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目覚めました 先輩視点

俺は『その日』が来るのを柄にもなく楽しみにしてた。

サンタクロースを信じてるガキが「ドキドキワクワクして眠れない」、って

気持ちが人生で初めて分かったくらい、本当に楽しみだったんだ。



俺がソイツに初めて会ったのは中学2年の春。

新入生で上に兄姉がいるわけでもないのに、堂々と2年の教室まで会いに来て

クラスメイトの前で「友達になってください」って。

変な奴だと思った。

俺の噂は、ある事ない事含め下級生にもある程度知られているハズなのに。

コイツも遊んでほしい馬鹿な女の一人かと思った。


結果。馬鹿は馬鹿でも、アイツは変な馬鹿だ。

俺に声をかける女は、別に俺でなくてもいいような女ばかりだった。

年齢的にという意味で大学生の兄貴でも、競争率という意味で俺のダチでも。

自分の満足いくレベルであれば、アクセサリーの意思など関係ないらしい。


だけどアイツは「俺在りき」だった。俺がいない時は……かなり失礼だが、

何度も顔を合わせてる俺のダチが、誰だか分からなかったらしい。

おもっいきり不審者扱い。誰、この馴れ馴れしいヤツ?と、

俺と同じくらい遊び人なダチが傷付くくらいスルーしたらしい。

アイツに興味を持ったのはその時からだと思う。


それなりの身長とどちらかというとキレイ系の顔にも関わらず、常にどこぞの少女アニメの様な髪形。(ツインテールと言うそうだ)

可愛い系の外見とは裏腹に、竹を割ったようなというかサバサバした性格。

慕われて嫌な気分にはならなかったし、珍しく俺から声をかける事もあった。


中学3年になって、さぁ進学だってなった時。

最初に思ったのは「アイツ」はどこの高校に行くんだろう?だった。

自分が希望する所は……家から近いし、学力的にもこんなもんじゃねぇ?って感じで、進路希望用紙が配られるたびに書いていただけ。

だから、って訳でもないと思うけど。気になった、「アイツ」が行く高校。


アイツの担任は去年は俺の担任だった。これ以上ない優良なツテ。

職員室で「たまたま」会って「たまたま」受験の話になって、「流れで」アイツの話題になって、アイツの希望校を聞いた。

……アイツ、頭良かったんだな。県内トップレベルのとこじゃねぇか。

しかも今のままなら余裕って、いっそ受験勉強教えて貰えだぁ?

やってやろうじゃん。最近会いに来ないと思ったら図書室ね。ふ~ん?

何で受験生でもないのに、図書室にいるんだろうね~。


取り敢えず放課後。資料探しを装って図書室に行ってみた。

見つけた。

いや、校内で何回か見かけてはいるんだけど。最近は遠くから会釈とか手を振られるくらいだったし、何となく!思っただけだし……何となく。


で。

何しに来てるか聞かれたから、資料探しって言ったら一緒に探してくれて。

アイツも勉強と、去年図書委員だったから引き継ぎ兼ねて来てるって。

今年は生徒会に引っ張られたんだと。立候補でも推薦でもなく指名で選ばれたって事は、コイツかなり優秀らしい……そんな事、初めて聞いた。


それから図書室で会う事が多くなった。

というか俺が図書室に通うようになった。

受験勉強って言ってあるから前みたいに話したりしなかったけど、悩んでたらアドバイスとか資料とか揃えてくれて予想以上に捗って驚いた。

俺の志望校がアイツの希望校だと分かってから、前みたいに目をキラキラさせて学校のパンフ見せて欲しいとか言われた。


勉強の合間に少し話すようにもなった。

俺はアイツの事ばっか聞いた気がする。知らない話ばかりで、1年一緒にいたのに全然知らなくて。楽しいのと、何かモヤモヤした。

まぁ色々ありつつ、無事に高校合格。来年からは「アイツ」の希望校に通う。


卒業式の日、誰よりも先に来たアイツが「私も同じ高校行きますから!!」と

予想通りの事を言って、返事も聞かずに引き返そうとするから上着ごと頭に乗せた。


因みにこれ、

「第二ボタンなんて処分に困るもの貰っても~」と言ってた女子に

「だったら上着ごと渡してやる、尚更処分に困るがいい!!」

と男子側の返した答え。


「処分に困るより、そんな事されたら大人になっても忘れられない」らしいのでやってみた。アイツは分かってなかったみたいだけど、俺の同級生は驚いて俺とアイツを見ていた。


そのまま忘れないで、1年くらい待っててやるからさっさと追いかけて来い。



何の約束もしないまま、気持ちも返さないまま。たまにアイツに会いたくて女を連れたまま、デートに適さない中学の通学路の近くを通った。

ダチから会いに行くなら女は連れて行くなって言われたけど、1人で会うのは気まずいというか……よく分からないけど無理だ!って思ったから引っ付いてる名前も知らない適当な女を連れたまま会いに行ってた。

それでも、いつも変わらなかったから。笑顔で「先輩」って呼ぶから……。


春休みになって。

在校生は登校日じゃないけど俺は生徒会だったから、体育館に椅子並べたり花壇の移動とかしてた。それで偶然、新入生の名簿を見る事が出来た。

……いなかった。アイツの名前。

字が間違えてるだけ?とか、事情があって苗字が変わった?とか。めちゃくちゃ不安に思いながら、正門で新入生の胸に花を付ける係になった入学式の日。


―――結局、アイツは来なかった。

もしかしたら事故にでもあったのか?って、確認しようとして絶望した。

俺は、アイツの連絡先を何一つ知らなかった。

メルアドも、ケー番も、自宅も。俺の携帯にはアイツの名前がなかった。

それは俺のダチも同じで。俺が知らないのに知るわけない!って当たり前だけど誰か知らないかって女友達にも聞いた。こいつ等はアイツを可愛がってたから「もしかしたら……」って思ったけどやっぱり知らなくて。


1年の教室に行ってアイツの同級生にも聞いたし、中学の担任にも聞いたけど「個人保護法が~」とか明らかに目を泳がせて口止めされてるだろ!


ふっざけんな!!

お前が来ると思ったからここに来たのに、なんでお前が来ないんだよ。


……そこで初めて気付くとか遅過ぎて、自分で自分を笑っちまった。

けど、自覚したら尚更。



絶対、逃がさないからな?


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