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エッセイのプロムナード  作者: 多谷昇太
引越し顛末記(一)・信じられない五つのこと

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悪魔の謝肉祭

 かつて読んだ米国文学で「悪魔の謝肉祭」という本があった。村内にいっさい自動車を走らせない(昔ながらの馬車のみ)という現代と隔絶したようなアメリカの片田舎(中西部だったか?)に都会から夫婦者が引っ越して来る。村はこれすべてトウモロコシ一色で年一回トウモロコシ祭を村民を挙げて行うほどにこれに依存していた。祭の王様と后を毎年男女一名づつ選ぶのだが図らずもこの后に引っ越してきた夫婦者の細君が選出される。この祭には絶対的な掟があってそれは「女は(祭を)語らず男は見るべからず」というのだった。やたら薬草に詳しい、実質的にこの村を取り仕切る年配の女がいて、新参のこの夫婦者にあれこれと仕来り等を教えるのだが、ジャスト魔女風であり都会風ヤッピーのような夫の方がこれに反目する。しかし妻は徐々にこの女に感化されて行くようで夫はこれが気に入らない。妻が祭の后に選ばれたのもこの女によるのだった。祭の日、村の女たちだけが伝統の衣装に着替えて祭りの場に集結する。男たちは参加することも見ることさえも許されない。しかし妻がいったい何をされるのかどうしても気になった夫はこの掟を破ってしまう。すなわち茂みに隠れて祭の一部始終を目撃してしまうのだ。選ばれた王様がカーニバル風のマスクとマントを着けて現れ、これに女たちが恭しく付き添いながら地面に立てられた一本の柱へと彼を導く。件の魔女が呪文を唱えると女たちが王様のまわりをまわり始め、次々と彼に性的で卑猥な行為を為して行く。やがて王様は柱に後ろ手に括りつけられ衣装を剥がされる。すっかりいきり立った一物があらわれると「ヤードルー!」と女たちが叫ぶ。するとこんどは着飾った后が女たちに連れて来られて王様の前に立つ。それが妻だ。薬草でも飲まされているのか妻はやたら欲情的で女たち同様の行為を王様に為し、やがて全裸となって彼に後背位の位置に立つ。狂ったように女たちが「(トウモロコシの)種をなせ!種をなせ!」と連呼する。ふたりは交わりついに種を成すに至る。夫は悶々とするが恐怖で声が出せず何も出来ない。しかし短剣を持った魔女が近寄って来、王様の首をかっ切って鮮血がほとばしるに及び思わず小さな叫び声を出してしまう。女たちの一人が「男が見ているよー!」と叫び夫は捕縛される。夫は目をつぶされて盲目となり、その後誰の種なのか妻が産んだ子供とともにすっかり村の仕来りに従って無気力に生きるしかなかった…。

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プロムナードが時に歩く(=読む)に堪え難い、恥っさらしな「引越し顛末記」だったりして申しわけありません。不快をもよおした方はここを飛ばされて結構です。以後はできるだけ歩くにまともな道(エッセイ)を敷くつもりですが、しかしこの難所の「引越し顛末記」はあともう一章ほど続ける予定です。
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