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『乙女ゲー脳の冬香ちゃん、敗北する』  作者: ローガン・デメガ・カシューム


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【第1章】 乙女ゲーならフラグ成立です!

体育が終わった後の教室には、運動後の余熱とどこかだるい空気が漂っていた。

季節はすっかり初秋。吹き抜ける風にはどこか涼しさが混じり始めているというのに、着替えるのが面倒で、男子も女子も半袖の体操着の上に直接制服を羽織っている。汗ばんだ肌に制服の生地が少し張り付くけれど、みんな気に留める様子もない。


次の授業は、図書室での自習。

先生が遅れてくるというゆるやかな放任感の中、教室の隅で春樹、夏向、秋也の三人がひそひそと顔を突き合わせていた。


春樹、夏向、秋也。

この三人はクラスでも目立つ存在だ。スポーツ万能で人懐っこい笑顔を浮かべる春樹に、クールでどこかミステリアスな夏向、そして大人びた雰囲気でいつも周りをよく見ている秋也。タイプは違えど、三人ともかなりのイケメンで女子からの人気も高い。

私にとって彼らは、普段は少し遠い存在だ。けれど本音を言えば——この中の誰か一人とでも、もう少し特別な関係になれたらいいのに、と密かに思っていた。


そんなことをぼんやりと考えていた時、不意に春樹がこちらを振り返り、ニッと悪戯っぽく笑った。


「冬香、俺たちサボって視聴覚室行くけど……来る?」


少し低めの声で囁かれたひそやかな誘い。夏向と秋也も、どこか面白がるような視線をこちらに向けて様子を見守っている。

(なぜ私?まぁ、女子の中でこんな時羽目を外すのは私ぐらいしかいないけど)


心臓が少し跳ねるのを隠しながら、私は小さく頷いた。

「……行く」


秋の気配が漂う廊下へ、私は彼らの背中を追うように能天気に踏み出した。

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