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300文字で食膳称揚  作者: たかさば


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りんご飴

縁日があると、いつだって必ずのぞいた…りんご飴の屋台。


大きなりんごに、真っ赤なあめがかかっていて。

小さなりんごにも、真っ赤なあめがかかっていて。


つやつやしていて。

なんかおいしそうで。


お祭り感はすごくある。

見た目も可愛いし、欲しくなる。


でも買って食べてみると、そこまで美味しくないというか。


食べにくいし、食べ切るのが難しいし。

口のまわりがべたつくし、舌が赤くなるし。

噛んで食べるとジャリジャリして食感もよくない。

とはいえちまちま舐め続けるのもめんどくさい。


何度も小さな後悔をして、やがて手をのばさなくなった…縁日の人気者。


大人になって、さらに食べる機会はなくなった。


いい大人がりんご飴にかじりつくのはみっともない…。

飴が歯にくっついてうっとおしいし…。

りんごはそのまま食べるのが一番おいしいんだよ…。


いろんな言い訳を口にして、りんご飴を口に運ばなくなった。


そんな、ある日。


イベント会場で、カット済みのりんご飴に出会った。

知人の多い旦那が、おひとつどうぞと言われてもらってきたのだ。


カップに入っていたのは、一口大にカットされたりんご飴。

冷蔵庫で冷やしてあるらしく、ひんやりと冷えている。


添えられた楊枝で刺し、ポイと口に放り込んだ…その瞬間。


爽やかな風が…。

スッキリとした酸味が…。

甘い香りが…。


心地の良い…りんごの魅力が、口いっぱいに広がった。


むかしむかしに感じた、りんご飴の面影。

おいしそうなりんご飴を口にして、美味しいと思った、あの瞬間の幸せ。


大好きだったから買っていた、りんご飴。

食べにくいという理由で買わなくなった、りんご飴。

食べ切れないと言い訳をして買わなくなった、りんご飴。

食べたいなあと思う気持ちを押しやって目を向けなくなった、りんご飴。


……私は、りんご飴を、食べたかったのだ。


りんご飴は…おいしかったのだ、昔も、今も。


……気付くことができて、よかった。


私は、りんご飴が、とても…好きだ。

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