12 街で初めてのせんとう③
どうしたものか……。
湯船に一緒に、浸かっているみんなを見て考える。
なんかちょっと、みんな余所余所しいよ? 大丈夫なのこれ? 空気が重いよ?
こうゆう時は、アリスちゃんに聞いてみよう。そうしよう。きっとアリス先生なら何でも答えてくれるはずだ! おじさんはそう信じてるの!
横でお風呂を満喫してるアリスちゃんに、声をかけた。
「あの……アリスちゃん。さっきの事なんだけど、なんで裸は見せちゃだめなの? 大事な人って具体的に、どんな関係なの?」
アリスちゃんは少し考えたあと、喋り始めた。
「アリスもね、よく知らないの。おかあさんとかおねえちゃんがね、家族の人とか、好きな人にしか見せちゃだめぇ! っていってたの~。だから! アキラおねえちゃん好きな人が、みんなだっていった時に、アリスも入っててうれしかったのん!」
キャッキャしながら、教えてくれるアリスちゃん。そんなはしゃぐと頭に巻いてるタオル取れちゃうよ。
アリスちゃんは、お湯に濡れないように、頭にタオルを巻いている。もちろん俺も。アリスちゃんに巻いてもらいました。
巻いてもらう時が素晴らしかった。小さな子に頭をちょくちょく抱きしめられてるようで、もうね。おじさん癒されちゃったよ。
そんなアリスちゃんに、癒されながら俺は考える。
好きな人ってどうゆうことだ? まぁ家族は好きってのは分かるけど、友達も好きに入らないのかな? ちょっと分からん。
答えが見つからない俺に、リーゼちゃんが話しかけてくる。若干まだ先ほどの動揺が抜けきっていないようだが。
「えっと……、そのですね。アキラさんの、国では分かりませんが……。この大陸全土では……、その……同性同士でも、こっ恋人になれるんですッ! 結婚する方もいるんです!」
少し気恥ずかしいのか、リーゼちゃんの頬が赤くなる。
なるどほね、同性婚とかオッケーなんだ。あ~だから入浴着とかあるんだね、そうゆうのちゃんと配慮してるんだねぇ。俺が居た世界でも、出来る国はあったしね。そうゆう常識だったんだねぇ。
しみじみと、ここは本当に俺の居た場所じゃないんだなと感じつつ。家族や友人の事を思い出すと、少し寂しくなった。
しかしまぁ、どえらいとこまで来て、風呂入ってるなぁ……。ルールもちがっ……ん? 俺そういえばさっき、全裸で突入した上に、みんなの事恋愛的な意味で、好きだって言った事になるの?
お湯に浸かってるのに、寒気を感じる。
可笑しいね、こんなに温かいのにね。
うおぉぉい! またやっちまったよ! 全裸で告白とか、完全に変態じゃん! しかも、四人同時って
……軽すぎだろ! 愛が軽い上に変態って……変態って……。こう見えても、おじさんはピュアボーイなんだよ! 変態要素は少しだけだよ! あ……タオルは一枚にはいるのかな?
おじさん平静を装うのに必死になっていると、リーゼちゃんが続けて喋る。
「もしかして……。アキラさんは、女神さま達の事を知らないのですか? ユミルの子ではないのですか?」
ユミル? 俺の母親は、そんな西洋な名前だったんだね。おかしいな? バリバリ和名だった気がすんだけど? リーゼちゃんも女神さまだよ? なんか二つ浮いてるし。すごいね! 浮力ってすごいね!
心当たりがなさそうな顔をしていると、静かになっていた二人が話し出す。
「アキラ……。あなた本当に知らないの? いったいどこの国なのよ、女神さま達の事知らないって……」
呆れながら言ってくるエステルちゃん。すいません、変な事しか知りません。
「ほんと不思議な人っスね、アキラ姉は……」
おじさんはさっきやっと、カティアちゃんにシッポがある事を知ったからね。
二人から呆れられるおじさん。なかなかゾクゾクしますね。
しかしなぁ~女神さまって言われてもなぁ。魔法とかある世界だからやっぱりいるのかな? 実際にうろうろしてんのかな?
