62
*
「いやっ、やぁっ! な、なによこれぇっ! ひぅ!」
「よう、ひさしぶりだな。調子はどうだい。楽しそうだねえ」
「あぁっ、あんたなんでっ! っていうか、こっちみんなばかぁっ!」
樹木から垂れている蔓のような緑の触手に絡めとられて宙に浮くハーフヴァンプ少女がジタバタともがきながら叫ぶ。彼女は四肢の自由を奪われるばかりか、謎の白い粘液まみれでベトベトになっていた。おそらく、まだ自由が利くうちにハルバードで触手を切りつけたのだろう。地面にはハルバードとともに、何本か切断された緑の触手が落ちている。そして、クネクネと未だに動いているその切断面からは件の白い粘液が流れ出ていた。
「だだっ、黙って見てるくらいなら助けなさいよぉっ! ひゃぁんっ! なななっ、なによこいつっ! そこはっ、だめぇっ!」
緑の触手はハーフヴァンプ少女の股を開けて彼女のパンツを脱がそうとしている。
俺はやれやれと首を振ってちゃっかり彼女から距離をとったところで座り込んだ。
「よっこらせ」
「なっ、なんでそんなところで座るのよぉっ!」
「だってこれ以上、そっちに近づいたら俺もソイツに捕まっちゃうし」
「やっ……だめっ、いやああああああああああああああああっ!」
とったどー。
そんな声が聞こえてきそうなくらい。
緑の触手は剝ぎ取った白いパンツをクルクルと器用に回して向こうの方へ放り投げる。
「そいつは【ウッドテンタクル】というやつでね。こういう森林系の自然ダンジョンによく自生している植物擬態獲物待ち伏せ型の雑魚モンスターだ。そういや、あんた。雑魚モンスターはちょちょいのちょいじゃなかったっけ? ん?」
「うっさいばかぁっ! なに解説はじめてんのよばかぁっ! ひっ、あっ、こいつっ、まままっ、まさかあたしをてごめにぃ――――っ!」
さらに拘束を強めて開脚しようとしてくる【ウッドテンタクル】に必死で抵抗するハーフヴァンプ少女。彼女の顔が真っ青になる。
「や、あんたの想像してるようなことはねえよ。そいつにそういう生殖機能はそなわってないから」
拘束姿だけはえろ同人みたいな恰好だけどな。
「なんであんたはそんなに冷静なのよおおおおおおおおおぉっ!」
触手によってM字開脚されてしまったハーフヴァンプ少女は羞恥に荒い息を吐きながら泣き叫ぶ。




