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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第一章 リョーガ、異世界に立つ
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第十一話 リョーガと海賊魔女①


「…何?ソロイとビガロの野郎と連絡が取れねぇだと?」


町の裏の入江に停泊してある船にて、部下から報告を聞くレイモンド、その隣にはバリーとラムが控えている。


「はい、お二人とも一昨日辺りから連絡が一切取れなくなっています…」

「ほぅ…まさか、あいつらがどこぞの誰かにやられたとでも?」

「それはないんじゃないの?だって町の冒険者達はみんな尻尾巻いて逃げちゃったんでしょ?」

「たしかにそうだ、だがもしかしたら…他所の冒険者がやったとも考えられる…」

「へぇ、あの二人を倒すほどの腕前か…どんな奴なんだろうなぁ?戦ってみてぇなぁ…それで使えそうな奴ならいっそ仲間にするのもありか…へへへ」

「フフフ、まぁでもお頭がわざわざ手を出す必要はないわ…私が、探してあげる」

「そうか、だが殺すんじゃねぇぞ?必ず生かしてここへ連れてこい!」

「えぇ、善処するわ…」



・・・・・



【冒険者ギルド 空き部屋】



「…んー、やっぱり駄目か」

「兄ちゃん兄ちゃん、さっきから何やってるっすか?」

「ん?おぉ、ちょっと次の戦いに備えて新しいスキルを覚えておこうかと思ったんだが…これがなぁ」

「んー?ダメなんすか?」

「あぁ、今『Aランク級魔術スキル』を覚えてみようと思ったんだが…全然上手くいかない、どうやらこれが限界みたいだな」


そういや前にニライスのスキルブック屋の爺さんにも、職業によってスキルの向き不向きがあるって言われてたっけな…やっぱり俺みたいなテイマー系の職業じゃこれより上のランクの技やスキルは覚えられないみたいだな…回復系スキルや支援系スキルだったら大丈夫だったんだがな…。


…ウチのパーティは全員近接戦闘であればそこそこの奴にも対応できるし、俺の支援スキルを使えばAランク級の相手とも渡り合うことができる。

ただ、相手と距離を取られると少々厄介だ…何故なら強力な遠距離攻撃の手段を持ち合わせていないからだ


一応、俺もミーニャもゲータも魔術は使えるのだが…ミーニャとゲータはDランク級まで、俺でもBランク級の魔術しか使うことができない…クリムに至っては魔力が低すぎて魔術系スキル自体覚えさせても使えない、ぷよたんも擬態や空間魔術と言った高度なスキルをいくつも習得しているが、攻撃系魔術スキルとは相性が悪くて覚えられなかったとのこと。


