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序章 封印生活の朝

 新緑と樹木の匂いが鼻を衝く。その刺激を受けるほどに、清々しい気持ちが胸中を満たしていく。


 ああ、朝か。


 私――ウィルミア・デストランドの脳が覚醒した。それに伴って、瞼が開く。私の視界に()()()()()()()()()()が映った。

 上半身を起こして周りを見る。すると、またしても複雑に絡み合う樹木が映った。


 最初に見たものは、天井。後から見たものは、壁や床だ。


 私が横たわっていたベッドは、樹木が絡み合う部屋の中心に在った。それが確認できたのは、「照らす光(シャイニング・ライト)」という対象を光らせる魔法が掛けられているからだ。それも、世界全体に。

 誰の仕業かと言えば、この世界を作った造物主。所謂「神様」である。そうしなければならない事情が、この世界には有った。


 この世界に太陽は無い。


 外に出て空を見れば、そこには複数個の禍々しい大渦が存在している。それらが毒々しい色を履き出したり、吸い込んだりしている。その事実を想起した瞬間、私の眉根が不機嫌に歪んだ。


 面倒な世界に放り込まれたものだ。


 現況は、私が元居た世界ではなかった。

 私は陽光の有る世界、「創世の女神ネフィリア」様が創られた「ネフィリム」という世界に住んでいた。

 ネフィリムは、ネフィリア様が「あたし流の剣と魔法のファンタジー世界」を企図してお創りになられた。故に、我々人間は魔法を使用できる。それを向ける対象、「魔物」と言う異形の化け物も存在している。


 私は魔術師だ。故に、可視化の魔法も直ぐに感知できた。現況が「元いた世界でない」と言うことも分かった。

 

一体、ここはどこなのか? その疑問に対する答えは「壺の中」である。


 女神の神器、「封印の壺」。その中に、私は封じ込められた。

 現況は「壺の中の世界」と言ったところ。正式な名称など無い。故に、私は勝手に命名した。


 ここは「封印世界」である。


 封印世界の朝は、本当に朝なのかどうなのか良く分からない。それを分ける明確な基準(太陽)が無いのだ。

 仕方がないので、先住していた連中――魔物の生態を参考にした。できれば人間に会いたかったところだ。

 しかし、封印世界に人間はいない。いや、「いなかった」と言うべきか。


 私は無人の世界に放り込まれた。孤立無援である。


 そんな封印世界の朝は、私にとっては疎ましいものだ。そもそも、この世界自体が疎ましくて仕方がない。その憂さを晴らすべく、住処は自分の気の召すまま好き勝手に創らせて貰った。お気に入りの我が家である。

 しかし、家の中にいても私の不満は尽きない。目下、最大級の不満が口を衝く。


「眠い」


 寝不足である。封印世界の謎を解く為に、私は昨日も遅くまで研究をしていたのだ。もっと眠っていたいのだ。今の私の睡眠欲は、世界最高峰の山並みに高まっている。しかも、欲望を助長するアイテムが直ぐ身近に有った。


 私が使っているベッドの布団である。


 この布団は特別製。この白銀に輝く生地は、「アラクネ」という蜘蛛の魔物の糸で編んだものだ。中には「コカトリス」という鶏の魔物の羽毛が詰め込まれている。

 布団の肌触りは極上の絹。柔らかに至っては「雲」の如し。今も「夢の世界にいる」と錯覚しているほど。


 しかし、私は既に目覚めた。

 目覚めた以上、行動する。それが私、ウィルミアの心情だ。


 私は下半身を覆っていた羽根布団を剥ぎ取って、樹木の床に立った。その瞬間、自分の体が視界に入った。

 白く細い腕。胸元にまで垂れている白金の髪。それを押し上げる、人並み以上に育った双丘。それを覆い隠す白銀の――襦袢(じゅばん)


