14 朝チュンから始まるものがたり①
チュンチュン……。
小鳥ちゃんのさえずりが聞こえ、窓から光が差し込んでいる。
久しぶりにゆっくり眠れた気がする。最近は結構眠りが浅かったからなぁ。
起きようと思うと、自分以外の温かさを感じた。
おや? なんでアリスちゃんここに、いらっしゃるんですかね?
まだ少し眠い目で周りを見る。アリスちゃんが俺の脇を枕に、抱き着いたまま気持ちよさそうに寝息を立てている。しかし、よく聞くとアリスちゃん以外の寝息も聞こえた。
ちょっと……状況がわかりませんね。なんでみんな一緒に寝てるんだ? おじさんは、たしか一人で爆睡してたような?
逆の脇を枕にエステルちゃんが寝ている。可愛いくまさんのヌイグルミを抱えながら。左手はリーゼちゃんが握っている、右手はカティアちゃんが枕にしている。
どうしよ……。エステルちゃんは、くまさんのヌイグルミ抱えながら、俺の服つかんでるし。リーゼちゃんはラブ握りじゃないっすか。いいんすか? ちょっとおっぱいもあってるし……。カティアちゃんは……ごめん寝ってやつかな? ネコちゃんが良くやってるやつ。手と顔の間に俺の手がはいちゃってるから、寝息が温かいよ?
とんでもない幸せな気持ちを感じつつ。朝の行事に向かいたいところであった。
起こさないようにそっと、ゆっくり行けば大丈夫だ……。一緒にゴロゴロしていたのは山々なんですが、おじさんは漏らすわけにはいかないもので……。
ゆっくりと左手を外す。リーゼちゃんに肘が触れてしまったが、柔らかいところなので大丈夫だろう。
ん……って言ってたけど、起きてはいないな……。次は右だな。
結構あっさり外れた。んにゃってカティアちゃん言ってたな。あれ? カティアちゃんってネコちゃんなの? それネコミミだったの?
両手が自由になり、そっとアリスちゃんをどかす。少し名残惜しそうにしていたが素直に離してくれた。なんとか起こさずにすんだ。
最後にエステルちゃんが握っている服を外すが、どうやら起きてしまったらしい。
「ん……。どっかいっちゃやだぁ……。いっしょに……いるのぉ……」
そう言って俺の手を握るエステルちゃんは、口調も相まってとても幼く見えた。
そうは言ってもエステルちゃん。おじさんは、ここでかますわけには、いかないんだよ? いくら見た目が良くなっても流石にきついよ?
うにゃうにゃしているエステルちゃんから、なんとか脱出して。みんなを起こさないようにトイレに向かった。
朝からなかなか危ない目にあったな……。とりあえずおじさんは、トイレはマスターしました。少し不安がありますが……大丈夫です。
用を終え、部屋に戻ろうとすると、窓から裏庭で何かをしているクラウス君達が見えた。
昨日の事もあったので、様子を見るついでに挨拶をしにいった。
「おはよう~。クラウス君とニック君は、朝から体動かして元気だねぇ」
二人とも剣で素振りをしていた。二人は俺の声に気づいたようでこちらを向く。
「おはようございます。アキ・・・・・」
クラウス君が固まる。それを見てニック君がクラウス君の肩に手を置く。その表情は少し困った顔だ。
「クラウス……。そろそろ慣れたほうがいいぞ。アキラさんはそうゆう人だ……」
いきなりなんか失礼な事を言われた気がしたと思っていたら、ニック君が続けて喋る。
「アキラさん、いや……アキラ。そうゆう恰好は異性の前では見せないほうがいいぞ。 クラウスはあまりそうゆうのは慣れてないからな。俺は姉と妹が二人づつ居るから大丈夫だが……」
そう言って目線をそらすニック君。そして呼び捨てである。親しくなったてことかな? それなら嬉しいよ! 男友達は大事だよ! ちょっと違う気もするけど……。
でも、そんな恰好って……。
自分の体に目をやる。下着の上には、長めのキャミソール一枚。
ああ……たしかにこれは、いかんやつだね……。おじさんいちよう見た目は、可憐な乙女だもんね。イケメンなのに慣れてないんだ……。
「あ……。ごっごめんね! そろそろ戻るね! 練習がんばってね!」
そそくさとその場から逃げ出す。 クラウス君は固まったままだった。
部屋に戻るとみんな起きていた。ニ名ほどまだ夢見心地だが。
「起こしちゃった? ごめんね。でもなんでみんなここで寝てたの?」
そう聞くとリーゼちゃんが答える。
「急にすみません……。実はあの後に、エステルちゃんがアキラさんの部屋に行くって聞かなくて。それでみんなでついていったんです。もうお休みになられていたので、戻ろうしたのですが……。そこの眠そうな二人が中々戻らないうちに、私も眠ってしまって……」
そうだったんだ……。結構心配させちゃったかな。でもこれは……朝チュンってやつでいいのかな? おじさん初めてだからわかんないや。
嬉恥ずかしな状態で二人にお礼をいった。
「大丈夫っスよ。自分も久しぶりに安眠できたんで、良かったっス」
そう言うネコミミカティアちゃん。久しぶりって、良く寝そうなイメージなんだけどなぁ。結構神経質なのかな?
