろになる、鷺田増が思うのは――
(い、い……言えるかァァァァ! 殺人事件の犯人じゃなくたって、別の事件だし! ああ、何でこうもタイミング悪く、殺人事件が起こって、しかも探偵まで……こ、このままじゃ犯人にされちまう、かと言って、おれの正体なんて……)
一人で勝手に追い詰められ、汗だくになって息切れする鷺田増――そして、次の容疑者は。
――――――――――――――――――――
<三人目・銀山 千夏=身分秘匿捜査中の女刑事>
(……う、うーん、どうしよ……コイツ、この結婚詐欺師の鷺田増に〝騙された被害者の女性〟を演じてるって時に……こんな事件が起こっちゃうなんて。しかも私、身分秘匿捜査中の刑事なんですケド……)
腕組みしつつ遠い目をして考え込むのは、〝銀山 千夏〟――刑事ならではの余裕か、落ち着いて考えていると。
(まあ別に、私に怪しいトコなんて無いでしょーし、疑われるなんてナイナイ。高校生探偵・サエって……うーん、聞いたコトあるような気も……まあ刑事の耳に入ってくるくらいなら、腕は確かかもね。じゃあ放っとけば、犯人、見つけてくれたりして。あーあ、鷺田増が犯人だったら、話が早いんだけど――)
「他の男性二人は、明らかに怪しすぎる……ここまで挙動不審なのは、さすがに不自然。そう、こんな時は……一番〝犯人っぽくない人物が犯人〟というのが定番……だとすれば、まさか、犯人は……銀山千夏さん?」
「は。……はあああ!? いやそんなワケないでしょ、もっとちゃんと考え」
「ヒッヒイイイイイ!!? あ、アンタ殺人鬼だったのかァァァァ!!?」
「うっせーわ鷺田増に引かれんのだけは何より納得いかねーわ! シバくぞ、このっ……と、とにかく、違いますから!」
身分秘匿捜査中だけに、鷺田増が結婚詐欺師であるということを指摘する訳にもいかない。芋づる式に銀山千夏の正体も露見する恐れがあるからだ。
が、それゆえに高校生探偵・サエの眼は、なおさら鋭く輝く。
「ふむ。……ですが貴女は、非常階段の位置を正確に把握し……しかも随分、泰然として構えていらっしゃる。大の男が二人、こうも慌てふためいているのに……一般女性である、貴女が。なぜ、そんなに落ち着いていられるのです……?」
「! い、いえ、だから、それはぁ~……」
いざという時、標的である鷺田増を逃がさないため、ホテルの非常階段を含む非常用通路を把握していた――が、まさかそのことで疑われてしまうとは。
落ち着いているのも、実は刑事だから――だが今、正体を明かす訳にもいかない。
(くっ、こうなったら、正体を明かして……ってダメダメ! ようやく鷺田増の尻尾を掴んで、もう少しで逮捕ってトコまできてんのに……こんなコトで、おじゃんになんて出来ないって! こ、ここは何とか切り抜けて……)
「どうしたんですか、銀山さん……やはり何か、心当たりでも……」
「い、いえ、だからぁ~……あっえっと、その、お手洗いに行きたいんですけどぉ~……ずっと我慢しててぇ(そ、その隙に部署の仲間に電話して、助けを求めよう……それで万事解決……!)」
「むむっ! この局面で一人になろうとするとは、何か細工でも……あるいは追い詰められて、逃げようと? やはり怪しい……貴女が犯人……!?」
(ウッウオオッ喋るごとに疑いが深まる! 誰か、誰か何とかしてぇ~!?)
