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モノローグ①
はじめまして柊みずきと申します。
なんでだろう。
今でもたまに思い出しちゃって。
あの日の強い風とか。
別にすごく特別な日だったわけじゃないのに。
本当に、ただの普通の帰り道で。
それなのに、どうしても忘れられないんです。
きっとおかしいですよね。
テストの点とか、そういうのはすぐ忘れるのに。
別にどうでもいいってわけじゃないのに、気づいたらいつの間にか消えてるのに。
それなのにどうしても残ってるものだけがあって。
声とか、顔とか。
呼ばれた名前とか。
そういうのばっかりいつも残ってるんです。
私、自分のこともちゃんとよく分かってないのに。
ちゃんとしたいのに、ちゃんとできないし。
本当は大丈夫って言いたいのに、うまく言えなくて余計に心配かけちゃうし。
泣きたくないのにいつの間にか泣いちゃうし。
でも、きっとあの時間だけは違った気がします。
何が違ったのかは、まだよく分からないけど。
ただ、少しだけ前を向けてた気がして。
ほんの少しだけ、何もかもが怖くなかった気がして。
今でも思うんです。
どうしてあんなふうにいられたんだろうって。
たぶん、きっと忘れちゃいけないのって、こういうことなんだと思います。




