33 人を見て冗談を言おう。
「アキラおねえちゃんついたよぉ!」
アリスちゃんに手を引かれ、先生になってくれる人の家の前に着いた。
「かわいいお家だねっ」
一緒に付いて来てくれたミケがお家を見上げ、ニコニコしながら伝えて来た。
確かに可愛らしいお家だね。なんとかファミリーのウサギさん住んでそうだもんね。二階立てかな? 屋根裏タイプあるやつかな? なんか屋根裏って秘密基地っぽくていいよね!
二階建てのレンガ造りで、一階部分に広いベランダが付いている。そしてなにより八角形の塔に似た部屋がくっ付いていた。
ジョイスさんのお家よりは広くないけど、これも結構立派なお家だねぇ。なんか裏庭ありそうだし、お金持ちの人が住んでるのかな?
お家を見物しながら玄関の方へ向かって行った。玄関の前に行くと、丁度良く玄関が開かれ中から人が出て来た。
「ん? アキラ達じゃねぇか、どうした?」
シャツにズボン姿のユセフさんが出て来てそう言ってくる。
「え? ここユセフさんのお家なの? 嘘でしょ?」
俺がそう伝えると、苦笑いしながらユセフさんは返事をする。
「アキラはひっでぇな……。これでもいちよう、それなりの冒険者なんだぜ? まぁ……ぶっちゃけ奥さんの方が稼ぎいいんだけどな……」
そうか……こんなんでも家族持ちの人だったんだよな。てかユセフさんって結構いい家住んでるんだね。なんか奥さんの方が稼ぎいいらしいから、買えたんだろうけど。所帯持ちでこの持ち家か……ユセフさんいいなぁ。
苦笑いしているおじさん、それを見て少し寂しくなっているおじさん。そんな事は気にせず、ユセフさんにアリスちゃんが声をかける。
「ユセフおじちゃん! はいっこれ、おじいちゃんからの手紙だよ」
「おう、ありがとうねアリスちゃん。……なるほどねぇ、ジョイスさんの頼みだしな。俺がこれからアキラの先生ってことだわ」
アリスちゃんから受け取った手紙を読み終えるとジョイスさんはそう言ってきた。
分かってましたけど、教わりに来たけども、ユセフさんかぁ……おっぱい大きい女の人が良かったなぁ。ユセフさん背も高いしガチムチだし、おじさん可憐な少女だから余計になんかでかく見えるよ……。
少し残念がっていると、玄関から女性の声が聞こえてくる。
「あら? あなたお客様?」
そう言って、俺より少し背の高い女性がこちらに近づいてくる。
「ああ、ジョイスさんのところで面倒見てるアキラとミケだ。んでこっちが俺の奥さんのユナだ。そんでその後ろに隠れてるのが……」
ジョイスさんがそう言ってユナさんの後ろに隠れている子に声を掛ける。恥ずかしいのか、なかなか顔を出してくれないでいる。
ずいぶんとまぁ……可愛らしい女の子だこと。身長はアリスちゃんと同じくらいか少し小さいくらいかな? そしてなによりこの親子……獣耳だな。
奥さんのユナさんは鮮やかな灰色のロングヘアーに左部分を少し編み込んでいる、目は薄い紫色だ。淡い緑のワンピースから見えるボディラインはとても素晴らしい。そしてなにより、頭の上でピョコピョコ動いている獣耳。
ミケと同じキツネ耳なのかな? でもシッポはなんか犬っぽい? ユセフさんはおじさんと同じ趣味だったの? ちょっと肩が出ちゃってセクシーだし。てかこんな綺麗なゴックンボディな奥さん持ってるとかずるくない? ちょっとねぇずるくない?