なぜだか追い詰められている、身分秘匿捜査中の女性刑事。
とにかくこうして、容疑者全員の心中が明かされることとなった。
――――――――。
そして、次の。
――――――――――――――――――――
<四人目(!!)・染芽野 花緒里=鮮血(?)の花嫁>
「ふむ。……フロア一つという大きな密室で起こった殺人事件、居合わせた三人の容疑者……果たして、花嫁さんを殺害した犯人は、誰なのか……」
高校生探偵・サエが、細い顎先に指をあてて、推理している。
――のを、この部屋にいる人物の中では、最も低い位置で聞いている者の心中は。
(……スイマセン、生きてます……生きてまァす……)
花嫁である。
繰り返す――花嫁である。
もっと言えば、白薔薇と称される高級ウェディングドレスが、赤薔薇のように染まっているのを身に纏い、絶賛・死亡中と思われている花嫁である。
なぜ彼女が――〝染芽野 花緒里〟が死んだふりを続けているのか、というと。
(ああ、ああ……なんで、こんなことに……わたしは、わたしはただ、このウェディングドレスが何だか妙に気になって、ほんの少~しだけ、のつもりで試着して……なんか気が大きくなって、テンション上がって、赤ワインをがぶ飲みした結果……思う様にむせ返り、口から赤ワインを強かに噴出……エグいくらいにドレスを汚しちゃって、どうにか誤魔化すため死んだふりを続けている内に……な、なぜか殺人事件にまで発展して……いやホント、なんで……!?)
結構、本人の過失としか言いようがない、が――思惑は虚しくも続く。
(救急車でも呼んでくれれば、なし崩し的に誤魔化せたりして、くらいにおもってたのに……いやまあ、後で請求されるかもだけど……ていうかこのドレス、マジ高そうだけど、いくらくらいなんだろ……い、意外とそんなでもなかったり? だったら早く起きて、〝な~んちゃって♪〟で笑い話にできれば――)
「あの、ところで当ホテルの支配人としてお尋ねしたいのですが……いえ、こんな時に何ですが……血の付いたドレスの補償って、こういうケースだと、どこに求めれば良いんですかね……? このドレス、当ホテルの看板で、ウン百万とする高級なものなのですが……殺人が起きたドレスなんて、誰も着たがらないでしょうし……」
「ふむ。向見逗さん、殺人事件が起こっているというのに、本当に何ですね……まあボクも詳しくありませんが、犯人に、ではないでしょうか? とはいえ事件の裁判等が終わった後、ということになるでしょうが――」
(ピッピエエエエエエッ!? お、起きれない……おっ起きれるかァァァ! ああああ、わ、わたしがつい出来心で、こんなドレス着ちゃったせいで……う、うう、こんな大騒ぎになっちゃって、今さら、今さらっ……)
時が経つほどに事態が悪化している気がしないでもない、が。
そしてそして。
次は――
――――――――――――――――――――
<五人目(!?)・本庄 憐=花嫁の友人>
(………………………………。
この子、生きてるわね……)
!?
――――!!?
今この場で、唯一……本当に唯一、真相に気付いているのは、悲劇の渦中にある殺人事件の花嫁(死んでない)の傍らに佇む、友人。
〝本庄 憐〟――彼女が血まみれ(忖度)で横たわる花嫁の顔をガン見しつつ思う。
(近くで見てれば明らかだけど、めっちゃ顔に汗かいてるし、軽く震えてるし……ていうか普通に息してるから、胸元が上下しちゃってるし。演技力ないな花緒里。で、この匂い……コレ血じゃなくて、ワインか何かじゃない? 不注意で零しちゃって、誤魔化そうとしてるとか? ……ていうか匂いで気付きそうなモンだけど――)
「ふむ。……ふう、やれやれ、鮮烈なる血のニオイに誘われ、ボクの探偵たる思考力が研ぎ澄まされてきましたよ……ここからが、高校生探偵であるボクの時間……!」
(鼻つまってんのかな、この探偵ちゃん。もしくはワインの匂いだけで酔ってる? ああもー、既にややこしいけど……これ以上こじれる前に、花緒里に起きるよう促して、素直に謝らせるか……)
はあ、とため息を吐いて。
憐が友人である花嫁に、耳打ちすべく近づこうとした――その時。
「………ねえ花緒里、ちょ」
「ふむぅ――ん!? 花嫁のご友人さん、あなた……なぜ今、被害者に必要以上に近づこうと!? まさか……意外や意外、三人の容疑者でなく、貴女が犯人――!?」
(いや違うわぁぁぁ! ナニコレ近づいただけで容疑が感染していく流れ!? なんか友人がゾンビウイルスの感染源みたいに扱われてる、斬新な展開!!)
