森からの脱出と初めての街
「ありがとうございました!大変お世話になりました!」
森を抜け街の外壁が見える草原まで移動した俺たちは
ここから街とは反対の方角へ向かうオネェオーク達と別れの挨拶を交わす。
「いやね、そんなに大したことはしてないわよ。」
「それよりもさっきお願いした事お願いね!」
「分かってますよ。目の白い方たちは魔族ではあるけど、あくまで種族の1つとして人間と共存しているから敵対したり、倒したりしないようにって事ですよね!」
「そうよ、話せない種族もいるから間違えて倒したりしないようにお願いね。 それに中にはわざと倒して素材を持ち帰る輩もいるからね。」
そう、森を抜けるまでに聞いたこの世界の話では、この世界には様々な種類の生き物がいて、人間、魔族、モンスター、そして普通の動物たちがいる。
その中で人間も魔族もモンスターも動物も共存しているが、モンスターというのはこの世界ではペットとしてや、仕事の手伝いとして扱われているらしい。
そして、魔族も普通に人間と共存しているが、魔族とモンスターの中には目の赤い者たちがいるらしく、その赤い目をした者達は悪神に魅入られた者として全く別の存在として扱われるらしい。
赤い目をした者たちは他の者たちとは共存できず、攻撃的で見つかれば襲いかかってくるので討伐が推奨されているみたいだ。
「まぁあなたはワタシたちにも優しくしてくれて、差別したり嫌がったりもせずに会話もしているからその辺は大丈夫な子だと思うけどね。」
「普通に話ができて理解し合えるなら別にわざわざ嫌がる事もないだろう。」
「あなたみたいな考え方の人ばっかりだったら世の中もう少し優しくなるのにね。」
どうやらこの世界は彼ら?彼女らに少し生き辛い世界みたいだな。
と、そんなことを考えてるうちに草原に辿り着く。
草原の中には人や馬車が通る道があるので、その道まで行くことにするが、親切なオネェオークたちはここでお別れらしい。
「それじゃあね、ワタシ達はあっちだから。 もしまた縁があればどこかで会いましょう。」
「ほんとうにありがとう、助かったよ。」
「それじゃあまたどこかで。」
オネェオーク達と別れ街に向かって道を歩いて行く。
周りには大きな剣や魔法使いが持つ杖の様な物を持った冒険者の様な人や、大量の荷物を持った商人の様な人が歩いている。
時折り通る馬車には人や荷物が乗り、本当にテレビで見る様な中世ヨーロッパのような景色が広がる。
そんな周りの景色を楽しみながら歩いて行くと、あっという間に外壁の門まで辿り着いた。
入り口の門の所には甲冑を着て槍を持った兵士が立っている。
「通行証のある者はこちらへ、無い者はそちらの列に並んでください。」
どうやら通行証が無いと街に入るのに審査の様なものが必要らしい。
当然通行証などないので、審査を受ける列に並ぶ。
「次の方どうぞ」
「はい!」
「どちらから来られましたか?」
どこから来たって言えばいいんだ?
この世界の地理なんか知らないし、街や村の名前も知らないぞ。
異世界から来たなんて言える訳もないし、適当な方角だけ答えるか。
「向こうの方からそこの森を越えてきました。」
「なるほど、だとすればここから歩いて10日ほどの村か、それより向こうの村から来たんだな。」
「そうです、もう少し向こうからなんですけど。」
「それは遠いところからよくここまで頑張って来たな! 冒険者になりに来たのか?それとも商人の元で修行でもするのか?」
「冒険者になりにきました。」
咄嗟に冒険者になりたいみたいな事を答えてしまう。
だが、衛兵はニコニコしながら頷きつつ聞いてくれる。
「そうかそうか、頑張れよ。 怪我したり死なない様にしっかり生きて賢く冒険しなさい。 それじゃあ最後にこれに手を触れてくれ。犯罪歴を調べるからな。」
目の前にある少し大きめの板の様なものに手を付けるように指示される。
言われるがままに手を付けると白く光る。
「大丈夫だ。犯罪歴は無し。 よしそれじゃあ新人冒険者くん、中に入って構わないよ。 ようこそフォルミの街へ!」
俺はこの世界に来て初めての街並と様々な種族。冒険者としての生活。
そしてなによりこれから始まる冒険に心を躍らせながら初めての街へ足を踏み出すのであった。




