34 武器と贈り物①
「やっぱりアキラちゃんは思った通りねぇ、すごぉく似合ってるわねぇ」
ユナさんはニコニコしながら伝えてくる。
「えーと? ユナさん? 服のサイズを測るだけだったような?」
先ほお怒りだったユナさんは落ち着きを取り戻した後。俺の体の寸法を測らせてほしいと言ってきた。ユナさんはエミリーさんのお隣で洋服屋さんの店主をしているそうだ、そして俺も服を買う時にサイズが分かっていれば楽だと言われたので、付いていったら着せ替え人形タイムになってしまった。
「わぁーアキラおねえちゃん素敵だよ! とっても似合ってるよぉー。ねっキアナちゃんもそう思うでしょ?」
アリスちゃんは目をキラキラさせながら、キアナちゃんに同意を求めていた。
「うん……とっても格好良くて……素敵です」
キアナちゃんは頬を染めながら見つめてくる。
「ふふっ、ミケはこうゆう恰好のアキラ君も好きだよ?」
ミケはそう言うと、俺に寄り添ってきた。
みんな褒めてくれてちょっと照れちゃうな。でも、こうゆう恰好はあまりしたことなかったけど、スカートとかよりは敷居は低いかな。
そんな俺は執事さんが着ているような紳士的な服装だった。男装だが中身がおじさんだと、どっちになるのか悩んでいるとユナさんが話しかけてきた。
「よく似合ってるからそれあげるね。その変わりにまたモデルをやってちょうだいね。アキラちゃんに色々着せてあげると、創作意欲がわいてくるのよね」
「いいんですか? ありがとうございます。その……お手柔らかにおねがいしますね」
洋服が貰えて嬉しい反面、また着せ替え人形になるのが少し不安だった。ふりふりは敷居が高い。
そうして服のサイズと着せ替えも終わったので、ユセフさんの居る裏庭へと戻っていった。
「おう、終わったのか? そしたら早速練習したいところだが、アキラは剣壊れちまったんだよな? ランクが上がれば魔物と戦うからな、今からハンナの店に行くか」
ユセフさんは椅子から立ち上がりそう言ってきた。
そういえば、剣ぶっ壊しちゃったんだよな……。ジョイスさんに謝ったら、なんか逆に壊れたことに驚いてたけども……。許してもらえたからおじさん安心だったよ。
俺はユセフさんとハンナちゃんのお店に行こうとしたところ、ミケとアリスちゃんはキアナちゃんと待っているそうだ。ミケも新しくお友達が出来てうれしいのだろう、三人であそぶとのこと。
待つ時間もあるだろうし、キアナちゃんと遊んでたほうが楽しいだろうしね。おじさんもキアナちゃんと遊びたかったな……。でも武器ないとなぁ……。
名残惜しかったがキアナちゃん達と別れ、ハンナちゃんのお店へ、ユセフさんと向かっていった。
「なぁアキラ、俺ってやっぱりキアナに嫌われてるか? 最近あんまり離してくれないし、隠れちまうんだよ」
お店に向かっている途中にそう言って肩を落とすユセフさん。
「別に嫌われてないと思うよ? ユセフさんはデリカシーないから、年頃の子にはちょっと難しいだけじゃないの?」
へこんでいるユセフさんを俺は慰めてるように言うと、ユセフさんは何か思いついたかのように俺の方を見る。
「アキラって、小さい子に好かれるよな? 扱いこなれてるよな? なんかコツとかないのか? 必殺技とか教えるから、代わりに俺に好かれるコツを教えてくれ!」
ユセフさんの本気な気持ちが伝わってくる。それにしてもユセフさんは娘に好かれようと必死なようだ。
必殺技教える条件がそれってどうなのよ……。うーん、まだ一緒に洗濯物しないでとか、お風呂お父さん先に入らないでとか、言われてはいないからまだいいんじゃないの? まぁこれから言われるだろうけど……。元の体の時とユセフさんは年齢近いからなぁ、おじさん仲間としてなんとかしてあげるか……。おじさんは、そこまで女子こなれてないんだけどな。
このまま放っておくと今にも泣きそうなので、自分の知ってる範囲を伝えることにした。
「そんな事言われても……。なにか定期的に贈り物あげたらどう? 可愛い飾り付きのヘアピンとかいいんじゃない?」
「贈り物か……切れ味の良いナイフを贈った事はあるんだが、ちょっと微妙な反応だったしな。装飾類はあんまり俺わかんねぇからなぁ……」
俺の提案を聞き、顎に手を当てながら返事をするユセフさん。あんた娘になにあげてんのよ……。
ユセフさんは短髪、髭面であるが、男らしい顔つきのイケメンな部類だ。中身はそんなに器用じゃないので親しみを感じる。気づけば口調も友達と話すのに近いもので、ユセフさんも気にしてない様子だった。
元々はおじさんの俺には親しみやすい人だけど、娘ってなるとなぁ……。家族だとまた変わるだろうけど、恥ずかしいだけでキアナちゃんはお父さんの事大好きだと思うけどな。だって良い子だもんキアナちゃん。
「あとでエミリーさんのお店でも見に行ってみる? 髪飾りみたいな小物も結構置いてあったしね」
「よし! さっさとハンナの店行って用事おわらせちまおう! アキラいくぞー!」
元気になったユセフさんは、歩みを速めて行く。俺の装備適当になんないといいけど……。
「あれ? アキラじゃないの、今日はどうしたの?」
ユセフさんと一緒に今は、ハンナちゃんのお店に居る。ハンナちゃんの服装は、Yシャツに半ズボンにサスペンダー、そして生足であった。生足ハンナちゃんに目を奪われつつ目的を伝える。
「ハンナちゃんこんにちわぁー。実は剣壊しちゃってね……。ユセフさんにこれから訓練して貰えるんだけど、武器がなくちゃしょうがないって事で来ました」
ハンナちゃんと話していると、後ろに居たアルベルトさんが凝視してくる。あれ? なんかまずい事したかな?
