35 武器と贈り物②
「この白いゴーレム、ちゃんと店番してんだな……」
ユセフさんはニルを物珍しそうに見ながら言った。エミリーさんのお店に着くとゴーレムのニルが店番をしていた。胸には店主は休憩中! と書かれた板が下げられている。まぁ二階できっとフェリド君とエミリーさんは、イチャラブぶっこいてるんだろうけどね……。
店番してるゴーレムのニルはすごいな……。こっちの言う事を理解しているらしく、声は出せないが頷いたり顔を左右に振って返事をしてくれる。ちょっとニル欲しくなってきたな、もう一匹どっかで拾えないものかな?
ニルに関心しながら、お店の商品を物色していく。そして髪飾りや装飾品のコーナーで何がいいか選んでいるところだ。
「うーん……どれがいいんだ? どれもこれも同じようにしかみえないが……」
ユセフさんは真剣に髪飾りを見ているが、どれも同じようにしかみえないようだ。悩んでいるユセフさんの横で、髪飾りを手に取る。
ユナさんもキアナちゃんも髪長かったからな。このヘアピンでいいかな? 二人に合いそうだし。
緑色の可愛らしい四葉のクローバーが装飾が付いたものと、もう一つは桜の花に似たピンクの花が付いている。その二つをユセフさんに見せてみた。
「ユセフさんこれはどう? ピンクの花が付いてるやつ、キアナちゃんに似合うと思うんだ。あとこっちの緑色のは、奥さんのユナさんにどうかな? キアナちゃんだけじゃなくて奥さんにもあげたら好感度上がると思うよ?」
「おお……いいじゃねぇか! アキラはやっぱセンスあるな。ユナにもか……俺はキアナの事で頭がいっぱいだったが、アキラはそこらへん気がきくな! 二人とも喜んでくれるといいな……」
ユセフさんはそう言って、二つのヘアピンを受け取る。そしてニヤニヤしているユセフさん。
そんなちょっと気持ちの悪い笑顔をするユセフさんをほおっておいて、俺も二つほどヘアピンを手に取った。
アリスちゃんとミケにも買っていってあげよう。きっと喜んでくれるはずだしね。普段の地道な努力が高感度アップだからね! おじさんゲームで学んだよ!
二人とも買うものが決まり、店番をしているニルの方へ行くと入り口から誰か入ってくるようだ。
「おう、シエナ。肩の具合は大丈夫か? シエナも買い物に来たのか?」
ユセフさんは入り口から入って来た女の子に声を掛ける。
この子はたしか……。ゴーレムが街を襲って来た時に入り口で怪我してた子だな。この子が急いで街に連絡してくれらから、街の被害もほとんどなかったからね。あの時は焦ってたから余裕なかったけど、この子も可愛い子だねぇ……ん? リーゼちゃんと同じくらいか……いや……少し小さいか?
シエナと呼ばれた女の子を凝視していると、ユセフさんに呼ばれて気づいたのかこちらに近づいてきた。
「ユセフさんこんにちわ! もう肩の調子はバッチリです! 傷も残ってませんし、すごい魔法ですよねぇ。一緒に居る方は私の事を助けてくださった方ですよね? あの時は……ありがとうございました!」
そう言うとシエナちゃんは、俺の前に来てお礼を言いながら頭を下げる。
シエナちゃんはお辞儀をする時に両手を前で握りながら挨拶したため、胸が強調されていた。それをまじまじと鑑賞するおじさんであった。
良いおっぱいだな……。ちょろっと髪が胸に乗ってるところも良いね! 明るく元気があっておっぱいも大きいと……朝起こしに来てくれそうな子だな。
シエナちゃんはグリーンの髪を束ねて肩の前に出している、その為束ねた髪が胸の上に乗っていた。胸に目を奪われていると。お辞儀を終え、顔上げたシエナちゃんと目が合う。
目は薄い緑色なんだねぇ。髪の色と相まって森の妖精さんみたいだね。しかしお礼を言われてもなぁ……ほとんどおじさん何もしてないんだけどね? でも可愛い女の子に感謝されておじさんは嬉しいです、そして良いものを見せて貰えておじさんは逆に感謝の気持ちでいっぱいです!
