失恋生活二十三日目
本当にミケはどこにサングラスをしまっているのか。
ミケは放り出されながらスッとサングラスを出してそれを装着した。どうやらミケはサングラスをつけると人格、と言うか猫格が豹変するらしい。
「にゃにゃーーーーーーー!!」
ミケはニュルニュルの上をヌタウナギの時と同様に肉球で滑り出したのだ。今度は粘液ではなく完全なるウェーブの上、上下に蠢くミミズを嘲笑うかのようにミケは爽やかな笑顔で波乗りを楽しんでいた。
さすがは『サザ◯オールスターズ』よ。
『波乗りミケ』とは良く言ったものね。
「にゃにゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃ。にゃにゃにゃにゃ」
ニュールニュルニュールル。
あれ? ミケの鳴き声とミミズの効果音が合わさって波乗りミケのテーマソングが流れた気がする。
これって版権とか大丈夫かな?
「ふう、でもこれで時間を稼げるわ。ミケーーーーー、頑張ってーーーーー!! エル・オー・ブイ・イー、ラブラブミケーーーーー!!」
「にゃーにゃにゃーーーー!!」
キラーン!!
うっわ、ミケが調子に乗って歯を見せつけて輝きを放ち始めた。純粋にウザいけど、今は放置でいいか。
ミケは私に親指を立てながら「お嬢ちゃん、こっちは任せておきな」と言葉を返してきた。そしてミミズを滑走しながらイナバウアーを披露するミケ。
ミケって意外と余裕ね。
ミケはあまりの余裕ぶりに「NYA NYA」と韻を踏み始めた。アンタは猫の鳴き声しか口に出来ないんだからずっと韻を踏んでるでしょうが。
だけど時間が確保できたのは事実。
ヨシヨシ、では私の方はミミズの対策を考えるとしましょう。相変わらず視界はモザイクだらけ、私は僅かに寒気を覚えながら思案を開始した。
その一、ミケごとダイナマイトで骨牌微塵にする。
却下? 意外といける気がするわね。ミケならダイナマイトにだって耐えてくれると思う。だけど、やっぱり却下。道徳的にマズい気がする。
そもそもこの巨体ミミズは先ほどのプラスチック爆弾攻撃も耐えて見せたのよね。ダメじゃん、このミミズは斬撃攻撃しか受け付けないみたいなのだ。
その二、斬鉄剣で滅多斬りにする。
これは確実に倒せると思う。だけど断固拒否よ!! 先ほどのミケの暴走で、私の斬鉄剣はニュルニュルに塗れてしまった。
アルコール消毒か熱湯消毒しないと私は指一本触りたくありません!!
後でミケをしばき倒してやるんだから!!
じゃあその三、剣以外の何かでミミズを斬り刻む。これしかないかー……。
「はあ、コレをやると版権とか色々と煩そうだから嫌なのよねー」
私は空に手を翳して「はあああああ……」と集中を深めていった。そしてエネルギー弾を円盤状へと変化させて電動ノコギリのような刃を形成していった。
そうです、これもエネルギー弾の元祖とも言える亀さんマークが生んだ技。髪も鼻もないあの人の必殺技です。
またしても『アレ』です。
これは某戦闘民族の宇宙人や宇宙最強の変身型宇宙人すらも斬り刻んだ実績を誇る技。だけど技名を言うと外野が煩そうだから伏せ字で行くんだから!!
「喰らえ!! 『ふっ、くだらん技』だーーーーーーー!!」
私の放ったエネルギー弾は高速回転しながら甲高い音を立ててミミズに向かって突き進んでいった。
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