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「でけえ口を叩いといて、まさか払えねぇって言うんじゃねえだろうなぁ?」
違うわボケ。
安すぎるのだ。
もっと天文学的な数を言えよって話。
このハーフヴァンプ少女は叩き売られても別にいいと思うが、メイメイとルイルイはそんな安い女の子たちではないことは承知している。なので、そんな安っぽくみられてるとわかってイラっとしてしまっただけだ。まあ、そもそも金で売り買いすること自体が彼女たちに失礼なのであるが。勘弁してー。
「……わかった。ちょっと待て。準備する」
インベントリを開く。
「待てッ。誰かに連絡するつもりか?」
そんなことしねーよ。
ゴッドヒルトさんの言に俺は自分のインベントリを相手の方に向けて公開しながら操作する。まず仕事募集掲示板に移動し、そこに『ダンジョンガイドします先着順』と入力。希望報酬は前金一括即金でゴッドヒルトさんが提示した金額を記載。しばらくしてどっかのギルドから連絡が入った。
『ストレイヴ大陸のカイザッハ古戦場、行けますか?』
『もちろん』
滞りなく交渉は成立し、お金が振り込まれる。俺のゴールド欄の数字の羅列が一気に多くなった。それを見ていたゴッドヒルトさんは目を丸くして俺を見る。
「何をした?」
「べつに。ただ仕事を受けただけだ。お金が急に必要になったときのための副業だけどさ」
「………………」
「もういいだろ。金は手に入った。さっさと取引しようぜ。金はやるから、三人とも解放しろ」
「待て」
「は?」
「誰が三人と言った?」
はあああああああっ!?
何やら黙って考えていたゴッドヒルトさんだったが、名案を思い付いたというようにニヤニヤし始める。
「さっきオレが言ったのは、一人につき、の値段だぜぇ?」