今もなお顔面に汗だっくだく流し続けている花嫁に近づくことも許されず、憐は高校生探偵・サエに言い返す。
「あ、アタシが犯人なワケないじゃない、エレベーターで上がってきたのに!」
「しかしその様子を見た者はいない……いえ、たとえ別の階でアリバイが浮かんできたとしても、トリックを使えば……犯行は、可能……!」
「邪推なんだわ、それは!」
「ハッ! そうか……ウェディングドレスに、何か仕掛けを!? 友人ならば、被害者の行動パターンも分かるはず……そう、友人だからこそ、実は何か恨みがあったとか、犯行動機がある可能性も高い……!」
「邪推すんなってんだろ! そもそもアナタこそ、高校生探偵・サエっていうけど……いや確かに、どっかで聞いたコトあるけど……本物なワケ!? 言っちゃ悪いけどポンコツっぽいし、実際に事件を解決したコトあんの!?」
「むっ、失礼な! このボクは、事件解決率100%ですよ!?」
「えっ、そうなの、スゴイ……ちなみに何件、どんな事件を?」
「迷子の猫ちゃんを見つけて、それが今日で5件ほどです。ちなみに都心から、泊りがけでこの地方まで来ました」
「あっそういえばニュースとか動物番組で見たわアナタ! お手柄女子高生とかで! じゃあもう探偵じゃなく保護猫活動家だな!」
「! 保護猫活動……探偵……!? なるほど……!」
「探偵を無理やりつけんな! 何だその執着心! ああもー、やめとけやめとけ、こんなの殺人事件とかじゃないし――」
「む。……殺人事件じゃないと言う、その根拠は?」
「えっ。……それは、だって……」
高校生探偵(忖度)サエに問われ、憐は友人の――血まみれ(忖度)で倒れる花嫁・花緒里を見る。
「……ッ……ッ、ッ……!!」(ぷるぷる)
(……めっちゃビビって、震えて……なんか、可哀想だな……う、うーん、何とか上手いコト、場を収められないかな……っても、もうかなり手遅れな気も……)
「ふむ、根拠はないようですね。ふふ、ふっ……眺めが良いと評判の最上階に、何となく(階段で30階以上を)登ってきましたが……やっぱり探偵といえば殺人事件! 解決も恐らく目前、なんかボク……テンション上がってきましたよ――!?」
(手遅れなのは、主にこの子のせいでな! しかも性癖が奇特だな! 探偵って皆こうなの!?)
「解き明かせない事件など、この世に存在しない、そう――
〝実は犯人なんていなかった〟とか、そんなオチでもない限り――!」
(いねーのよ犯人! じゃあもう解き明かせねーな、この事件! ちょいちょい惜しいトコでカスってるのに、何で肝心なトコで察しが悪いのよ……ああもー……どうしよ、こんなコト……こんなコト)
汗だっくだくで震える、赤薔薇に染まりし花嫁の傍ら――何とも言えない、言い出せない友人、憐。
そして――全員の思いは――
――――――――――――――――――――
<結末:それはあまりにも悲劇的な事件でした――>
〝向見逗 小丸〟――ホテルの支配人。
(うちのホテルで殺人事件が起きた、なんて……)
〝鷺田増 金好〟――結婚詐欺師。
(殺人犯じゃないけど、結婚詐欺師です、なんて……)
〝銀山 千夏〟――女性刑事。
(実は身分秘匿捜査中の刑事です、なんて……)
〝染芽野 花緒里〟――血まみれで倒れる花嫁。
(実はわたし生きてました~★ なんて……)
〝本庄 憐〟――被害者の友人。
(実は花嫁生きてま~す★ なんて……)
それぞれがそれぞれ、思惑を奔らせる。
このあまりにも悲劇的な殺人事件(死んでない)の渦中にあって。
五人の思いが今、一つになる――
(((((…………言えやしない…………)))))
「さ~~~っ、犯人、がんばって見つけるぞ~~~っ♪ お~~~~っ♪」
~ 探偵ちゃんウキウキEnd ~
※補足:ちなみにウェディングドレスは損害保険に入っていたので、弁償はそれほどの額でもありませんでした。よかったな★
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