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失恋生活二十四日目

「ミケーーーーー!! エネルギー弾がそっちに行ったわよーーーー!!」

「にゃにゃ!?」



 うっそ!? ミケがバランスを崩しちゃった!?


 私の注意喚起に反応して振り向いたミケがズルッと崩れ落ちたのだ、無論ミミズたちのニュルニュルが原因ではあるのだけど。


 ええ!? ちょっと、ミケがバランスを崩して私の円盤状エネルギー弾を避けられないじゃない。肝心なところで何をやってるの!?



 ミケがいなくなったら私は無人島で一人ぼっち、……違う、そうじゃない。



 ミケは私にとって親友であり家族であって師匠でもある。そんなミケが死ぬところなんて見たくない!!



「ミケーーーーーーーー!!」

「にゃーにゃにゃ」

「……ほへ?」



 涙を流してミケに向かって届く筈もない手を伸ばす私を嘲笑うかのような出来事が起こった。なんとミケは崩れ落ちながら、その勢いのままバク転して私のエネルギー弾に乗ってしまったのだ。


 そしてまたしてもサングラスをかけ直して「キラーン」と呟きながら空を駆けていった。まるでニュルニュルからエネルギー弾のウェーブに乗り換えるようにミケは華麗に舞ったのだ。



「にゃにゃーーーーーー!!」



 そしてミケは完全に調子に乗ってしまったらしく、私のエネルギー弾を腰のバランスだけで操っていく。


 ミケが私のエネルギー弾でミミズをズバズバと斬り刻んでいく。



 ウオッシャーーーーーーーー!! いけいけミケーーーーーー!!



「ミケってばカッコいいーーーーーー!! お風呂できたら一緒に入ろうねーーーーーーー!!」

「にゃ」

「え? そんなはしたないこと言うなって?」

「にゃにゃー」



 ミケは「可愛い子猫ちゃん、俺の帰りを黙って見てな」と言ってます。アンタの方が猫でしょうが。


 まあいいか。今回に限っては完全にミケの独壇場だし、このままミケがミミズを殲滅してくれれば私は万々歳よ。


 私はそんなミケの活躍を純粋に応援してました。声が枯れるくらいに大声をあげて応援した。



「ミケーーーーーーー!! どら焼きまでもう少しよーーーーーーーー!!」

「にゃーーーーーーー!!」

「そうよ、砂糖入りのどら焼きが欲しかったらミミズを退治して頂戴!!」



 私はまるでアイドルコンサートで興奮するファンの如くミケを応援した。ペンライトを全身で振ってミケを応援した。



 そう、私は完全に油断してました。



 なんとミケが斬り刻むミミズは私の現在地を囲っているわけで。ミケはそこをエネルギー弾に乗って空を駆るのだ。



 つまりアレね。要は刻んだミミズの残骸がドカドカと地面に落ちてくるんです。それこそクジラの解体のようにミミズが体液を射出しながら、その残骸が私に向かって飛んでくる。




 ギャーーーーーーーーーーー!!




 ミミズのあ、あ、頭がーーーーーーー!! 生首が女子高生の隣に転がってるーーーーーーーー!!


 火曜サ◯ペンスか!! 首チョンパされたミミズの顔が私を睨んでるんですけど!? ミケもそれくらいは気を効かせて欲しい。


 斬り飛ばした首はもっと遠くに……ほへ?


 私の隣に転がってきたミミズの頭がゆっくりと私の方に視線を向けてきた。私はゴクリと唾を飲み込んで、その頭を目が合ってしまったのだ。



 ニュルニュルニュルニュル……、ニヤア。



 ギャーーーーーーーーーー!!



「ミミズが笑った!? ミミズの怨念が私を呪い殺そうとしてる!?」

「にゃにゃーーーーーー!!」



 そして変わらずハイな状態で私のエネルギー弾を操るミケ。縦横無尽に空を飛んではドンドンとミミズを倒していく。私はムンクの叫ぶのような表情になってミケに向かって文句を言っていた。



「ちょっと!! ミケも周囲にゴミを撒き散らすなーーーーーーー!!」

「にゃっはーーーーーーー!!」

「聞こえてないんかい!! テンションがハイになり過ぎて聞こえてないんかい!!」



 こうして私の周囲は地獄絵図となっていった。ミミズの首が転がる度に私は発狂の感情を加速させていった。



 そしてそんな私を置き去りにしてミケは楽しそうに空を舞う。



 私は思い知りました。この島で最強はヌルヌルとニュルニュルだと。そして私はニュルニュルから向けられるニヤニヤした表情に囲まれて腰を抜かしてしまった。



「くっそーーーーーーーー!! ニュルニュルに見下されてる気がするんですけどーーーーーー!!」



 『ニュルニュルはヌルヌルと上位相互関係にあるんだぜ?』とミミズに蔑まれている気がした。


 私はブルブルと全身を震わせながらミケの興奮が収まるのを待ちました。ミケがウェーブを存分に楽しんだのはそれから約一時間後のこと。


 その時には私は泡を吹いて気絶していたのでした。その私を発見したミケは可愛く首を傾げながら「寝不足?」と声をかけてきた。



 んな訳あるかーーーーーーーー!!

 下の評価やブクマなどして頂ければ執筆の糧になりますので、


お気に召せばよろしくお願いします。

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