そんなことを考えていると、ユナさんが話しかけて来た。
「あらあら、この子はしょうがないわねぇ。初めましてアキラちゃんにミケちゃん、わたしはユナ・ステファノ。いちようこれでもユセフの妻なんですよぉ。こっちのは子はね、娘のキアナちゃんです! ほらほら挨拶しましょうねぇ」
そう言ってゆるふわゴックンボディなユナさんが後ろに隠れていた子を前に出す。
「あの……わたしは……キアナでしゅっ……」
緊張していたのかキアナちゃんは自己紹介の最後にかんでしまったようだ。そして顔を赤くしながらお母さんであるユナさんの後ろに逃げ隠れた。
あれ? なんか今噛んだよね? ねぇちょっと、なにこの可愛い生き物ちょっとねぇ! ユセフさんに全然似てなくて可愛いよぉぉ!
おじさん心はメロメロになってしまった。なにせ白と黒のフリフリのドレスをを着た、小さな女の子にも可愛らしい獣耳がついてらっしゃる。髪の毛はお母さんに似て鮮やかな灰色だったが、髪質はウェーブがかったロングヘアーだ。
ゴスロリ風なドレスが良く似合ってとても可愛らしいです。そして全然ユセフさん要素がな……あっ! 目の色は青なんだ、そこだけユセフさんなんだ。なんかマッチョ成分似なくて本当に良かったと思います。
本当に似なくて良かったと思いっているとミケがそっと隣に来た。ミケも可愛いから大丈夫だよ?
「キアナちゃん可愛いねっ! アキラ君に似てるよねぇ? ミケとアキラ君の……子供はキアナちゃん見たいに可愛くなると思うよっ」
ミケさん唐突に結構爆弾落としていきますよね。そんな笑顔で言われるとおじさんも、なんか期待しちゃうから駄目だよ?
爆弾を投下し終わったミケは、ユナさんの後ろに隠れているキアナちゃんに近づき抱きしめていた。それを見ていたアリスちゃんも一緒に抱き着いた。
「キアナちゃんはアキラおねえちゃんに似て可愛いよ!」
「えっと……あの……アリスちゃんも……はずかしよぉ……」
二人から抱き着かれて顔を赤くするケモミミちゃん。すごく心が浄化されていく気がします。
そんな二人を見ていると、となりのユセフおじさんも顔がにやけていた。この人……娘大好きだな。おじさんもだがな!
「あらあら、もう仲良くなったのねぇ。せっかく天気もいいですし、裏庭でお茶にしましょうねぇ」
そう言われユナさんに裏庭へ案内された。裏庭は結構広く作られていて、花壇などもあった。壁の近くには木製の案山子のような物が置いてある。
花壇のお花が綺麗だねぇ、結構色んな種類あるんだな。あ、これパンジーに似てる。お花なんて全然知らないけど綺麗だからいいよね! あの木偶は剣とかの練習用かな?
花壇やらなにやらを楽しんでいると、キアナちゃんがこちらに近づいてきた。俺とミケを呼びに来たようだ。屋根のあるテラスでは、ユナさんがテーブルにお茶を用意していてくれた。ユセフさんも椅子に座りお茶を飲み始めている。
「あの……お茶の用意が出来たので……」
キアナちゃんがモジモジしながら呼びに来てくれた。シッポはブンブン振られている。
キアナちゃん犬なのかな? いやでも……オオカミさんかな? なんか耳もおっきいし、シッポもミケとは違って犬っぽいしね。どっちでも可愛いからおじさんは、いいんだけどね。
「アキラ君! ほらっ行こぉー。キアナちゃんありがとうねぇ。いいこぉいいこぉ、キアナちゃんはオオカミさんなんだねっ。ミケはキツネさんだよ、仲良しさんだねっ!」
ミケはキアナちゃんの頭を優しく撫でていた。キアナちゃんは俯いていたが、シッポは先ほどよりも勢いよく振られていた。
仲良しかどうかはおじさん分からないけども、ミケさんがそうおっしゃってますので、キアナちゃんはオオカミさん。
そう思いながら、可愛い女の子のお茶のお誘いなので早速向かっていく。
席に着くとキアナちゃんがミケとアリスちゃんにお茶を入れて行ってくれた。そして俺のティーカップにもお茶を注いでくれている。
「はい……おかあさんどうぞ……っ!」
俺の事をおかあさんと呼んでしまい、両手を口にあて、キアナちゃんは顔がどんどん真っ赤になっていく。
「あの! その……えっと……」
キアナちゃんは大きなケモミミをぺたんと倒し、モジモジしながらも頑張って何か言おうとしている。
くっそ可愛いな。おじさんちょろいからイチコロだわこれ。
そんな真っ赤になって恥ずかしがっているキアナちゃんが、少し可哀想だったので席を立って抱きしめる。おじさんはこれが一番いいと思うの。
「お母さんと髪色似ているからねぇ。大丈夫だよぉーおねえちゃんは気にしてないから」
そうキアナちゃんに伝えながら、頭を撫でてあげる。キアナちゃんは落ち着いたようだが、大きなシッポはブンブン振られていた。
「ふふっ、キアナちゃん良かったわねぇ。キアナちゃんはずっとおねえちゃん欲しいって言ってたものねぇ」
ユナさんがニコニコしながら言ってきた。やべぇな……アリスちゃんに続き妹出来ちゃった。おじさん超うれしぃ!
