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序章

 「なぁ……」


 「ん?」


 「人生ってつまんねぇよな」



 

-始まりはほんの些細な事だった-




 「また始まった……お前中学から何もかわらねぇな」


 「羨ましいか?」


 「高3にもなってまだそんなこと言ってんのかって言ってんだ」


 「今も昔も変わらんさ、俺はな。この世がつまんなくて俺みたいな奴が腐るほど居るって事も昔から知っている」


 「病的な思想だな。よく世界を見てみろって。お前が知らないだけで楽しいことなんていっぱいあると思うぜ?なんだかんだ言ってバランスがとれてるよ」




-ただいつものように友達と喋っていた-




 「そういうもんかね?」


 「そういうもんだ」


 「なぁ……」


 「ん?」


 「お前はしっかりしてるよ、本当」


 「そうか……そうでもないと思うぞ?」


 「?」


 「俺だってお前みたいに人生はつまらないって思うよ。でも、それでも俺たちは今を生きてるんだ。つまらなくても時間は止まらない。それを乗り越えなくちゃいけないんだ」


 「大人だな。同い年には見えねぇほど達観してると言うか、諦観していると言うか。」


 「たぶん後者が正解だろうな。大人に見えるなら多分、そうならざるを得なかったんだろう。俺やお前が考えてるこんなのだってただの中二病の戯言だ」




-俺たちは仲がよかった。親友だった。だから同じようなモノを求めたりもした。この世を変えるような大きな力とか。


 しかしゲームでもない限りそんな都合のいいようなものなど存在してはいない。


 この世は「核爆弾」や「金」が力として君臨している。そんなことわかってた。


 2人で政治家になろうとしたのはこの後だった-












 2人で世界をかえようと約束したのもこの時だった。


 そして時は流れ、受験が行われる。















-こうなるかもしれない。俺にはなんとなくわかっていた。

 

 いつかこんなときが来るのを。


俺は受験をして失敗した。だがあいつは受かった-
















 「…………」


 「……おい」


 「大丈夫だ」


 「でも、俺だけ先になんて…。俺も浪人す…ッ!」


 「馬鹿な事言うんじゃねぇ!!!」


 「!!…………すまん」


 「なに謝ってんだよ。俺が失敗しただけだ。お前にゃどうって事ねぇだろ」


 「………………」


 「ほら、合格者は資料取りに行くんだろ?行って来いよ」




-俺が資料を取りに行き戻ってきたころにはあいつはもう居なかった。


 あいつが消息を絶ったのはこの後だったのかも知れない。俺があいつが家に帰ってきていないと親から聞かされたのはこの二日経った後だった。


 家出なのか何処かで宿泊しているのかはわからなかったが、警察に捜索願を届けてもあいつが見つかる事はなかった


 失踪したあいつは見つからなかったが、それでも俺の時間が止まるわけではない。


 あいつがいなくとも俺にはやらないといけない事があった。


 何よりも、俺のやろうとしている事こそがあいつとの約束だったから。俺は努力し続けた。


 いつかあいつがひょっこり現れて来た時にちゃんと約束を守れるように。


 だが俺の努力は無駄になった-






 -あいつは帰ってきた。最悪の形で。


 俺が知ったのは犯罪者としてのあいつだった。


 俺は裏切られたような気持ちになった。


 犯罪者として世界をかえるのではなく、ちゃんと自分と同じように力を蓄えて政治家として世界をかえてくれると信じていたのに。


 あいつは力を手にしていた。


 権力などそう言う力ではない、文字どうり力。


 あいつはもう力を手に入れてしまった。


 昔、あこがれていたような非現実的な力を。


 あいつは間違った事をしてしまった。


 あいつはもう俺の知っているあいつじゃない、あいつはもう犯罪者なんだ-







 「よう。元気だったか?」




 -聞き覚えのある声、俺は気がづくと目の前にあいつがいた-




 「ああ、それなりにな」


 「そうかい。それは結構」


 「何しに来たんだ?」


 「ああ、謝りに来たんだ」


「謝りに?」


 「俺は約束…破ったからな」


 「約束…」




 -世界を自分達の手でかえよう-


  


 「どうしてあんなことを?」


 「理由は知ってんだろ?」


 

 人生ってつまんねぇよな-

この世界は間違ってる-

 力があればよかったのに-

昔こいつが言っていた事から考えたら十分に分かる事だった。



 

 「お前は今までどこに言ってたんだ?」


 「俺は女神様に会った」


 「は?」


 「そこで色々な事を学んだ。この力の事とかな」




 -あいつは右手を軽くかざす。

右手には水色に輝く炎のようなものが渦巻いている-




 「色々教えてもらった。そして自分で考えて、こうなった」


 「お前自分でなにやってんのか分かってるか?」


 「だから、謝りに来たんだ-



        -ごめん」


 




 それを最後にあいつは消えた。


 俺はそれからあいつと会っていない。


 俺の足元に影が在るのは、あいつの悪意からなのか、善意からなのか、今の俺にはもう分からなくなってた-





 


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