この先強い敵相手に肉弾戦のみで渡り合えるなどとは思ってはいない…何とかしないとな。


「旦那!見て下せぇこれ!」

「ん?何のスキルだ?」

「『狙撃スキル』でやんすね、銃とか飛び道具の扱いが向上するスキルでやんす」

「なるほど、そんなのもあったのか…そういやこの世界にも銃ってあるんだったな、海賊どもの下っ端どもも持ってたし…別に魔術に拘る必要なかったかもな」

「でも銃なんて武器屋にも滅多に置いてないでやんすよ」

「何?そうなのか?」

「はい、僕の得た知識によると銃という武器は十数年前に発明された最新式の武器なんですぷよ、それ故に一般の武器屋ではまだ出回っていないことも多いんですぷよ」

「そうだったのか…」

「それに、銃自体作れる技術を持った人もあまり少なくてその貴重さからとんでもない高い値段で取引されているらしいぷよ」

「マジか、それじゃあおいそれと手は出せないな…とりあえず弓で我慢するか…ゲータ、とりあえずそのスキル取っておけ」

「了解でやんす!」

「んじゃ、ちょっくら武器屋行って良さそうな弓でも買ってくるわ…」

「あ、ウチも行くっす!」

「あぁ、ぷよたんお前も来い」

「ぷよ!」


ぽよんっと俺の肩に乗るぷよたん


「んじゃ、ちょっと行ってくるわ…」

「へい!お気をつけて!」

「ガウ!」



武器屋へ到着、やはり銃らしいものはなく当初の予定通り弓を買うことにした。


「えぇと、どれがいいかな…」


俺は鑑定スキルを使って店に陳列されている商品を吟味していく

ちなみに鑑定スキルを物や武器に使うと、そのものの価値や性能などを調べることができる。


が、調べたところによるとこの店には一般的なランクの弓しか置いていないようだ…これではとてもレイモンド一味には通用しないだろう。


「…ハァ、どれもイマイチだな」

「おいあんちゃん!ウチの商品にケチつけようってのかい!帰んな帰んな!」


と、店を追い出されてしまった…しまった、つい本音が漏れてしまった…気をつけねば


「兄ちゃんどうするっすか?結局何も買えないままだったっすよ?」

「そうだな…どうしたもんかな?ハァ、めんどくさ…ん?」


そこで、おもちゃ屋の前を通りかかり、あるものが目に入った。


「これは…」


それは『パチンコ』だった

昔子供の頃に遊んだ所謂ゴムで玉を飛ばして遊ぶY字型のお馴染みの形をしたアレだ


「兄ちゃん?」

「ご主人様?」


「……っ!?」


そして今ふと思い出したことがある、前世で読んだ有名な漫画のキャラでパチンコを武器にして戦うキャラがいたな…パチンコ玉以外にも火薬を詰めた玉などトリッキーな戦法を得意とするキャラだったな…たしか名前はウソッ…って今はそんなことどうでもいい!


「おっさん!このパチンコくれ!」

「へい、まいど!」


俺はすぐ様パチンコを買って帰る


「今帰ったぞ」

「おぉ旦那、お帰りなせぇ…いい弓はありました?」

「いや、生憎どれもしょぼい弓しかなかった…」

「あーそうでやんすか…」

「ところでお前の方はどうだ?ちゃんと習得できたか?」

「へい、バッチリでさぁ…それで、どうするでやんす?」

「心配ない、弓は手に入らなかったが代わりにこれを買ってきた」


そう言ってさっき買ってきたパチンコを見せる


「ん?ただの玩具じゃないでやんすか〜、こんなんでどう戦えと?小鳥を撃ち落とすのとは訳が違うでやんすよ?」

「心配ない、ちゃんと考えがある…耳貸せ」

「??」


俺は早速ゲータに思い付いたことを教える


「ほぅほぅ…それは悪くない考えでやんすねぇ」

「だろ?できそうか?」

「お任せでやんす!夜までには仕上げるでやんすよ!」

「頼んだぞ」



・・・・・



【夜】



「あー、遅くなっちまったなぁ…急いで帰らねぇと海賊が出ちまう…」

「ねぇ、そこのあなた…」

「ん?何の用だい姉ちゃん?」

「あなた、この辺りでウチの幹部の二人を見なかったかしら?」

「ウ、ウチの幹部ってまさか…あ、あんた!まさか、か、『海賊魔女のラム』!!」

「質問に答えて頂戴、ウチの幹部二人知らない?」

「い、いえ!し、知りません!」

「そう、無駄な時間取らせたわね…行っていいわ」

「ひ、ひぃぃぃ!」

「もう、どこ行ったのかしらホントに…」



「…ふぁ〜、眠いっす」

「こらミーニャ、だらけてないで周囲をちゃんと警戒しろ…それにまだ仮眠交代したばっかだろ」

「だってぇ」

「だってもあさってもない、シャンとしろ!」

「ふぇい…」


すると、その時だった…。



“バキュンッ!”



「「!?」」


銃声っ…!?音からしてかなり近いな


「あっちから聞こえたっす!」

「よし、お前は先に行ってろ!俺が行くまでは無茶するなよ!」

「うぃっす!」


ミーニャを銃声がした方へ先に向かわせ、俺は念話でゲータ達に呼びかける。


(『お前達!起きろ!すぐに来い!』)


「ふがっ!?だ、旦那!?あれ?いない…てことは念話?(『何かあったでやんすか!?』)」


(『説明してる時間はない!とにかく来い!』)


(『あっ!ちょ!旦那!』…切れてしまったでやんす、まぁいい、とにかく急ぐでやんすよ!)


