表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンガイドさんの仮想現実生活ログ  作者: まいなす
『第1話 ダンジョンガイドさんは迷った』
88/183

6


「ああ、もうっ。辛気臭ぇーなっ。やっぱ反省はもういいから。もうテメェは描きたいもん何でも描いて、彫りたいもんを何でも彫ってな」


「え? いいの?」


「どーせ、溜まってたガイドの仕事が終ったばっかで疲れてんだろ? 顔に出てっぞ」


「まじでか」


「ふん。バレねーとでも思ったのか。オレがテメェと何周期一緒にいると思ってんだ。まー、しばらくオレが身の回りのことゼンブやってやんよ。だから気にせず今週期はゆっくり自分のやりたいことでもしてろ」


「ありがとう」


「そういや話は変わっけど、さっき殴ったときテメェ、動きがいつもより鈍かったよな。大丈夫か? もし身体が固くなってんなら、今晩あたりにオレがマッサージでもしてやっけど。いつものやつ。どうする?」


「あ、うん。ありがとう。お願いしようかな」


「しゃーねーなー。覚悟しとけ。くくっ、いつもより滅茶苦茶、痛くしてやるからな」


 二カッと笑うメイメイに俺はため息するしかない。


「いやあ、ホント。メイメイには感謝してるよ。っていうか、俺。さっきからメイメイにありがとうしか言ってないし」


「はん。テメェみてーなクズに感謝されても全然嬉しくねーけどな。……あっ、そうだ。今日の晩御飯、トーノは何がいい? 昼から食材買いに街に行くからよ。今のうちにリクエスト聞いといてやるわ。ちなみに今日は牛肉が特売だから、それ使う料理でなるだけ頼むぜ。家計が助かる」


「……………」


「……んだよ。急に黙って」


「いや。なんかこう、メイメイって男をだめにする素質あるよな」


「ア? どーゆー意味だ?」


「良いお嫁さんになるってことだよ」


 俺の言葉にメイメイは手に持っていたハタキを床に落とす。

 それから、一、二、の三秒のフリーズ後、彼女はオーバーヒートして俺の胸倉を引っ掴んだ。


「なっ、殴られてーのかっ! 殴られてーんだなっ! ああよし、殴ってやっから歯ァくいしばれっ! そんでオレに殴られて呼吸を止めちまえ、この空気ドロボーがっ!」


「まあまあ。まあまあまあ」


 馬をいなすようにメイメイをなだめていると、床に座っていたルイルイがいつの間にかカウンターの上にのっていた。そして、そのまま俺とメイメイの間に割り込んでくる。

 喧嘩はやめろ、ということだろうか。

 それとも自分も混ぜて、ということだろうか。

 おそらく後者だろうな。俺とメイメイは互いに見つめ合ってため息を吐く。メイメイが俺の胸倉を掴んでいた手をぱっと放した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