13 バーベキューとセンチメンタルジャーニー
風呂上がりに飲む冷たいジュ―スは、やっぱ最高だね。
お風呂から出た後、みんなでロビーにある休憩所で休んでいた。
事故の後、少し気まずかったが、リーゼちゃんは優しいので許してくれた。故意ではない、事故だ。おじさんは恋しそうになったけど、それは秘密だよ? 事故から事件になっちゃうよ?
しかし、このジュース美味しいな。レモネードに似た感じかな? 冷たいしね。冷蔵庫みたいなのもあるのかな? さっきエステルちゃんが、売店で買ってきてくれたけど。でっかいクーラーボックスに似た箱から、店員さんが取ってたしね。なんか魔道具とかあるし、そうゆうのもあるんだろう。
生活水準は高いのかな? そう思っていると、声をかけられた。
「すみません、待たせてしまいましたね。サウナがあったものでついつい、長居してしまいました」
声がする方を見ると。冒険者装備から、Yシャツとズボンになっている、ニック君とクラウス君が居た。
普段着はそんなファンタジーじゃないんだね。常に鎧とかむれちゃうもんね。でもイケメンが着ればなんでも様になるから、ズルイよね?
「クラウスとニック。あなた達どうせまた、サウナで我慢対決とかしてたんでしょ? もう……ほんとに子供なんだから」
エステルちゃんがジト目で苦言を申しております。おじさんもその目で見つめてほしいです。
「まぁそう言うな、意外とクラウスが負けず嫌いでな。なかなかこっちも大変だったんだよ」
笑いながらそう言うニック君。さっきの事は怒ってないかな?
クラウス君達が水分補給をした後に、お風呂屋さんを出て行った。
外は暗くなっていたが、道沿いや家に街灯があり。思ったより明るかった。
やっぱり思ってたより技術が進んでるのかな? 夜景も綺麗だしね、湖の畔にある街って感じですごいね。
温まった体に夜風が当たる。とても心地よく、目の前の夜景も相まって、なんとも言えない感動を覚えた。
「ん~……。風が気持ちいいっスね。ほらほら、早く行くっスよ。もうお腹ペコペコっスよ、早く今日取ったお肉、みんなで食べるっスよ!」
そう言って、カティアちゃんがみんなを先導していく。フワフワになったシッポを揺らしながら。
Yシャツとホットパンツってヤバイだろ。マントがないからシッポが丸見えだね、ちょっとシッポの付け根がどうなってんのか、気になってしょうがないよ……。だれかおじさんに教えてほしいよ!
みんなでアリスちゃんの家に向かっていた。横にはしっとりした長い髪が、夜風になびくアリスちゃん。
サラサラヘアーである。俺もサラサラヘアーである。
着替えた後、髪をタオルで拭いていたら、すぐに殆ど水気を取ってしまった。タオルの材質が気になっていると、アリスちゃんが髪をとかしてくれるというのでお願いした。気づけばサラサラヘアー。
どうせそれも魔道具なんでしょ? 分かってるよおじさんだって。よく分からないものはだいたいそうだったから! でも、髪とかされるのって結構いいですね……。アリスちゃんだとなおさら。
夜の街とシッポを堪能しながら進んで行く。アリスちゃんのお家に着くとジョイスさんが裏庭で作業をしていた。
どうやら今日はバーベキューらしい。バーベキューセットが用意され、焚火も置いてある。
「ほれほれ、みんなお腹が空いたじゃろう。カティアが取った肉だけでは栄養がたらんからの。ちゃんと用意しておいたぞ。アリス、すまんがスープを作くるから手伝ってくれんかの?」
野菜やパンなど、材料が置かれた台の前で、ジョイスさんがアリスちゃんにお手伝いを頼んだ。
アリスちゃんも、はーいっと元気よく返事をして用意を手伝いだした。それを見ていたみんなも動き出す。
少したつといい匂いと共に、料理が出来上がってきた。まぁ俺は、串に肉しか刺してないけどね。
「アキラおねえちゃん、このっお肉美味しいね!」
大きなベンチに座って居る俺の横で、串に刺されたお肉を頬張りながら、そう言ってくる。ハムスターになってるよ、アリスちゃん。
「ほっほんとだね! 美味しいねこれ!」
そして、俺もハムスターになっていた。
「いやぁ~、喜んでもらえて嬉しいっス! この内臓と野菜を炒めた奴も美味しいっスから、どんどん食べるっスよ!」
銀色のコップを片手に、カティアちゃんがご機嫌で現れた。その顔はほのかに赤い。
相変わらず陽気だねぇ。でも、片手に持っているそれはお酒じゃないの? え? 飲んでも大丈夫なの?
