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エッセイのプロムナード  作者: 多谷昇太
引越し顛末記(一)・信じられない五つのこと

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霊視女の誘導

 車上生活をようやく終えて港南区のアパートに入居する時のこと、上記縷々記した霊視による追跡を知っていたので、私はアパート選びをする上でも自分に次の選択条件を課していた。もう二度とストーカー四人組に隣接されて住まわれたくなかったからだ。その第一は無理をしてでも家賃5万円ほどの部屋を借りること。始めのアパートは賃料3万円の1DKで、こう云ってはなんだが住む人間の質もある程度家賃の額に比例するのではないか、などと危惧したからである。あの蹴飛ばし合いを体験したからには自分で云うのもなんだがそれも無理からぬことだった。二番目は二階に住むこと。こちらも階下の夫婦者(もちろん野郎の方だが)のあの凄まじい足踏みを体験したので、あれがもし頭上で行われたら堪えられまいと危惧したからだ。三番目は角部屋であること。2F角部屋ならば例えモンスター住民がいたとしても受ける迷惑の程度が少なくて済むからである。そして最後の条件は云わずもがな、真下の部屋と隣の部屋にすでに人が住んでいることだった。すでに人が住んでいるなら奴ら四人組がそこに入ろうとしても当然無理だからだ。この条件のもとに以前の鶴見区は避けて海沿いの金沢八景辺りから探したが(下町を避けて郊外に出たかった)この四つの条件に合うところはなかった。なにしろどこも空き部屋が多くてまれに条件に合いそうなところがあっても今度はなぜか断られる。できるだけ鶴見区に近づかないように、京急の駅のうちでめぼしいところを上って来る。勤めの合間の休日だけを利用するのでハカが行かない。車上生活を早く断って畳の上で寝たかったこともあり焦燥ばかりがつのる。そうするうちにやがて上大岡に至った。不動産屋が何軒もあって一通りまわったがそれ以前と同じ塩梅で条件が合わなかったり、稀に条件が合いそうなところがあって口入れをしても後日になって断られた。ここにいたって不審感が増してくる。どうも何かおかしい。元のアパートの大家のテリトリーが鶴見区だったからボーダーラインはどうしても鶴見区以西にしたかった。特急が止まることもあり上大岡あたりがやはりよいのだが致し方ない、そろそろあきらめて駅を変えようとしたがそのとき「いま一軒」という想念と云うか、誰かからの伝達のような思いが感じられてふらふらと上大岡アーケード街の裏手の方に導かれるように入って行く。

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プロムナードが時に歩く(=読む)に堪え難い、恥っさらしな「引越し顛末記」だったりして申しわけありません。不快をもよおした方はここを飛ばされて結構です。以後はできるだけ歩くにまともな道(エッセイ)を敷くつもりですが、しかしこの難所の「引越し顛末記」はあともう一章ほど続ける予定です。
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