 襦袢とは、東洋の島国「アシハラ」の寝間着だ。

 アシハラの衣服は、その殆どが「反物」と呼ばれる一枚の布から作られている。中々に便利な製法だ。故に、アラクネの糸から作った衣装は、全てこの方式を採用した。

 余計な手間は、極力省く。他に人がいない以上、自作する他無いからな。

 因みに、下着もアシハラの(ふんどし)である。こちらも布に紐を付けるだけなので簡単だ。


 我が身にまとった白銀の襦袢。それを見詰めていると、私の口が勝手に吊り上がっていく。私の脳内には、これを作った当初の記憶が閃いていた。

 そこに、一人の男性の姿が有った。


 その男、体付きは痩身長躯。のっぺりとした顔立ちで、髪と瞳は暗色。細目の為か、どんな時でも優しく微笑んでいるような印象を覚える。

 尤も、当の本人に言わせれば「アシハラの人間は皆こんな顔」とのこと。

 それでも、私には優しい人としか思えない。むしろ「私の王子様」と言いたい。言い張りたい。その想いが、私の口から勝手に零れ出た。


「ああ、『来寿(ライス)』様」


 来寿。フルネームは「愛洲来寿(アイス・ライス)」という。アシハラの「武士」と呼ばれる戦士階級に所属していたお方だ。故有って、今は私の近衛騎士になっている。

 私としては王子様になって欲しいところなのだが。その想いは強いのだが。今も、懇願したいところ――じゃない、その想いは言っては駄目なやつだ。少なくとも、「今」は。


「ライス、来寿、来寿――来寿と呼ばねば」


 私の想いは秘めておかねば。言えぬ事情が、今の私には有る。それを自分に言い聞かせるべく、虚空に向かって自己紹介した。


「我こそは『デストラ樹海の魔王』、ウィルミア・デストランドであるぞっ」


 デストラ樹海の魔王。その異名は、他国の為政者達に付けられたものだ。尤も、自国の民からも「魔王」、或いは「化け物」と陰口を叩かれているのだが。


 魔王。その異名を肯定する力が、私には有る。その事実を疎ましく思うことも多々有る。しかし、否定はしない。


「私は魔王なのだっ」


 私は強く自分に言い聞かせ、緩んだ顔を引き締めた。顔が元に戻ったところで、今日の日課を始めよう。


「先ずは――」


 私は部屋の南壁を見た。

 現在地、樹木を編み込んだ寝室には、幾つかの扉が有った。場所は東壁と西壁。 

 しかしながら、実は北壁にも隠し扉が有る。そこは物置になっていて、衣類や貴重品を収めている。着替えるならば北壁に向かうべきだろう。

 しかし、今はもっと優先すべきことが有った。


 私は襦袢姿のまま西壁の扉に移動した。そこに付いたドアノブを握って、手前の方へと引き込んだ。ドアはアッサリ開いた。

 鍵は掛かっていない。そもそも、この家の部屋に鍵など無い。それを所望しても、現況では自作するしかないのだ。ノブ付きのドアが有るだけでも重畳だ。

 私は開いたドアを潜って中に入った。


 ドアの先には、寝室と同様の樹木を編み込んだ部屋が有った。

 部屋の中には、竹で編んだ籠と、金属製の円筒の瓶が有った。

 どちらも大きい。私の体ほどもある。他に目に付くものは、西壁にドアが一枚。他は――無い。


 因みに、円塔の瓶は「ドラム缶」という。その名称は、私が付けたものではない。世界の造物主(女神ネフィリア)が記した創世記に登場している。


 私はネフィリア様の恩恵、ドラム缶の前に立った。

 ドラム缶の直径一メートルほど。高さは私の首元くらいか。上底に蓋は無い。その代わり、樹木から突き出た管が付いている。その管にはバルブ(この名称も創世記に載っている)が取り付けてある。