逆に感謝を感じつつもおじさんは挨拶をする。
「たいしたことはしてないから大丈夫だよ。肩の傷も平気そうで良かったよ。あっ、俺はアキラ・クラモトっていいます。最近冒険者になった初心者だけどよろしくね」
「あんなにかっこ良かったのに初心者だったんですか……。すごいなぁ、わたしもがんばらないと! あっ! わたしはシエナ・ポープです、Eランクのまだまだ駆け出しの冒険者です! これからもよろしくお願いします!」
自己紹介も終わったところで会計を済ませようと、ニルの所に向かう前に白いフリフリが付いた髪留めを一つ手に取った。
一つ上のランクだし、お近づきにシエナちゃんにこれをプレゼントしようかな。 シュシュってやつかな? 可愛らしいフリフリなのついてるし、きっとシエナちゃんにも似合うだろう。
店内を物色しているシエナちゃんの横で会計を始めた。ニルは渡された商品を確認すると、小さな黒板を出して値段を記入している。
分かりやすいように硬貨は色で書いてくれたのか。この枚数渡せば大丈夫っぽいな。喋れないけど、黒板に書けば伝わるしなんとかなってるんだろうな。あれ? おじさんより役に立つんじゃない?
不安を感じたが、黒板に書かれた硬貨を支払うとニルはそれを受け取り小さな箱に入れていく。商品を受け取った俺は、近くで物色しているシエナちゃんに声を掛けた。
「シエナちゃん、はいこれ。ランクが近いから今後何かとお世話になると思うから、お近づきのしるしにどうぞ」
「えっ!? いいんですか? すごく嬉しいです……。わたしのほうこそご迷惑をおかけしちゃってるのにすみません……大事に使わせいただきますね!」
シエナちゃんは笑顔でシュシュを受け取るとすぐに髪に着けてくれた。シエナちゃんの笑顔と仕草は艶やかでそそられるものだった。
やべぇな……なんか分かんないけどドキドキするな……。気に入ってもらえたかな? うんうん、フリフリなのはやっぱり女の子が似合うねぇ、おじさんにはちょっと敷居が高いからねぇ……。
目的の物も手に入ったので、ユセフさんのお家に帰ることにした。帰りにシエナちゃんに挨拶をして店を出て行く。少し歩いて振り返って見てみると、シエナちゃんは嬉しそうにシュシュを触りながら買い物を続けているようだった。
「なるほどなぁ、ああいうのが大事なんだな」
帰り道、先ほど俺が取った行動見ていたユセフさんがそう言ってくる。
「なんとなくプレゼントしたんだよ? 今後何かしらの依頼で協力するかもしれないしねぇ」
ユセフさんは納得した様子でいた。
まぁ……可愛かったからあげたんだけどね! なにせ、あのおっぱいは良い物だったしな……。おじさんは下心満載でございます。
話しながら歩いていると、気づくともうお家の前だった。みんなは先ほど居た裏庭でお話し中の様子だ。
「あ! アキラおねえちゃんとユセフおじちゃんおかえり!」
元気よくアリスちゃんが声を掛けてくれる。洋服の事が書かれている本を、みんなで見ながら話していたようだ。
「おう、アリスちゃん達ただいま。キアナちょっといいか?」
少し恥ずかしいのか、モジモジしながら近づいていくキアナちゃん。
「これな、アキラが一緒に選んでくれたんだが、キアナに似合うと思ってな」
ユセフさんは少し照れくさい感じでそう伝えると、ピンクの桜の花に似た飾りが付いたヘアピンをキアナちゃんに渡した。
「これ……可愛い……。あの……お父さん……ありがとう。大事に使うね……」
キアナちゃんの表情は明るくなり、とても喜んでいるようだった。そのままお母さんであるユナさんに見せに行っている。
キアナちゃんも気に入ってくれたようだし、良かったねユセフさん。キアナちゃんも嬉しそうでよかったよ本当に。