陽気になっているケモミミさんが横に座ってきた、これは飲んでいますね。
周りを見ると、ジョイスさんとニック君が飲んでいた。あとはジュースのようだ。
「カティアちゃん、あんまり飲むとまた、朝起きれなくなっちゃいますよ?」
料理を運んできてくれたリーゼちゃんに、小言を言われるカティアちゃん。
だいじょうぶっ! と言って、楽しそうに笑うカティアちゃんを見ているとなんだか懐かしくなる。
家族でよくキャンプに行って、こんな感じで楽しんでたなぁ……。姉と妹がよく無茶ぶりしてきたっけ。そういえば最近行ってなかったなぁ、ああ……そうか父さんが……。
記憶が蘇る。
「きゅっ急にどうしたのアキラ!」
エステルちゃんが叫んでいた。
ん? どうしたと言われても、少しセンチメンタルジャーニーなおじさんなだけだよ?
「大丈夫……? どこか痛いの? つらい事でもあったの?」
普段ツンツンしているエステルちゃんが、本気で心配している。
え? いや別にどこも痛くないし、つらい事は特には……。
周りの人も、横に座るアリスちゃんもカティアちゃんも心配そうにしている。
なんだ? 急におじさんに戻ったのか? そっそれはまずい!
顔に手をやると、みんなが心配している理由が分かる。
どうやら気づかないうちに、泣いていたらしい。
あらやだ。おじさんそんなに泣かない方だと思ってたんだけど、感傷的になってただけだよ? 気づいたらなんかもっと出てくるよ?
心配させてはいけないので、なんとか声を出す。
「あっあれ? うっぐ……なんでだろう? ちょっと……思いっ……出しただけ、……なんだけどね?」
どんどん溢れ出る涙に、戸惑っていた。
体が変わったから、反応も違うのかな? 予測を立てていると、横にいたカティアちゃんが優しく抱きしめてきた。
「大丈夫っスよ……。自分も、たまにそういう時ありますから……」
そう言いながら頭を撫でるカティアちゃん。
横に居たアリスちゃんもそっと抱き着いて、優しく背中をなでてくれた。
大人しく撫でられる俺。
カティアちゃん普通に喋った……。あっ、すごく良い匂いしますね。撫でられるってあんまりなかったから新鮮だな、でも……結構いいもんだねぇ……。アリスちゃんもなんか心配して、背中撫でてくれてるし。
こんな可愛くて良い子達にハグされて撫でられるなんて、おじさん幸せだよ!
少し時間が過ぎると、落ち着いてきた。二人の女神さまのおかげかな?
涙は落ち着いたが、目はきっと赤いだろう。そう思いながらもみんなに、心配させまいと大丈夫だよと伝える。
まだ少し心配そうにするみんな。せっかくの食事なので、バーベキューの再開を促す。
食事を再開すると、エステルちゃんが近づいてきた。
「アキラ……。本当に大丈夫? 何かあるんだったら……、話くらいなら聞くわよ?」
そう言ってくれるエステルちゃん。
「大丈夫だよ。ちょっとね……。家族の事思い出しちゃってね。ごめんね! なんか変な空気にしちゃって!」
元気良くエステルちゃんに伝える。
まぁほんとにそうでもないんだけどね? なんでだろうな……。
「そう……? 無理してないならいいんだけど……」
心配してくれてるんだね。なんかごめんね。でも大丈夫だから。
その後、なんとか場の雰囲気を戻せたか分からないが、バーベキューは無事終わった。
ジョイスさんが泊めてくれる部屋に案内してくれた。大きいベッドが二つ並んでいる。
「ここは、いま使っておらんから好きに使うといい。今日はゆっくり休みなさい」
優しく微笑みながらそう言ってくれた。良い人だほんとに。
お礼を言い中に入る。
今日は久しぶりに、いろいろあったから疲れたなぁ。もうねむすぎる。
そう思いながら借りた寝間着に着替える。これもキャミソールみたいなんだな。
うーし、寝るか。お? ベッドふかふかやん。でもベッド二つ並んでるってのもあるけど、ベッドおっきいね。キングとかクイーンとかなのかな? おじさんがんばってもセミダブルでしか、寝たことないよ!
ベッドに転がると、疲れもあったからかすぐに睡魔に襲われる。
お布団……最高……。