 奇妙なドラム缶だ。これだけの大きさならば、私の体を容易に飲み込める。実際、そのように使っているものもある。

 しかし、この場のドラム缶には別の役割が有る。それを、今から実戦しよう。


 私は身にまとった衣服を脱ぎ、それを全てドラム缶に投げ入れた。続け様に右手を伸ばしてドラム缶の縁に付いたバルブを回した。すると、管から水が溢れ出た。

 水がドラム缶の中を満たしていく。私の衣類も完全に水没した。その事実を視認ところで、私はバルブを閉めた。

 水は止まった。私の衣類は完全に水の中である。元より、それを企図している。


 私は竹籠に入っていた蓋付き壺を取り出した。蓋を開けて、中に入っていた粉を注いだ。量は――大匙一杯分(目分量)。注ぎ終わった後、壺は籠の中に戻した。


「さて――」


 私は再びドラム缶に向き直った。その際、右手を伸ばしてドラム缶の縁に触れた。


「むん」


 掛け声一回。それと同時に、私は自身の魔力をドラム缶に注いだ。すると、ドラム缶が静かに動き出した。

 ドラム缶は、上から見て右周りに回転している。その遠心力で、中の衣類が縦横無尽に振り回されている。

 この一連の行為に因って、衣類の汚れを洗い流しているのだ。

 そう、このドラム缶は「洗濯」をしているのだ。


 このドラム缶は「全自動魔力洗濯装置」という。これは私が名付けた。そもそも、私が発明したものなのだ。私には、それを可能とする力がある。

 これが魔王と呼ばれる所以(ゆえん)なのだ。


流石さすが、私」


 略して「さすわた」である。私は、改めて自分の凄さを実感した。とても気分がいい。鼻歌を吟じよう。

 私は来寿様直伝の歌を吟じながら、西壁の扉へと移動した。そこのドアノブを握って、今度は押し開いた。


 ドアの向こう側は、またしても樹木を編んだ部屋だ。先の部屋(脱衣所兼洗濯場)同様、ドラム缶と、樹木から生え出た管が有る。

 しかし、先の部屋とは趣が違う。


 今度の部屋は狭い。ドラム缶が部屋の半分を占める程に。

 そのドラム缶の縁には、バルブ付きの管が有った。しかし、今度は一本ではない。ドラム缶から離れて、少し高い場所にも管が一本突き出ている。

 後者の管は、先がフラスコ状になっている。その底には無数の小さな穴が穿たれていた。奇妙である。しかし、奇妙なのはこれだけではない。

 この管にもバルブが付いている。しかし、管そのものではない。それを突き出す樹木に付いているのだ。それも、私の胸元くらいの位置に。

 何の為に? それを今から実践しよう。


 私はフラスコ付きの管に近付いて、その直下から飛び出たバルブを捻った。すると、フラスコの底に穿たれた穴から水が飛び出した。それも、湯気を伴って。

 水は――暖かい、お湯だ。


 これは「シャワー」という身体洗浄装置である。造ったのは私だ。しかし、名付けたのは私ではない。ネフィリア様が残した「創世記」に記されている。

 シャワーを知る者であれば、現在地の正体を直感できるだろう。


 そう、この部屋は浴室だ。


 因みに、ドラム缶は浴槽である。水が入っていたならば、私の魔力でお湯に帰ることもできる。

 しかし、今は空っぽだ。朝から水を入れる手間を掛ける気は――微塵も無い。


 私はシャワーだけ浴びて浴室を後にした。退出する際、バルブはキッチリ閉めている。しかも、ちゃんと閉まっているかチェックもした。「さすわた」と褒めたいところ。しかし、実は他の理由が有った。


 ちゃんと閉めておかないと、来寿様に怒られる。


 別に、騎士からの苦言を恐れている訳ではない。私の方が立場は上なのだ。面倒に思うだけなのだ。


 私は心中で言い訳を念じながら、脱衣所を抜けて寝室に戻ってきた。しかし、直ぐに脱衣所に引き返した。


 ちゃんと体を拭いておかないと。


 脱衣所に戻るや否や、床に向かって魔力を投じた。すると、床を形成する樹木群の隙間から熱風が噴き出した。

 名付けて「魔力乾燥機」。これも私の発明品である。私には、それを可能とする力が有る。だからこそ、私は魔王と呼ばれているのだ。ガハハ――っと、失礼。


 私は、我が力の恩恵を存分に受けて、濡れた体を乾かした。完全に乾いたことを確認してから、再び寝室へと戻ってきた。


 次の移動先は――北壁。


 複雑に絡み合った樹木群が、私の前に立ちはだかる。どこをどう見ても、行き止まり。しかし、魔王の行く手を阻めるものなど無い。少なくとも、元いた世界には無かった。まあ、それはさておいて。