「アキラ、壊れた剣はジョイスから借りた奴か?」
「はい、そうです……。壊しちゃって申し訳ないと思ってます……」
アルベルトさんはそう聞いてきた。俺が答えると、アルベルトさんはそうかっと言って特にそのあとはなにもいってこなかった。おじさん怒られるかと思って焦ったよぉ……。
そんな俺を余所に、ユセフさんは商品が入ってる棚やケースを見て回っていた。俺は軽く会釈してユセフさんの隣に行って一緒に商品を見始める。
「アキラはどんな武器使いたいんだ? それによってまたやる事も変わるからなぁ。そうだな……武器と盾を使う戦闘方法は、安定して戦いやすいからおすすめだぞ」
結構な種類の武器を見つめながら俺は考える。
うーん……どうしようかな。細い剣とか長い剣はちょっとなぁ、おじさんそもそも剣技とか知らないからな。クラウス君は上手に立ち回って剣技もすごかったけど、毎日努力して出来る事だからね。この鈍器にしようかな? つよそうだし。
そう思い俺が手にしたのは、トゲトゲが沢山ついている、ボーリング玉ほどの鉄球を鎖でつないである武器だった。
「アキラは、ずいぶんとまぁ……物騒なの選ぶなぁ。打撃武器ならメイス系の使いやすい奴のがいいんじゃないか? それはマナを込めると、風をまとって勢いよく飛んで行く奴だ。アキラは体重が軽すぎてそれ使ったら、一緒に吹っ飛んでいくぞ」
なにその○ン○ムハンマー……。あれ? でも○イパーハンマーが飛んでいくんだっけ? あれ? どっちだったけ?
どっちがどっちか分からなくなったので、この物騒な装備はやめておくことにした。でも凄く惹かれる武器だ。おじさんは浪漫武器だと思うの。
ユセフさんに説明してもらいながら武器を選んでいるが、なかなか見つからなかった。ユセフさんは飽きる事なくそんな俺に真面目に付き合ってくれている。こうゆうところは素敵なんだけどなぁ……基本残念なんだよなぁ……。
「あ……これいいな。どうですかユセフさん」
「ん? そうだな、別に悪くないと思うぞ、扱いやすいしな」
ユセフさんに剣に付いて聞いてみると、大丈夫そうなのでこれに決める。
俺は壊してしまったショートソードと同じくらい長い剣鉈を持っていた。ショートソードとは違い両刃ではなく片刃であり、重さも丁度良さそうなので使いやすいだろう。
ファルシオンだっけかな? マチェット? 大きいナイフみたいな感じの鉈だな。それにやっぱり両刃もいいけど、片刃もかっこいいからね! 日本刀とかさすがにないだろうからね。それに波紋みたいなのが薄く出て綺麗だしね。オシャンティな感じがいいね。
「アキラは見た目に反して野蛮な武器が好きなんだな……さっきも斧とか見てただろ? まぁ使いたいなら俺は気にしないが」
ユセフさんは俺を見ながら言ってくる。たしかに華奢で可憐な女の子が斧振り回してたらちょっとね……。でもギリギリ剣っぽいから大丈夫でしょ!
そんなこんなで気に入った武器が見つかったのでハンナちゃんに持っていくと、お金は以前ジョイスさんから渡されていた額で足りるから大丈夫とのこと。すみませんジョイスさんたかってばっかで……出世払いでお願いします!
武器も手に入ったので早速練習かと思いきや、ユセフさんは先ほど言った約束を忘れていなかった。俺は新しく手に入れた武器を腰に下げて、エミリーさんのお店へと連れて行かれる。
あれ? ユセフさん俺の訓練より贈り物選びのが大事な雰囲気出てるけど? ちょっとユセフさん?




