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終わりに

 炎は美しい。


 暗闇の中で揺らめく火は、特に人の目を引きます。


 それがどんな理由で灯されたものであれ、人は光を見るのです。


 光と価値は同義ではない。


 炎上は、注目を集める。

 しかし集まった注目は、そのまま読者にはなり得ない。



 読者とは、静かな夜にページをめくる者の事

 紡がれた文章から情景を浮かべ、作品へと向き合う者の事。


 決して騒ぎの中心で笑う者でも、怒りの声を上げる者でもありません。



 火と騒乱は一瞬で燃え広がっていきます。

 無味乾燥した場所であるなら、貴重な刺激(娯楽)ですから。



 物語は、静寂の中でしか育たない。


 創作とは、評価されない時間を受け入れる覚悟の事。

 誰にも見られていない夜を重ねる事。

 数字が動かぬ日々を耐える事。


 その積み重ねの先に、ようやく小さな灯りが宿る。

 


 炎上は近道に見える。

 だがそれは階段ではない。

 

 崖なのです。



 飛び降りるのは一瞬。

 でも地の底から登り直すのは、途方もない時間と手間、我慢がいる。


 


 マッチ売りの少女は、寒さと孤独に負けた。


 創作者は、凪に負けた。


 寒さも静寂も、本来は敵ではない。

 それは試練であり、通過点であり、創作者にとって避けては通れぬ夜なのです。


 

 火を灯すか。

 それとも、耐えるか。


 選ぶのは自由です。

 ですが、燃えたものは戻らない事をお忘れなく。


 それでも火を灯すのなら、どうぞご自由に。

 灰になるのも、また自由です。


 もっとも――灰は、二度と燃えませんが。

本編では敢えて語らなかった事を後書きで記します。


炎上に頼らねばならないまで追い詰められた作者。

作家として、物語を紡ぐ者として、苦しくないのでしょうか?


自身の作家人生をかけた渾身の作品であるならば、執着する気持ちも分かります。


しかし、だからこそ自身の限界を可視化出来たのではないでしょうか。


はっきりここで告げましょう。

どれだけインプレッションを稼ごうと、炎上させて多くの人の目に留められたとて、読み続けさせられないのなら、無意味なのです。

残念ながら、作品としての魅力がないのです。

炎上作家の汚名を被ってまで、やっと呼び寄せた読者を掴めないのは、それは火に飛び込む蛾と変わりません。


炎上がきっかけで伸びた作者は蛇蝎も何名か存じております。

残念ながら、狙った炎上であろうと不快なものは不快です。


入賞の実力も努力もある事は言われずとも承知しています。

しかし、その作品を手に取り、作者名を見るとげんなりした気分になる。


物語に罪はありません。

しかし、生み出された子(作品)は親(作者)の悪評のせいで余計な評価も付き纏ってしまう。

名が曇れば、物語もまた曇るのです。


あぁ、あの作者の書いた作品か。


それだけで伸びた手が離れていく。


何とも残酷な事でしょう。


残酷さから目を逸らしても、事実は変わりません。

創作者にとって最大の資産は、才能でも話題性でもない。


人としての信用です。


それを燃やすかどうか。


選ぶのは、常に本人なのです。


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