なじみの薄い存在に、少し困惑していると。リーゼちゃんが話す。
「アキラさん……、本当に知らないんですね。女神さま達はですね…………」
一通り説明してくれたリーゼちゃん。ありがたいっす。
「アキラさん。伝わったでしょうか? あまり馴染みがなさそうでしたので……」
心配そうに見つめるリーゼちゃん。本当に優しい子だねぇ。
優しをしみじみ感じつつ返事をする。
「うーん……。なんとなくは、分かりました。えっと……、本当に会える時ってあるんですか?」
女神さま達は全部で7人存在して。本当に実在するらしく、高位な神官様などは良くお話をするらしい。
本当に会える神さまってやべぇな。でもなんかうさんくせぇなぁ。高いツボとか買わされるんでしょ? おじさん知ってんだから! 綺麗なお姉さんが訪ねて来たと思ったら、幸せになれるツボおしつけられそうになったんだからね!
そして女神さま達にあやかって、一週間は七日。だが少し曜日が違っていた。月火水木金までは一緒だが、土曜日が太陽の日、日曜日がユミルの日だそうだ。
今日はユミルの日で、ほとんどの人が休日らしい。こういった風呂屋など、生活にかかせないものは、別の日に休むそうだ。
少し間を置き、答えてくれるリーゼちゃん。
「そうですね……。滅多には会えないと思います。ですが、夢の中などにいらっしゃって、危険な事から幸福に導いてくれる事などを教えてくれます。私も夢の中でしたら、お会いしたことがありますし」
な、なるほど。まじで居るんだ……。
完全にはなっとく出来ていないが、気になることがあったのできいてみる。
「な……なるほど。あっあと気になることが。女神さま達の事は大よそは、分かったんですが。なんで俺がユミルの子になるんですか?」
リーゼちゃんは答える。
「それはですね。ユミル様が愛や友情の女神であり。こちらに現れる時に、男性の場合もあれば、女性の場合もあるのです。そして、同性でも関係なく愛していき。子を授けると言われているからです。かなり古い時期からあるお話ですね。だからですね……。」
顔を赤らめながら、頑張って伝えようとするリーゼちゃん。
「同性でも……。お互いが、あっ愛し合っているなら問題ないと……。そのような認識になってます。ですので……入浴着などを着て、親密な方以外には、なるべく肌を見せないようにしているんです。アキラさんは、ご自身の事を俺と言っていたので。ユミルの子には、そう自分の事を呼ぶ方も少なくないそうなので……」
お……おう。確かに自分の事は俺って呼ぶな。そんな人が全裸で現れて、みんなの事大事って言われたらそりゃ、そう思うわな。 でもおじさんは……男性はちょっと、まだ心の準備が……。
話している二人の間に、エステルちゃんが乱入してくる。
「そっそれで、アキラはどっちなのよ! ユミルの子なの? 違うの?」
どうしよう……。なんかおじさん男子とか、まだ早いと思うんだ。あれ? でもここでおじさんは、ユミルの子発言しちゃうと、みんなと距離置かれるんじゃない!? せっかく仲良くなってきたのに、それは嫌だよ! ここはお茶を濁すよ!
そう思いエステルちゃんに伝える。
「急に言われてもね……。そっそのさ、まだ好きな人とかよくわからないし……」
「そっそうなの? だったら別にいいわ! ほっほら! そろそろ上がるわよ!」
少し微笑みながら、そう言ってお風呂をからあがるエステルちゃん。
お尻がすごくプリチーです。
エステルちゃんに続いて、みんな上がっていく。途中で、お湯が出ている噴水の前に行き、みんなで体を洗う。
「ほらっ! この石鹸使いなさい!」
そう言ってエステルちゃんが、何もない場所から石鹸を取り出し、渡してくる。
「やっぱり、収納出来る魔法は便利だねぇ。石鹸ありがとうね、エステルちゃん」
照れながらも、石鹸を渡して使い方を教えてくれた。
石鹸あるんだな……。まぁ、石鹸くらい使えると思うんだけど。なんか結構やらかしてるから、慎重になってるのかな?
頭に巻いているタオルに、石鹸をつけて体を洗うエステルちゃん。そのまま泡だらけになっていく。
なるほど……。エステルちゃんは左腕から洗うのね……。おじさんはお腹からだよ、そのまま下に行くよ!
エステルちゃんはこちらを見て、少し考え。タオルを渡してきた。
ん? 匂い嗅いでいいの? そう思ったが、どうやら違ったらしい、残念だ。
「せ……背中洗ってよ。自分じゃ洗い難いの……」
え? いいんですか? そんなのご褒美じゃないですか!