その光景を見ていると、良かったわねぇキアナちゃんっと言って喜んでいる娘の姿を見て笑顔になっているユナさん。笑っているユナさんを見つめながら、ユセフさんはユナさんにも買っておいた四葉のクローバーのヘアピンを渡していた。
「ユナにもな……これをだな、そのな……いつも世話掛けてるし……」
娘であるキアナちゃんに渡す時よりもさらに照れているユセフさん。あまり慣れていない様子だ。
「あなた……ふふっ大事に使いますね。頑張って慣れないことをやってるあなたは、可愛くて好きですよ?」
最初は驚いた表情をしていたユナさんだったが、頬を赤くしながら柔らかな笑みを浮かべユセフさんに告げた。
見つめ合う二人。俺達は置いてけぼりにされていた。
なんだかんだ仲の良い家族だねぇ。俺も家族は居たんだけどね、所帯ってのは持ったことないからねぇ。こう見ていると、良いもんだねぇ。おじさんも幸せになりたいよう……。
幸せな家族の光景を見て、少し寂しくなりながらも、俺はアリスちゃんとミケに買ってきたものをプレゼントした。
「わぁ……アキラおねえちゃんありがとう! すっごく可愛いよ! アリス大事にするね」
プレゼントを受け取るとアリスちゃんは俺に抱き着いてお礼を言ってくれた。喜んでくれたようだ。
アリスちゃんにプレゼントしたのは、クジラに似た生き物が付いているヘアピンだ。女の子はイルカとかこうゆうのも好きでしょ? おじさんもこうゆう可愛い動物好きだしね。動物はおじさんにも平等に接してくれるしね……。
俺から離れて貰ったヘアピンを見て、喜んでいるアリスちゃんの頭をミケが撫でている。
「あとこれ……ミケに似合うと思うだけど、どうかな?」
そう言って取り出したヘアピンをミケに見せる。ヘアピンを見たミケは笑顔で受け取ってくれた。
「アキラ君……ありがとう。ミケの宝物にするねっ!」
ミケは俺に抱き着いて喜んでいた。おじさんも柔らかく大きい物が当たって幸せだよ。
ミケに渡したのは、青いリボンに鈴が付いたヘアピンだ。気に入ってもらえたようで、安心だよ。
みんなは貰ったヘアピンをつけて、見せ合いっこしている。もちろんユナさんも一緒に。
楽しい時間も過ぎて行き、暗くなってきたので。訓練は明日からとのこと。ユセフさん達に挨拶をしてお家に向かう。
帰り道は幸せそうな、ヘアピンをつけて歩いている二人に手を握られていた。おじさんも幸せだった。だがお家に着くと大変な目に合う。エステルちゃん達が、ミケとアリスちゃんのヘアピンを見て可愛いと褒めて和やかな空気だったのだが。俺が贈った物だと知ると、こちらをじっと見て来た。
おじさん……お家に居た女の子へ、ヘアピンを買ってくるのを忘れちゃったよ……。やばいよ……目が本気になってきたよ……。
このままでは危険だと判断した俺は、一緒に行った時に買おうと思っていたと言い訳をする。
「べっべつに……欲しかったわけじゃないし! でもアキラがそこまで言うなら貰ってあげてもいいわよ!」
エステルちゃんは怒っている様子だったが、そっぽを向いている顔は赤くなっていた。
「その……すみませんアキラさん。なんだか催促しちゃったみたいで……」
そう言いながらも嬉しそうに笑っているリーゼちゃん。
「いやぁ悪いっスねぇアキラ姉。自分もこうゆうの欲しいと思ってたんですよ」
カティアちゃんはいつも通りな感じで言ってくるが、シッポはピンっと伸びていた。
おじさんはみんなが、喜んで貰えれば嬉しいので問題はないのですが。おじさん……経済力がそこまでないので……可愛らしいお値段の物で勘弁してください……。これからプレゼントをする時は気を付けよう……頑張って依頼をこなして稼いでいこうと思います……。