ミーニャの後について俺も銃声のした方へ向かう


「ミーニャ」

「兄ちゃん、アレ!アレ!」

「ん?」


見ると、一人のピンク髪の女が男達に銃を向けている


「ひ、ひぃっ!か、勘弁してくれ!ホントに何も知らないんだ!」

「嘘おっしゃい!ホントは何か隠してるんでしょ?白状しなさいよ!ほら早く!」


と、男達をわざと外して銃を数発撃つ女


「や、やめてくれぇ!」

「だったら早く教えることね、次言わなかったら今度こそその頭撃ち抜いちゃうから…」

「ひ、ひぃ!」


「おい、やめろ!」

「あら?どちら様かしら?」

「冒険者のリョーガだ、俺に用があんだろ?『海賊魔女』」

「あら、そうなの!自分から出てきてもらって助かるわ〜、私はレイモンド一味幹部の一人、人呼んで『海賊魔女のラム』よ、よろしくねボーヤ…うふん♡」


そう名乗ると俺に軽くウインクしてくる

ウエスタン風のやたら露出の高い衣装に身を包み、はち切れそうな豊満な胸が溢れ出しそうになっている。

古今東西、敵組織に一人は絶対にいるであろうお色気担当のセクシーお姉さん系幹部…まるでお手本のようなベタさだな…。


「あなたが、ソロイとビガロを倒したって言うの?」

「あぁそうだ…」

「ウフフ、なら話は早いわね!あなた、私達の仲間にならない?今ならレイちゃん(お頭)も高待遇であなたを迎えてくれるわよん!」

「…嫌だと言ったら?」

「それなら仕方ないわね、可哀想だけどあなたにはここで死んでもらうしかないわね…」


両手に銃を構えるラム


「兄ちゃんヤバいっす、あいつソロイとビガロとかいう奴らよりもヤバいニオイがプンプンするっす!」

「…あぁ、そうみたいだな」


するとそこへ…


「旦那ぁ!お待たせでやんす!」


と、クリムに乗って颯爽と現れたゲータとぷよたん


「あらリザードマンにクリムゾンウルフ?随分とバラエティー豊かな面々だこと、殺すのは勿体ないわね…奴隷商人やらコレクターに売りつければイイお金になりそうね!」

「御託はいい…さっさと始めるぞ」

「それじゃ、始めましょうか!」


言うや否や銃で発砲してくる


「ぷよたん!」

「ぷよー!」


巨大化したぷよたんが盾となり銃弾を防ぐ、スライムのぷにぷにボディで銃弾を弾き返す


「あら、やるわね…なら、これならどうかしら!」


再び発砲するラム、だが放たれた弾は普通の弾ではなく…炎を纏った弾(・・・・・・)だったのだ。


「あ、熱いぷよ!」

「ウフフ、流石に魔術までは防げないみたいね!」

「大丈夫かぷよたん!?」

「ぷよ〜、熱かったぷよ」

「なんだ今の弾…炎纏ってやがった」

「ウフフ、教えてあげるわ!この銃に使われる弾は私専用の特別製でね、魔力を込めることでその魔力を吸収し撃つと同時に術が炸裂する特殊弾なのよ!」

「何だと!?」

「これなら普通に魔術を使うよりも早く相手まで届く、どう?素敵でしょ?」

「…厄介なもん出してきやがる」

「兄ちゃん…」

「心配するな、必ず突破口はある…一先ずお前はクリムと一緒に奴へ突っ込め、俺とゲータで援護する」

「うぃっす!」

「先輩、援護なら任せるでやんす!」

「頼りにしてるっすよ!」

「よし、いってこい!」

「うにゃーーー!!」


前に出て特攻するミーニャ達、俺とゲータはぷよたんの後ろに隠れいつでも援護できるように体制を整える


「フンッ!」


ミーニャ達に向けて発砲するが、二人はそれを驚異的な反射神経でかわし、ラムに接近する。


「もらったっす!」


拳を振りかぶるミーニャ


「なぁんてね…」


すると、ミーニャのパンチを蹴りで受け止め相殺するラム


「!?」


「接近戦だって得意なのよ!」


と、上段回し蹴りでミーニャを吹っ飛ばす


「ミーニャ!」

「先輩!」


「グルルル…ガウッ!」


ラムの脛に齧り付くクリム


「フン、無駄よ…はぁ!」


齧られた足を振り上げてクリムを振り回して壁に激突させる。


「キャイン!」

「危なかったわ…こんなこともあろうかと特注の鉄製ブーツ履いてきて正解だったわ」

「野郎!ゲータ!」

「合点!」


「『散弾風ショットガンウインド』!!」


「『三連鉛弾』!!」


術を放つ、だが悉く全部撃ち落とされてしまった。


「なっ!?」

「ウフフ、お粗末な魔法だこと…そんなんじゃ私には届かないわよ?」

「くそっ!」

「さぁ、ここからどうするのかしら?ウフフ…」




To be continued…

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