タオルを受け取り、エステルちゃんの背中を見る。
その小さな背中は、透き通るような肌に、金色の髪。邪魔にならないように髪留めで止められ、横にずらされている。その後ろ姿は少女であるが、とても女性らしかった。
「お……おう……任せろ」
動揺しながらも、洗っていく。
エステルちゃんの肌、めちゃくちゃすべすべやん。これは……くるものがありますね。タオルからたまにはみ出て触れる肌。それがまたいいよね? たまんないよね?
ドキドキしながらも、エステルちゃんの背中を洗い終えた。
「ん……。ありがと……」
こちらを向かずに子声でそう伝えてくる。
少し見えるお顔が真っ赤ですよ? すごく可愛らしいですよ?
そのままお湯をかけるのかと思いきや、またタオルに石鹸をつけ泡立てている。それなりの泡が出来たら、エステルちゃんはそのまま髪につけて洗い出した。
シャンプーとかはないのかな? 海外旅行で訪れたホテルでも、全身洗えるボディソープしかなかったし。こっちだとそこまでないのかな?
さっき渡された石鹸を使い、教わった方法で俺も洗い始める。
あ~でも石鹸で体洗えるのは、やっぱりいいねぇ。スッキリしてく感じがする。あとなんか入浴着なんだけど、横っ腹にスリットみたいになってて、中も洗いやすくしてるんだねぇ。あ……リーゼちゃん、スリットから大事な物がちょっとお見えになってますよ? サービスタイムですか?
前をだいたい洗い終えていると、髪を流し終わったエステルちゃんがこちらに来て、急に俺の背中を洗い出した。
「ッッ! ビッビックリした! どうしたの? 洗ってくれるの?」
「いいから前見てなさい! 洗ってくれたんだから、その……私も洗ってあげてるの!」
振り向こうとしたところ、エステルちゃんに止められた。そのまま背中を洗われていった。
い……いいんですかね? こんな可愛い子に背中洗ってもらちゃって。おじさん……女の子に背中洗ってもらえる時は、お金結構かかったよ? これは無料なの?
時折触れるエステルちゃんの指に、声が出そうになるがなんとか抑える。
こ……これはやばい……。おじさんの時より明らかに感度的なものがあがってるよ? 敏感肌だよ?
なんとか耐え切れた。
後ろを向きお礼を言う。
「エステルちゃんありがとうね~。スッキリ出来たよ~。洗うの上手だねぇ」
目線をそらし、エステルちゃんは答えた。
「あっ当たり前でしょ! 私が洗ってあげたんだから感謝しなさいよね! ほら、頭も洗って早く出るわよ。あんまり長くいるとのぼせちゃうわよ」
ツンツンしながらも、ちゃんと心配してくれるんだね。エステルちゃんも良い子だね。
エステルちゃんに言われた通り髪を洗い流す。スッキリはしたが少し髪が引っかかる。
やっぱりシャンプーとかリンスないとこんなもんか。でもみんなサラサラヘアーだったけど、なんかあるのかな?
みんな洗い終えたので、脱衣所に向かった。
今度は間違えずに、ちゃんと個室で着替えるよ! 過ちは繰り返さないよ! いくらおじさんでも学ぶよ!
そう思い、着替えを取りに行く。ふとキャミソールに目をやると、もう乾き始めていた。
すげぇな。不思議な材質の物があるんだな。お? タオルも結構乾くの早いんだな。
ハンドタオルを、使用済みのかごに入れる。バスタオルを取り体を拭いてから個室に向かった。
先ほど使った個室に向かいカーテンをあけると。そこにはリーゼちゃんが居た。
あ……。使ってらっしゃったんですね。すいません、ちょっと気づかなくて。しかし、素晴らしい物をお持ちですね? G級ですかね? こんなおじさんの装備で大丈夫ですかね? もうすでにやられそうですよ?
ちなみにリーゼちゃんのさきっちょはピンクでした。ええとても、素晴らしい色合いでした。
目と目が合う二人。静かな時が流れた後、リーゼちゃんがお顔を真っ赤にしながらカーテンを閉めた。
うんうん、これは嫌われちゃったかな? でもねおじさんはすごく温かい気持ちになれました。リーゼちゃんありがとう。
お約束を決めちまったと、思いながら。その心は幸せに満ちている。
まぁ……事故だよね?