 私は右手を掲げて、樹木の幹に掌を当てた。続け様に魔力を込めた。すると、壁を形成していた樹木群が、私を避けるように左右に移動した。


 奥は小部屋になっている。そこには複数個の衣類が吊るされている。それらを視認したところで、私はアラクネの糸で編んだ着物に手を伸ばした。


 襦袢と似た和服だ。しかし、こちらのスカート丈は短い。

 外出用である。外に出たならば動き回ることになる。布が足にまとわりつくと邪魔なのだ。

 因みに、この場にはアラクネ製以外の衣類も存在している。


 ケルベロスの黒革鎧とか、グリフォンの金革鎧など。同じ素材の革ブーツも有る。

 他にもヒドラの鱗鎧(スケイルメイル)を作った。しかし、これは失敗だった。


 まさか、鎧になっても脱皮するなんて。


 存在しているだけで、ゴミを量産する。元が元だけに、防御性能は破格であった。しかし、泣く泣く処分した。

 当時の出来事を想起すると、私の口許が歪に歪む。その苦笑を張り付けたまま、今度は東壁のドアを潜った。

 その先は――広間だった。


 我が家の中心地、台所、兼食堂。


 中心地であるが故に、樹木の壁には複数のドアが有った。それぞれ、資材置き場、食料貯蔵庫、武器庫、魔法道具倉庫、私の研究室――等と繋がっている。


 私の研究室。そのドアが目に入ると、昨日の続きをしたい気持ちが沸く。しかし、今は無視だ。全力で無視だ。

 無視したくなる理由が、私の鼻腔を刺激している。


 美味しそう。


 香ばしい匂いが、私の食欲を掻き立てる。

 私の脚は、匂いの許へと誘引されていく。すると、調理場で料理をする一人の男の姿が目に入った。


 その男もまた、私同様アラクネの和服をまとっていた。

 男は袖を襷掛けにして、それが暴れるのを抑えている。

 男の右手には包丁が握られていて、男はそれを大胆に、ときに繊細に動かしていた。その事実だけでも、男の行為の意味が分かる。しかし、ここには更なるヒントが幾つも有った。


 現在進行形で「コトコト」と音を立てている鍋。

 テーブルに並べられた食器類。中には料理を盛り付けてあるものも。

 それらを見れば、否応無しに理解できた。


 男は料理をしている最中である。それを邪魔することは憚られる。例え魔王であろうとも、やっては駄目なことが有る。


 我慢、我慢。我慢するのだ魔王ウィルミア・デストランドっ!!!


 私は男が作業を終えるのを只管(ひたすら)待った。その間、男の顔をジッと見詰めていた。


 凹凸の少ない顔。筆で描いたような整った眉。笑っているような細い目。その全てが、私には輝いて見えている。その煌めきを直感する度、私の胸が高鳴った。


「ああ、来寿様」


 私は、無意識に声を上げていた。吐息程度の小声だ。しかし、男――来寿様は反応した。


「ああ、起きたのか」

「!」


 来寿様が、私の存在に気付いた。その事実を直感して、思わず息を飲んだ。すると、視界に映った来寿様が振り向いて――


「おはよう、『ミア』」

「!!!」


 ミア。その言葉を聞いた瞬間、私の心臓が口から飛び出し掛けた。


 ああ、「ミア」。何て甘美な響き。


 ミアとは、私の愛称である。私が「そう呼べ」と命じた。私の方が主だから命じたのだ。それを、来寿様は厳守している。

 来寿様は、とても真面目な方だと思う。素敵である。抱き付きたいくらいである。しかし、朝から痴態は晒せない。


 耐えるのだ。耐えるのだ魔王ウィルミア・デストランドっ!!!


