プロローグ
「…ま!おじょ…さま!お嬢様?!」
「えっ?」
私は驚いて目をパチりと開き直した。
目の前にいるメイドらしき人物、また、目の前にある小さな机みたいな台に乗った豪勢な朝食に見える料理…
ここはどこ?周りを見渡すが、だだっ広い和室にぽつんと私達。今はこのメイド(仮)しか頼れる人物は居ない。よし、メイド(仮)に悪意は見えないし大丈夫だろう。
「これは私の朝食でしょうか?」
聞いてみた。
「?!お嬢様、なぜその様なことを?!調子が優れないのですか?」
「あ、いえ。い、いただきます。」
やっぱり私の朝食だったらしい。
ていうか、多!すごく量が多い!
ん?と、ふと気がつく。正座してちょこんと座布団に座っている足、動きにくいと思えば着物に覆われた身体、袖からチラリとみえる少し丸みのある小さな手。
って、私完全に子供じゃない?
料理の量が多いんじゃなく私が小さい。だとしてもこの量はおかしいのだが。
「すみません、残してもいいでしょうか?」
「もちろんです。料理長はお嬢様が好きすぎていつも大量に作りますからね。それと、お嬢様?いつものことではありませんか。」
日常だったらしい。うん、良かったよお残しOKで、昔でもこんな量たべないよ。てゆうか料理長、食材無駄にしすぎ…
あれ?昔って何?今までどうやって生きてきた?私は誰?名前は?…あるか、私の名前は柏崎璃子だ。でもしっくり来ないこの名前。
まあ、取りあえずご飯を食べよう。一口パクり。うわ、美味っ。なにこれ。料亭みたいだ!
私はすごい勢いでご飯を食べ、メイド(仮)に怪訝な目で見られた。