22 クモと少女とキツネ
「あ! フーにいちゃん!」
冒険者ギルドの前で、アリスちゃんはフェリド君を見つけると元気よく手を振っていた。
フェリド君に軽く挨拶をしていると、少しフェリド君の顔色が気になった。
「こんにちわ、フェリド君。少し顔色悪いけど大丈夫? あんまり無理しちゃだめだよ?」
そう俺が言うとフェリド君は、少し疲れた様子だったが、笑顔で答えてくれた。
「すみません……、心配させちゃったみたいですね。大丈夫ですよ、少し考え事をしてただけですので。アリスも、僕は大丈夫だから安心してね?」
フェリド君はそうゆうとアリスちゃんの頭を撫でていた。フェリド君もいろいろあるんだな。
これから収集に出発するらしく、フェリド君を見送る。アリスちゃんは少し心配そうな顔だ。
フェリド君はあんまり体力タイプじゃないらしいから、疲れやすいのかな? おじさんもこの体になる前はそうだったしね。今は快適で素晴らしいよ? 若いっていいね!
アリスちゃんの頭を撫でてあげると元気になったので、そのまま依頼を受けに行った。
その後依頼を受け。森の中を枝豆採取しながら探索していた。
昨日取っちゃったところ見てみたけど、もう小さいのが出来てたな。成長早い植物なのかな? クモさんは達居るかな?
昨日とは別の場所で採取しつつ、クモさん達が居た所に向かう。
「今日はクモさん達いないねぇー」
アリスちゃんがあたりを見回して言う。クモさんの巣もないようなので、どこかに移ったのかな?
「そうだねぇ、またクモさんの巣貰いたかったんだけどね。ん? アリスちゃん木の高い所になんかいるよ?」
木の葉っぱが生い茂ってる場所を良く見てみると、クモさん達がこちらを見つめていた。
一匹と目が合う。
なんか凄く見てる様な? でも今日は巣を獲ってないんだけどな? なんだ枝豆欲しいのかな?
そう思い枝豆を袋から一つ取り出し、手にもってクモさんの方に近づける。
観察していると、少しづつ近づいてきた。結構ビビってる様子だったが、枝豆が好きなのか誘惑に負けて枝豆を受け取っていった。
やっぱふわふわしてて結構可愛いな。あれ? なんかほかの子達も来たな。
一匹が貰って安心したのか、他のクモさんもやってきた。みんなにあげとくか……。
それぞれに枝豆を上げていると、慣れて来たのか、肩に乗ってきたりした。
おお、結構ちょろい生き物なのかな? なんか触ってみたけどシバ犬みたいにふわふわしてるし。毒とかもないって話だから安心だわ。
クモさんと戯れてるとアリスちゃんもこちらにやって来た。どうやらクモさんに枝豆をあげたいらしい。
「はいっ! クモさん達たくさん食べていいよー」
アリスちゃんの肩や頭に乗るクモさんズ。枝豆を貰うと喜んでいる感じだ。はたから見ると一瞬グロテスクな雰囲気だけど、クモさん良く見ると可愛いタイプだしな。
そんな感じでクモさん達と戯れていると、一匹が自分と同じくらいの大きさの糸玉を持ってきた。どうやらお礼にくれるらしい。
なんか餌付けも出来て癒された上に、収集品のクモさんの糸貰えるなんてついてるな! 見た目アレだけど、良い子達なんだな。
クモさん達とのスキンシップも終わり、また枝豆を探しに行った。
「クモさん達またねぇー!」
アリスちゃんが別れの挨拶をすると、クモさん達もこちらを見ていた。なんか気持ちは伝わったのかな?
その後あげた分の枝豆を補充しつつ、あたりを探索していた。
そういえばフェリド君昨日あっちの方に行ってたな。なんかあんのかな?
そう思いアリスちゃんと一緒に見に行くと。そこは花が咲き乱れ、大きな木が一本生えていた。
綺麗な場所だなぁ。うお、この木かなりでかくない? ご神木みたいじゃん。あーフェリド君もここで癒されてたのかな?
アリスちゃんも、綺麗なところだね!って言ってお花を摘んで冠を作ってるようだ。俺は木の周りを見て回っていた。
立派な木だなぁ。そう思い手を触れる。触れた手が温かくなる気がした。
ん? こっちのは木は温かいのかな? なんか聞こえるような……?
木に触れていると、どこからか音がする。何だろうと思いながら耳を傾けた。
「……けた」
人の声か? 周りには誰もいないけど……。なんだ? 木が喋るのか!?
俺がビビっていると徐々に声が大きくなり、はっきり大きな声がする。
「やっと見つけた!」
声がはっきり聞こえたと思うと、触れていた木全体が、光り輝く。
うおお! なんじゃこりゃあああ!
眩しくてよく見えないが、触れていた木から何かが俺の手を掴んだ。
慌てて木から離れた。しかし俺の手を掴んでいた者も一緒に付いてきてしまったらしい。
そしてそのまま俺に抱き着いてきた。
「……ええっと? どちらさまですか……?」
そこにはアリスちゃんと変わらないくらいの女の子が抱き着いていた。
ただ……普通の人とは違い、大きな獣の耳とこれまた大きなシッポを付いていた。
「もう! アキラ君! 本当に見つけるの大変だったんだからねっ!」
女の子はどうやらお怒りらしい。そして俺の事もしっているようだ。
ええっとぉ? こっちに来てからの知り合った人ではないよね? って事は前の世界だよな……。こんな可愛い子とお知り合いだったけな……。そういえば今朝の夢の子に似てるな。
「もしかして……。小さい時に父さんと会った子?」
それを聞くとその子は満面の笑みで俺を見つめてくる。
「覚えていてくれたんだ! ミケ……嬉しいよ……」
少し恥じらいながら上目遣いでそう言ってくる。やべぇなこれ、おじさんちょろいからすぐやれちゃいそう。
ミケって名前だよな? ねこちゃんみたいな名前だけど……。見た感じキツネかな?
抱き着かれながらそう言う女の子は、大きなキツネっぽい耳と、これまたキツネのような大きなシッポが付いている。巫女服のようなものを着ていてさらにそれっぽく見える。
お稲荷さん的な奴か? と思っているとアリスちゃんが駆け寄ってきた。
「わぁー! 幻獣さまだ! アキラおねえちゃん幻獣さまだよぉー!」
テンションが高いアリスちゃんが言ってきた。
幻獣さまって……。いやこれ完全に人なんだけど……。
呆然としていると、ミケと名乗った子が立ち上がる。
「そうだねっ。ミケは幻獣みたいなものだよっ。よろしくね!」
幻獣さま本人がそう言ってるから、たぶんそうなんだろう……。
なぜかアリスちゃんと意気投合しはじめた。
小さい女の子達が楽しそうだから、まぁ……いいのかな?
おじさんは若干置いてけぼりだよ……。