 私は我慢した。その上で、全く平静な風を装った。私は態と欠伸をして、無関心振りをアピールしながら、冷淡な口調で挨拶を返した。


「おはよう、来寿」


 私は続け様に「続けてくれ」と、調理を促した。すると、来寿様は、そのご尊顔に申し訳なさげな苦笑を浮かべた。


「分かった。もう少し、待っていてくれ」


 来寿様は、再び調理を開始した。その後姿を、私は穴が開くほど見詰めている。その行為だけで、封印世界での生活が薔薇色に見えてくる。


 ああ、できればいつまでもこうしていたい。


 私の脳内で、幸せな未来図が閃いていた。

 我が家を更に拡充したり、来寿様と結ばれて沢山の子宝に恵まれたり――と、夢のような生活が次々閃いた。

 最終的に、老齢となった二人が縁側で仲良くお茶を啜っているところまで想像した。

 来寿様が「来世でも一緒にいようね」と微笑み掛けてくれて、それに私も「はい」と返事した。

 幸せだ。とても幸せだ。しかし、その幸せは長くは続かなかった。


 現実の私の耳に騒音が突き刺さっていた。それも、鼓膜が突き破れると錯覚するほどの大音響だ。それが鳴り響くと同時に、私の視界に映った来寿様の顔から笑みが消えた。


 来寿様は――無表情になっていた。全く感情が読み取れない。しかし、今の私には来寿様の心情が手に取るように分かる。


 来寿様が戦闘モードに入った。


 戦闘モード。そう、今から戦いが始まる。先の騒音は強敵の接近を知らせる警報なのだ。相手の魔力に反応して鳴るように作った。しかも、魔力量に比例して音量を上げる機能付き。とても優秀である。この機能の制作者を誉めてやりたい。

 偉いぞ、私。


 私が作った警報装置は、今も家を揺るがすばかりの勢いで鳴り響いている。このような反応は、今までに経験したことがない。


 強敵だ。もしかしたら――私より強いかもしれない。


 魔王より強い魔物。そんなものは、元居た世界にはいなかった。私は無敵だった。

 しかし、この封印世界では違う。私ですら生命の危機を覚える魔物がいる。それも、世界の造物主(女神ネフィリア)ですら処分を諦めたほどの化け物だ。

 何で、そんな危険物があるのか? その問いに付いては、創世記に書いてある。


「いや~、『元』とはいえ『人間』だもの。失敗することも有るよね?」


 我らの造物主、創世の女神ネフィリア様は「地球人」という人間だった。その為、創世の際に失敗したり、調整を誤ったりすることが有った。

 尤も、不具合は都度修正している。しかし、中には修正できないもの、或いは修正を諦めたものが有った。

 一個で人類を滅ぼせるほど強力な化け物ども。そいつらは、ネフィリムから切り離した異界に閉じ込められた。


 その異界こそ、私達が送り込まれた封印世界なのだ。


 ここには「女神の失敗作」というべき強力な魔物達が跋扈している。人間が生きていけるような場所ではない。

 私も、魔王とはいえ人間である。来寿様も人間だ。封印される謂れは無い。それなのに、私達は封印世界に送り込まれてしまった。

 何がどうしてこうなったのか? 当時の出来事は、今も鮮明に思い出せる。何しろ私と来寿様が初めて出会った日のことなのだから。


 あの出来事が無ければ、来寿様と出会わなかった。でも、「これで良いのだ」と、言って――良いのだろうか? 

 今はただ、頑張って生き残るしかない。

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― 新着の感想 ―
封印世界という危険な場所に閉じ込められているはずなのに、ウィルミアが魔力で洗濯装置や浴室を整え、たくましく暮らしている様子がとても面白かったです。 来寿への好意を必死に隠そうとする姿も可愛らしく、魔…
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