第209話 引き際
中央ダンジョン・機械領域。
金属の通路、冷たい光。そして、機械のモンスター。
ギィィィィ!!
高速で迫る四脚機械にゴーレムが迎撃する。
ガキィィン!!
衝突、火花。しかし、「硬すぎる!」
キキの剣が弾かれた。父の大剣も同様に
ギン!!
浅い。
「外装強度、極めて高い」ヒカリが分析する。
「ファイア!!」リーナが魔法を放つ。
ボン!!
直撃。しかし表面が少し焦げるだけだ。
「効いてない!?」
機械が反撃した。
ドォン!!
ゴーレムが押し返される。カイルのゴーレムも踏ん張るが「出力が足りん……!」
ナルサもメイドゴレームいない。支援も減っている。
「戦力不足」ヒカリが言う。
「長引くとまずいわよ」キキが歯を食いし
ばった。
さらに“カチ”と音が聞こえ別の壁が開く。増援、もう一体。
「マジで……」リーナが後ずさる。
カイルは一瞬で判断した。
(無理だな)
「撤退する」
「賛成」キキが即答する。
「合理的判断」ヒカリも頷く。
「にげるの!」リーナも叫んだ。
父のディスプレイ【撤退】。
「ゴーレム、後衛!」カイルが指示を飛ばす。前線を壁にして全員が後退を開始した。
機械モンスターが追ってくる。
ギィィィ!!
ヒカリが風で妨害し、キキが通路を塞ぐ。カイルのゴーレムが最後尾から通路の一部を破壊した。
ドン!!
瓦礫が落ちる。足止め成功。
「走れ!」
全員が一気に離脱する。金属の通路を抜け、石のエリアへ。空気が変わった。
静寂。追撃は来ない。
「はぁ……こわかった……」リーナがその場に座り込む。
「生存成功」ヒカリが言う。
「……あれは無理」キキが息を吐いた。
「装備不足だな」カイルも頷く。
父のディスプレイ【再挑戦必要】。
「無事でよかったわ」母が優しく言った。
カイルは振り返り、機械の通路の奥を見据える。
「……次は準備してくる」
目は真剣だった。ただの撤退ではない。"次"への判断だ。
未知の領域、強敵。しかし、それすらもカイルにとっては「面白い」と小さく呟く。
冒険は終わらない。ただ一度、引いただけ。次は攻略するために。