おじさんが心から喜んでいると、キアナちゃんが少し顔をこちらに向けた。
「あの……おねえちゃんって……呼んでもいいですか?」
身長差もあり、キアナちゃんは上目遣いでそう言ってくる。こいつぁへヴィだぜ……。
おじさんのハートは完全にノックアウトされていた。
そんな頬を染めておねだりするように言われちゃったら……たまんねぇっすわ。
「うん……キアナちゃんにそう呼ばれたら、おねえちゃん嬉しいよ!」
おじさんだけど、中身はおじさんだけど! 今は可憐な少女でおねえちゃんなの!
「なんだキアナはアキラの事好きになったのか? これから俺が先生だから、家に通うようになるからよかったじゃねぇか」
そう大笑いしながらキアナちゃんに言うユセフさん。その瞬間、キアナちゃんのブンブン振られていたシッポがピタっと止まり、俺の後ろに隠れて行く。
あれ……お父さんもしかして嫌われてんの? あれかい? デリカシーが人よりだいぶ少ないから年頃の娘さんにはちょっと……ってやつかい?
そしてユセフさんの落ち込みようは半端なかった。ちょっと泣いてるし。ユセフさんの気持ち、おじさんすごく分かる。
尋常じゃないへこみようのユセフさんを見て、奥さんのユナさんが呆れながら言ってくる。
「もう……あなたは本当に……。この前も言ったじゃないの、年頃の女の子にあまりデリカシーのない事いっちゃだめなのよ?」
「ううぅ……アキラよぉー! 俺はどうしたらいいんだぁ……」
そんな悲しい顔で俺に言われましても。普段から気を付けないと難しいからなぁ。
「うーん、ユセフさんは昨日もデリカシーない事言ってたしなぁ……。あと俺は気にしませんけど、あんまり女の子の胸ばっか見ない方がいいですよ、セクハラ扱いされちゃいますよ」
ちょっと話を盛りながら伝えていると、近くに居たユナさんの方から冷たい風が吹いてくる気がした。あ……俺これ知ってるやつだ。
「ふ~ん……あなた昨日は帰ってきたあとも楽しそうでしたもんねぇ……。良かったですねぇ、若い子女の子達と楽しんだんでしょうね……」
あれ……ユセフおじちゃんのお顔がどんどん真っ青になっていくよ? ユナさん……? いつの間に木刀なんて持ってきたの?
ユセフさんが顔面蒼白になっている前で、いつの間にかユナさんは木刀を取り出していた。
「あなた……分かってるわよね?」
ユナさんはそう言うと、木刀を簡単にへし折った。あれ? 木ってそんなに柔らかかったけ? おじさんちょっと知らない事かなぁ……。
ここは危険だと俺の本能が言ってくるので、そっと離れようとした。しかしユナさんに肩を掴まれてしまった。おじさん命日かもしれない……。
その後ちゃんと説明をして、なんとかユセフさんを懲らしめる為の冗談だと分かってもらえた。
ちょっと軽い冗談のつもりが、危うく大惨事になりかねなかった……。奥さんのユナさんもヘヴィだぜぇ……物理的に……。