そう思っていると、ベッドで寝ぼけた二人が俺を呼ぶ。
「どしたの? 二人とも?」
近づいていくと、二人に手を取られベッドに連れ込まれる。
「おねえちゃん勝手にどっかいっちゃやだよぉ……」
そう言いながらアリスちゃんが抱き着く。
エステルちゃんは無言で抱き着いて、また寝始めていた。
二人の頭を撫でながら、少し間そのままでいた……。
その後なんとかして二人の目を覚まさせた。アリスちゃんはなんとなくわかるけど、エステルちゃんも朝は弱いんだね。
朝っぱらから幸せ気分のまま、朝食を終え。みんなはギルドに行くらしく、それを見送る。
「みんな~気を付けてねぇ~。行ってらっしゃ~い」
アリスちゃんが元気よく叫ぶ。それぞれ返事を返して出発していった。
クラウス君とエステルちゃんは少し、俺に余所余所しい感じでしたが大丈夫だろう。
エステルちゃんは分かるがなんでクラウス君まで……。
そうしているとアリスちゃんに、手を引かれ家の中に戻っていった。
「アリスや、ちょっとお使いを頼まれてくれんかの?」
待っていたジョイスさんがアリスちゃんにお使いを頼み、元気よく返事をしてアリスちゃんも出て行った。アリスちゃんを、見送った後ジョイスさんにお茶に誘われたので付いていく。
「すまんのう、じいさんの相手をしてもらってな」
裏庭でお茶を用意しながらジョイスさんがそう言った。
「いえ、こちらこそお世話になりっぱなしですみません……。本当にありがとうございます」
感謝を気持ちを伝えると、ジョイスさんは優しく笑ってくれている。
ほんとに優しい人だなぁ。いろいろお世話になっちゃておじさん感謝の気持ちでいっぱいだよ!
淹れて貰ったお茶を頂いているとジョイスさんが話はじめる。
「お口に合うかの? しかし、随分とアリスに懐かれておるのう。アキラさんは人が好さそうだからの」
そんな事言われるとおじさん照れちゃうな。
ジョイスさんは続けて喋る。
「アキラさんの居た世界とこちらの世界では、勝手が違うから大変じゃろうが。何か困ったことがあったらちゃんと言うんじゃぞ? 大抵の事ならわしがなんとか出来ると思うからの」
そうなんですよ! 魔法とかあるし、魔物までいますし大変ですよ。でも獣人さんやエルフさんがいるだけでかなり楽しいですけどね。
うんうん、やっと理解者に会えたね。
……ん? 俺違う世界から来たなんていってないよね? あれ? これってヤバイんじゃ……。
固まっている俺を見て、ジョイスさんが話す。
「ん? 違ったかのう? アキラさんは異世界から来たんじゃろ?」
これはバレてますね。どうしよう……。
おじさんだってのはバレてないよね?




