第13話 母の散歩
ハクは、他にも爆弾あるの、明日香は知ってるのか? 知らないのか? と不思議そうだ。そもそも、ハクは神様なので、お見通しだった。
明日香は、海を見ながら、睨みつける。
「そうか、じゃあ、生きて帰ってなんぼっしょ! ばいばいー」
明日香は私のこと、心配してくれてるんだ、と思う。
「はーい。それでは」
電話をきり、しばらくして、助けがやってくる。
「やったー! 助けが来たー! でも、あの死体とか、なんで爆発が起きたんだろう……」
ハクは地面をじっとみるしかなかった。
「そうね……そういうのは、警察の仕事でしょうし……私たちは早く抜け出しましょう」
そうして、一同は、抜けだした。多くの人たちは、その後の爆発で亡くなるとは知らないまま――。
友香里はみんな大丈夫かな、と心配していた。
――こうして、船は、沈んでいった。
さらに未来予知は続く。
「お母さん、私、全然人の役に立てなかった……そもそも守護霊様や神様と話せるわけなかったんだよ」
友香里は、今回の件で分かってしまった。結局、奇跡なんて起こり得ないと。
「友香里……それは……もう、何かを解決したいなら、ちゃんと勉強して役に立たないとですよ。神様や守護霊に頼ってばかりじゃあダメ。そういう存在が教えてくれるのなら、とっくの昔にスピリチュアルの文明になってますから。願いの外交官……良いではありませんか。自分なりに解決に動こうと必死になる。本当に、友香里が国と国の架け橋になるかもしれない。友香里はよく、事あるごとにお願いをするでしょう。だから、それで良いのではないですか? 今は、小説家として、司書として、大学生として、頑張っていきましょう?」
明日香は、熱く語った。スピリチュアルなことに傾倒する、娘を心配してなのだろう。
「うん! 分かった! 自分なりに動いてみるし、まずは、大学生活を満喫するし、小説家もやってみたい!」
友香里は、思い直した、神様や守護霊様は、こちらの道へ行ってほしいと言われてるかのように。ハクは、よかった……と安堵する。友香里に苦しんでる姿なんて見たくなかったからだ。明日香は、うまくいったことを喜んでいる。
「それでは、帰りましょう。今日は、友香里の好きなシチューにしますから」
「はーい!」
友香里たちを優しく神様たちは見守っていた。
――そんな未来をハクは見た。
ハクは現実に意識を引き戻し、目の前の明日香を強く見つめた。
「……なるほど。そうですか……でしたら、こちらの知っている情報を教えます」
明日香は、力を使い、テレパシーを送る。
私は……挨拶に伺いましたが……本当はそれだけではありません。彼らを駒にすること。それが1番の目的でした。ああいう富豪が味方につけばつくほど、いずれ大きな波になる。私がコントロール下に置かなければなりません。
明日香は、淡々と何もなかったかのように話す。明日香はハクを撫でる。
「安心してください、貴方のことを悪く思っているわけではありません。それに、これも必要なことです。じきにわかりますよ。貴方のことは、駒にしようなんて思っていません。私は、むしろ……対等な関係だと思ってます。友香里もです」
明日香は、微笑みかける。ハクは、何故この船についてきたかと言えば、危ないからだが、何故この船の爆発を止められなかったのかと言えば、友香里にはまず、通じないことと、明日香の出方を伺っていた、ということだった。
「それで……つまり、船の爆発と明日香は関係ないってことか?」
「そうですが……娘のことについては、知らないと言っておきましたし」
「一旦信じる。だから明日香も協力して。この未来を回避しよう」
「ええ、もちろん。娘には内緒ですよ」
こうして、2人は結託した。
一方友香里は……不思議な夢を見ていた。ここは……懐かしい感じがする。断頭台だ。周囲の人の声が聞こえる。
「神よ、どうか……」
「この人、魔女なんだ。」
「お願い……この子を助けて!」
様々な声が飛び交っていた。■■■は……選んだ。結論は、断頭台に向かって叫んだ。だが、声にならない。いや、声なんてなかった。いつのまにか、別のところにきていた。
ここは三船連合。儀式をする場所になる予定だ。そして、三つの像を作り上げようとした……ところを見かけ、その像に呼び出された。
「願いの神よ、どうか我らを見守りください。」
「■■■ちゃん、ここから出ましょうや。君は、人間。人柱になってしまってる。あそこにいる体に宿りなさいな。今ならまだ間に合うから」本物の願いの神から言う。
……。友香里は黙ってその様子を伺っていた。
「■■■?どうかなさったのですか?貴方は……私と同じ神でしょう。きっと……彼らにいい夢を見せてくれるのでしょう」と友香里に話しかける。
「次に高い地位にのぼるのは明日香でしょう。どうでしょう。彼女の赤ん坊に宿るというのは。夢幻の神……貴方はきっと現実をも変えられる。同じ神として、保証いたします。ただ、私の見通しにすぎません。彼女がここに来ない可能性もあります。一応、彼女はまだ妊娠してませんが」
夢を見終わり、目を開けると、一瞬友香里の目が光る。あのとき、何が起きたんだろう。私はただ、処刑されたのを見た後の記憶がない。変な夢だった。目覚めると、母とハクがいなかった。
「……なんか夢を見ていた気がする。はぁ」
目の前で眩む。お母さん……。机を見ると、置き手紙があった。
少し散歩に出かけます。安心してください、すぐに戻ります。
「……散歩?そっか……とりあえず」
太陽に手をかざす。……何をしようとしてたんだっけ。とにかく、母達を待とう。




