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「うっさいわ、あほぉっ! もう最悪よぉっ! あたしの、あたしのはじめてがぁっ! よりにもよってこんな、こんなイケメンでもなく理知的そうでもないうえファッションセンスもゼロなダサ男に奪われるなんてうわぁぁぁあんっ!」
悪かったな。イケメンでもなく理知的そうでもないうえファッションセンスもゼロなダサ男で。いやいや、待て早まるな俺。悪びれることは何もしていないのだ。
「あんた誤解してる。俺、何もしてないヨ?」
おっと。
イライラしながら喋ったら最後ちょっと噛んじゃって声が裏返ってしまった。それに過剰な反応を示すハーフヴァンプ少女の絶叫が響く。
「いいいいいいやあああああああっ! ほぉらぁぜったいしてるぅっ! いくらあたしが可愛いからってぇっ、いくらあたしがナイスバディだからってぇっ! やっていいこととわるいことがあるでしょうっ! こ、こんなやつに、こんなやつにぃっやだやだやだやだやだきもいきもいきもいきもいきもいっ!」
「全身の鳥肌総立ちにして忙しそうなとこ悪いが、失敬なやつだな。初対面でその言いようはないぜ。だいたいね。俺の知り合いに暴言吐いてくる女の子いるけど、さすがにキモイとまでは言われたことないぞ」
気持ち悪いから死ねクソボケ、と言われたことはあるが。
「知らないわよ聞いてないわよそんなのぉっ! けがれたぁあっ! けーがーさーれーたぁあっ! 好きな人にっ、初めては好きな人にささげるはずだったのにぃっ! うわあああああああああああんっ!」
本当に、うるさいクソアマだなー。
あと、あんた。地面に転がりまわるのはいいけどね。
隠すとこちゃんと隠して転がれよ。
俺は自分の外套を脱いで、まるでほしいものを買ってもらえないガキみたいにジタバタしている彼女へ放り投げた。
「…………え?」
しばらく涙やら何やらでグショグショになっていた顔できょとんとドロップした黒外套を眺めていたハーフヴァンプ少女。やがて恐る恐るといった感じでそれを掴み、自分の前面の肌を隠すようにして立ちあがった。
「はあ」
猜疑心丸出しの目つきでこちらを見てくる彼女に、今日何度目かになる俺はため息を吐く。




