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薔薇姫
零れた薔薇の花弁を毟ったところそれは苦痛に顔を歪めました。私は仕方ないので彼女のとげを折るとそこから右腕が生えてきたのでそのとげで腕を刺しました。心臓の鼓動はどこから聞こえるのでしょうか。それは心臓からです。そしてそれはただのタンパク質に過ぎないから私は彼女の花弁を乾燥させて紅茶を淹れる……。
暫くすると彼女の腕から流れていた血は止まってしまいました。いいえ、それは血ではありません。それは良く蒸らされたローズのフレーバードティーなのです。彼女は腕にタンニンの染みを残しながら、その蔦を私に絡ませながらこう言いました。
「おかわりはいかが?」




